パラレルキャリアは、自分の人生やセカンドキャリアを有意義にするものとして昨今注目度が上がっています。そこで、ここではパラレルキャリアと副業との違いや成功させるコツ、例、内容などを具体的に紹介します。
近年注目の「パラレルキャリア」とは？
パラレルキャリアという言葉はオーストラリア出身の経営学者ピーター・ドラッカー氏が著書の中で20年以上前に提唱していますが、日本で注目されるようになったのは2018年の働き方改革が公布されて以降となります。現在は各業界のコンサルタントや人材エージェントが積極的にパラレルキャリアを推奨しているおかげで、着実に日本の社会にも取り組みの一つとして浸透しています。
パラレルキャリアとは、「本業を持ちつつ複数のキャリアを築くこと」であり、日本では「複業」とも呼ばれていますが、多くの場合パラレルキャリアと同義として扱われます。
パラレルキャリアと副業の違いは？
パラレルキャリアを副業と誤解する人がいますが、両者は明確に区別されるのが一般的です。パラレルキャリアは本業とは異なるもう1つキャリア・人生設計を築くことが目的ですが、副業は本業とは別の仕事をして収入を得ることを指します。
パラレルキャリアも収入を得ることは無論ありますが、趣味や非営利団体への参加、ボランティア活動など、収入には捕らわれない広範囲な活動・仕事を指します。昨今では一般的に副業が禁止されている公務員においても社会活動に限りパラレルキャリアを認める動きもあり、今後もより良き人生の実現のためにパラレルキャリアを目指す動きは加速されるものと思われます。
パラレルキャリアで実現できること。3つのメリットを紹介
日本で働く社会人の中には「毎日残業でパラレルキャリアどころじゃない」、「目の前の副業で精いっぱい」という人も多いでしょう。会社への貢献や副業による臨時収入は確かに今の生活の安定・充実を図ることができますが、将来にわたるキャリアステップの実現は難しいところがあります。
そこで、以下ではパラレルキャリアを目指すことによる3つのメリットを解説します。
パラレルキャリアのメリット1．生活の安定と向上が期待できる
パラレルキャリアは何もボランティアをして社会・地域に貢献することが目的ではなく、最終的には自分のより良き人生の自己実現が目標となります。
最初は収入が一切なくとも、10年後20年後を見据えた行動を今からとることによって、将来抱える生活不安のリスクヘッジが期待できます。
パラレルキャリアのメリット2．得意なこと・興味あることからキャリア形成できる
パラレルキャリアは副業と異なり毎月の収入には捕らわれません。中長期視野で自分のキャリアを少しずつ育成していく必要があります。
そのため、パラレルキャリアを始めるにあたっての最初のとっかかりは何でも構いません。自分の得意なこと、興味あること、趣味・特技などをリストアップして、キャリアに活かせそうなものを選択するのが良いでしょう。
パラレルキャリアのメリット3．人生が大きく好転する可能性がある
「安い給料で毎日夜遅くまで残業している」、「職場でパワハラを受けてうつ病の症状がある」といった日本のストレス社会で生きている社会人は、いまの生活環境からなかなか抜け出すことができないでもがいている様子が見受けられます。
パラレルキャリアを契機に人脈を広げ、新しい人生設計が見えてくると、いまの過酷な職場で嫌々働く必要もなくなり、自分のやりたいこと、興味あることで大きな収入を築くことも可能です。
パラレルキャリアを実践する前に知るべき3つのデメリット
一方でパラレルキャリアを実践するにあたっては、わずかながらデメリットもあります。デメリットをよく理解した上でパラレルキャリアをはじめることによって、「こんなはずじゃなかった」と途中で挫折するリスクを回避することができます。
パラレルキャリアのデメリット1．ある程度の時間の確保が必要
パラレルキャリアは自分の得意分野や関心あること、趣味や特技から気軽にはじめられる一方、キャリアステップを踏むために相応の時間の確保が必要となります。また、場合によっては家族やパートナーの理解も必要となる可能性もあります。
パラレルキャリアのデメリット2．本業に支障が出るケースがある
パラレルキャリアを実践することにより、ケースによって本業の仕事に支障が出ることもあります。例えば趣味のテニスを始めた際、大会に出場するために無理して仕事を切り上げたり、有給を取得しなければならないこともあります。
パラレルキャリアのデメリット3．中長期的に継続する必要がある
パラレルキャリアは実践して数か月で日々の生活に影響が出るようなものではありません。好きなとき、時間に余裕があるときに実践できるものの、それが長く続かないで気まぐれで辞めてしまうと、単なる趣味に終わってしまう可能性があります。
あくまでも将来に向けたキャリアの形成や新しい人生・生活・仕事の可能性の模索となることは覚えておいてください。
旅行ライターとして活躍！パラレルキャリアの事例と内容
以下ではパラレルキャリアで成功した典型的な事例を紹介します。
「Fさんは商社の営業として働く傍ら、旅行好きのため、週末には日帰りで観光地を巡り、写真撮影を趣味で楽しんでいました。その後、旅行の趣味を活かして国内・海外の旅行記事を旅行会社に提供するようになりました。当初は月1～3万円程度稼げる副業感覚でしたが、自分が所有している写真画像を記事内に使っているため、記事単価が徐々に上がり、また大手旅行会社からも引き合いが発生。
その後、旅行に行くときは記事を書く条件を基に取材経費が出るようになり、ほぼ無料で毎月旅行できるようになりました。
現在では本業を辞めて個人事業主として旅行ライターとして活躍し、さらに自分で旅行予約サイトを運営し、本業以上の収入を確保できるようになりました。
本業からフリーライターへの転身は、パラレルキャリアによって新しい人生とセカンドキャリアをおくれるようになった典型的な内容となります。
パラレルキャリアの見つけ方と考え方
パラレルキャリアは難しく考える必要はないものの、いざ試みようとすると「何から手を付けていいか分からない」という人も少なくありません。
そんな人は、まずは自分に何ができるかをメモにリストアップしてみることをおすすめします。
- 得意分野
- スキル
- 資格
- 趣味・特技
- 人よりも好きなこと
- 人よりも知っていること
- 飽きないで続けられること
まずは上記項目を考えてみてください。そこから「会社の就業規則に違反しないもの」、「本業と並行して実践できるもの」、「初期費用が予算内であるもの」、「家族・パートナーの理解を得られるもの」などを考慮して、上記で挙げた項目を絞ってください。
まとめ：パラレルキャリアを始める前に事例や内容をよく確認しよう
パラレルキャリアが単なる趣味で終わってしまわないように、事前にしっかりと将来の道筋やキャリアステップの可能性を探すことも大切です。ネットで調べれば様々なパラレルキャリアの事例や成功体験が紹介されているので、真偽は不明でも「こんなキャリアの道があるんだ」と将来性を感じることができれば、実践してみる価値は十分あると言えるのではないでしょうか。
また、パラレルキャリアは「自分の得意なこと・好きなことキャリアに活かせるかを考える」ことが重要です。「これやったら儲かりそうだな」といったビジネスプランではなく、人生プランを考えるようにしましょう。