近年はフリーライターを目指す人も増えていますが、具体的な業務に掛かる費用や必要なものが分からず、転職しづらいと考える人もいます。「ライターになりたいけど本当にスキルや資格なしでも就職できるの?」、「どのくらいの経費が掛かるか分からないから、本業を辞めるに辞められない」と不安に思う人も少なくないでしょう。
そこで、ここではフリーライターに必要なものと費用、毎月の諸経費を具体的に解説。これからライターを目指す人は是非参考にして、ライター転職後の生活をイメージしてみてください。
フリーライターになるために必要な3つのアイテム
個人事業主として活動するフリーライターは、特別なスキルや資格は必要なく、「日本語がネイティブ」であれば誰でも案件を請け負うことができます。
しかし、専業ライターとして継続的に記事作成案件を引き受けるにあたり、以下3つのアイテムは最低でも揃えなければなりません。
1.「パソコン」はスペックも要求される
記事を書くために必要なパソコンはもちろん必須です。Windows11になってからアップデートも定期的に繰り返されるようになり、Googleブラウザを利用するとメモリ8GBだとすぐに容量がいっぱいとなってしまい、処理落ちが頻繁に発生します。フリーライターは動画編集はなくとも、Photoshopを使った画像加工は必要となるケースがあるため、今後パソコンを購入する人は、最低でも16GBのメモリは必須と言えそうです。
パソコンの予算・費用は10万円~15万円
フリーライターに転身すると、作業の多くは自室にこもることになりますが、カフェやレンタルオフィス、コワーキングスペースにパソコンを持ち込んで執筆に励む人も多くいます。そのため、パソコンは携帯性を重視して薄型がおすすめですが、フリーライターはラフな環境でパソコンを持ち歩くケースも多々あるため、それほど高い買い物は必要ありません。10万円前後のパソコンを購入して5年程度で買い替えるつもりで使うのが良いかもしれません。また、自宅作業用としてノートパソコンと併せてデスクトップパソコンも用意するとなお良いでしょう。
2.バックアップは必須「クラウドストレージ」
契約書や契約状況をメモしたファイル、執筆した記事、撮り溜めした画像を未だにオフライン(パソコンのデスクトップ上)で管理する人がいますが、これは厳禁です。パソコンが破損したり盗難被害に遭うと、これまでの成果物が一瞬で消えてしまいますし、顧客情報の漏洩にも繋がります。
クラウドストレージは有名どころでは「DropBox」や「Google Drive」が挙げられますが、サービス終了のリスクが低く、自動バックアップ機能があればどこのサービスでも問題ありません。容量は500GBあれば十分でしょう。
クラウドストレージは年々使用料金が高くなっている。プランに注意を
クラウドストレージは上述した大手のプランに加入する人が多いですが、年間で1万5000円前後するのが一般的です。最安値のプランでも容量は申し分ありませんし、プロフェッショナルやエンタープライズといった上位プランは、クラウド上で編集や共有機能が使える程度なので、フリーライターはほとんど活用しません。
3.「カメラ」はオーバースペックにならないよう注意して
業界・業種によっては商用写真ではなく、現地撮影が案件も少なくありません。グルメや旅行関連の記事を執筆する場合、カメラは必須と言えます。フリーライターが使用するカメラは大きく分けて4つ。
- スマホのカメラ
スマホ機種によって解像度や性能が大分異なるのがネックとなります。どんなに高い画質を誇っても、解像度を決めるイメージセンサーは一眼レフには及ばないので、スマホカメラを用いる場合は必ず依頼者に許諾を取るようにしましょう。 - ミラーレス
昨今はプロのカメラマンもミラーレスで取材するようになりました。一眼レフのエントリー機と同等の性能となるため、幅広く活用できます。ただし複数のレンズを持ち歩く点においては一眼レフと変わりません。 - 一眼レフ(エントリー機)
