2000年代に入り、IT化が進み職場を持たないノマドやフリーランスが増えてきた昨今、居住地をいっそのこと海外へ、というトラベルライターも普通になってきました。しかし、これから海外在住のトラベルライターになるに当たって、懸念材料の1つに「子供の教育と学校事情」が挙げられます。この問題が日本にいるうちから明瞭になり、また解決することができれば、パートナーからの理解も得やすくなるはずです。
海外在住者にとって最大の難所となる子供教育。絶対に日本にいるうちから将来プランを立てるべき理由
海外に長く移住するベテランの人であっても、常に頭を悩ませる問題が子供の教育です。例えば仕事や疾病なども発展途上国の移住では困ることがありますが、いずれも解決できる問題でもあります。しかし、子供の教育方法や学校といった事情は、国によって大きく異なるので、場合によってはお金でも解決できないこともあります。そのため、「子供のために日本に帰国しなければならなくなった」という海外在住者も決して少なくありません。
そのため、日本にいるうちから、その国にどのような学校や教育方法があるのかは必ず調べておいてください。
海外在住者が調べる現地の教育・学校
海外に移住したい場合は、日本にいるうちから現地で子供が入学できる学校を調べておくのがいいでしょう。一般的に日本人移住者が現地の学校に入学する際は、「日本人学校」、「インターナショナルスクール」の2種となります。ローカルスクールは入学費用は安いですが、現地語が必須となるため、入学は断られるのが普通です。中学高校では入学試験があり、まず問題が読めなければ解くこともできません。また、東南アジア南米のような発展途上国では、義務教育がありませんので、小学校から落第・留年がありますし、日本の6・3・3制とも異なるので、日本に帰国したのちに学年にギャップが生じる可能性があります。
憧れ?のインターナショナルスクール。実際海外在住者は通わせることは可能?
家庭の中には、子供をインターナショナルスクールに通わせて幼少期のころからバイリンガルに育てたい、と考えている人も多くいることでしょう。インターナショナルスクールでは、多国籍に富む生徒が在籍しているほか、学校の教師も欧米人を採用していますので、教育水準が低い発展途上国でも、日本と同等かそれ以上の質の教育を子供に受けさせることができます。そのため、「小学生の子供がいるけど、現地でインターナショナルスクールに通わせたい」という人も多いですね。ちなみに小学生入学時から入るのであれば、試験の必要はありませんので、お金さえ払えば入学することができるのが大半です。中学以降になると英語で読み書きできなければ入学できない可能性もあります。
海外移住者が抱えるインターナショナルスクールの問題
インターナショナルスクールに子供を通わせる際の大きな問題となるのが「費用」と「言葉」です。費用はイメージ通りに高く、小学生の頃から年額50~80万円ほどしますし、年齢が上がっていくにつれて130~150万円前後まで高くなります。学校によってはスクールバスや給食の費用、各種イベント費用を別途要求されるケースも少なくありません。もし子供が2人いれば、当然2人ともインターナショナルスクールに通わせなければなりませんので、費用は単純に2倍となります。新しく子供が生まれたら、その子もインターナショナルスクールを検討しなければなりませんので、トラベルライターの通常の収入であれば、かなりの困難を強いられることでしょう。また、英語がネイティブレベルにならないと学校の授業についていけないため、旦那さんか奥様のどちらかは自宅でも英語で会話するように努めなければなりません。
海外在住者が最も多く利用する日本人学校とは
日本人学校とは、日本の文科省が指定する海外都市にある全日制の学校となります。日本の学習指導要領に沿って、日本と変わらない教育・授業を実施するため、数年後に帰国を想定するのであれば、日本人学校に入学するのがおすすめといえます。ただし、日本人学校にも複数の問題があります。
日本語以外の言語を習得することができない
日本人学校の生徒は当然のことながら全員が日本人の子供たちとなります。そのため、学校内も日本語で話すこととなるので、英語や現地語の習得はできません。もし、将来も引き続き海外現地に暮らすことを考えるのであれば、最低でも英語は語学学校に通うなりして習得しないと、生きづらくなります。
日本人学校の学費はどのくらい?
公的機関である日本人学校でも、海外ではそれなりの費用がかかります。年間で40~60万円の学費のほか、スクールバスは別途1万5000~2万円毎月かかることが想定されます。
日本人学校の最もネックな部分。高等部がない
日本人学校は日本人が多く暮らす都市に1つはあるものですが、あくまでも義務教育を全うするための手段となるので、常設しているのは小学部及び中学部のみとなるのが一般的です。昨今は需要に応えて、徐々に高等部を配置する学校も増えてきましたが、それで世界に5か国程度しかありません。そのため、現状(2021年)では中学部を日本人学校で卒業したあとは、日本に帰国をして高校に入学するか、高校入学までに英語スキルをネイティブまで高めて、インターナショナルスクールを受験するかを選択することになるでしょう。
トラベルライターが考える海外現地での子供の教育と学校問題
海外移住を決めたトラベルライターが海外生活における子供の教育と学校問題を考えた場合、金銭面で問題なければインターナショナルスクールが一番おすすめできます。上記では費用面で難があることをお伝えしましたが、実際は現地のアッパー層が行くような私立学校への入学も検討することができ、これらの私立学校も学内公用語は英語となります。教育水準は日本と異なるので、日本に帰国後に高校や大学受験で通用するかは分かりませんが、将来的にその国での仕事を考えているのであれば、私立学校でも問題はないでしょう。
補習校も利用価値が高い
海外現地には「補習校」と呼ばれる在住日本人の子供の補習校授業を実施する学校も多くあります。一般的には毎週土曜に半日ほど開講して、日本のような授業を実施します。日本人の友達作りや、日本の習慣や文化を学ぶいい機会となります。
海外在住者の子供の教育は英語を学ぶこともお忘れなく
日本人が海外に暮らす場合、現地語よりも英語の方が必要とされるケースが多いです。また、現地で英語を習得することができれば、日本に帰国後も英語スキルを活かせますし、別の第三国に移住しても大きなアドバンテージがあります。
英語を習得するならば、現地の英会話教室に通うのが手っ取り早いです。日本のそれとは異なり、学費は非常に安いので、何年も継続して通うことも容易いです。子供の学校帰りに家族で一緒に学ぶのもいいでしょう。
海外移住で現地語の必要性はどのくらい?
海外への移住を考えると、「現地語が難しくて学べない」と心配になる方もいるでしょうし、逆に「現地語は現地でしか使えないから、学ぶ意味がない」と考える人もいるでしょう。実際、現地に暮らす日本人のほとんどは、現地語は趣味程度で学び、買い物や挨拶くらいしか習得していない様子です。
子供の学校教育は日本の物差しで測る必要はなし
子供の教育は各家庭によって異なります。それが海外になればなおのことです。実際海外に暮らす日本人も、日本での常識に捕らわれずに独自に情報収集をして、自分の考える最善の子供教育を選択している様子がうかがえます。ただし、今回ご紹介したうちの日本人学校に高等部がない問題は、最後まで付きまといますので、インターナショナルスクールや英語が公用語の私立学校などへの入学を見越した教育を早いうちからはじめるといいでしょう。