7万円~15万円の予算で買える一眼レフカメラです。基本的にフリーライターが請け負う撮影案件は、すべてエントリー機で事足ります。逆にこれ以上のスペックを求められる場合は、プロカメラマン並みの撮影技術とノウハウが必要となるので、依頼は受けない方が無難です。 - 一眼レフ(フルサイズ機)
安くとも二十数万円掛かるフルサイズ機。本体価格だけでなくレンズも高く、また重量もあるためプロ仕様のカメラとなります。ISOをかなり高い数値で設定しても荒くならないため、夜間撮影に対して優位性がありますが、通常撮影だとエントリー機(APS-C)と比較してもそれほど変わらないかもしれません。基本的にフルサイズ機で撮影する場合はRAWで保存して後ほど加工することになるので、フリーライターにとってはオーバースペックと言えます。
カメラは周辺機器も必要
フリーライターの多くはエントリー機かミラーレスで撮影に臨みますが、「レンズ」と「三脚」は必須です。レンズは「単焦点と広角」は最低でも準備してください。また、グルメライターなど料理の撮影を要求される場合は、マクロレンズも購入すると良いでしょう。広角は10mm-22mmが一般的ですが、値段が張るため、これ1つ持っているだけで他のライターと差別化を図ることもできます。
フリーライターになるための毎月/毎年の「必要経費」とは?
上記ではフリーライターを志望する人が最初に用意しなければならない必要なものを紹介しました。続いてはフリーライター転身後に毎月あるいは毎年発生する「必要経費」です。
1.ブログ運営に掛かる費用:1~2万円
企業が自社ホームページを持つように、フリーライターも自身のポートフォリオとなるブログを運営する必要があります。記事の更新は自分でできるため費用は掛かりませんが、サーバー代約1万5000円、ドメイン代約3000円は必須で掛かってきます。無料で運用できるアメブロやFC2、Noteはオリジナリティや機能性に欠けるため、プロとしての運用は望ましくありません。
2.素材サイトの年会費:1~2万円/サイト
依頼企業の多くは記事と同時に画像の挿し込みも求めてきます。取材撮影が不要の案件に関しては商用利用可能の素材サイトを利用することで解決できますが、素材サイトは年会費で使用料が必要となり、相場は1~2万円となります。ただし、多くのライターは複数の素材サイトを利用しています。無料の素材サイトだけで賄えない場合は、有料サイトを視野に入れることになります。
OFF-JTで掛かる必要なもの・費用とは
業務の遂行以外で発生する必要な費用は、主に自分のスキルアップを目的とします。フリーライターになるために必要な資格やスキルは不要ですが、同じライターと差別化を図るための努力はある程度必要となります。
資格取得やスキルアップセミナーは必要?費用は?
近年はクラウドソーシングサービスのランサーズが「WEBライティング実務士」、クラウドワークスが「Webライター検定」といった民間資格を運営しています。いずれも資格取得後は運営元のマッチングサイトで好待遇が受けられますが、プロとして活躍を考えているフリーライターには不要となります。基本的に上記のようなマッチングサイトは手数料が高いうえ、高単価の案件を望むことができないため、収入の柱として使い続けることは想定できません。
SEO対策の知見向上は近年必須のスキル
WEB記事を求める企業は、Google検索順位で上位表示を狙う施策である「SEO対策」のために記事をライターに依頼します。そのため、ライター側にもある程度のSEOの知識は必要となるケースが散見されます。SEO対策の知識はネットで収集できるほか、オンラインセミナーに参加することで短期間で基本を習得できます。ただし、SEO対策の知識をポートフォリオで活かすためには、実績が必要となるので、自分が書いた記事でどのキーワードが検索上位表示されているのかを記述するようにしましょう。
まとめ:フリーライターは気軽に始められる自営業。まずはパソコン一台から
今回はフリーライターに転身する上での必要なものと費用を紹介しました。最初のうちはパソコンだけでも十分案件を受注できるはずです。ライター業は他の自営業者と比較しても最小限の初期費用で開始できる職種と言えるでしょう。