旅行ライターは日々数多くの原稿を書き続けなければなりません。当然ベテランンの旅行ライターであっても原稿が行き詰ることは大きな悩みの1つでもあります。
そこで、今回は旅行ライターが記事を書く上で、執筆に行き詰った際の対応方法を、文章スキルの向上方法と併せてご紹介します。
旅行ライターの最大の悩み?原稿の執筆に行き詰るケース
旅行ライターが日々の原稿を書く上で、執筆に行き詰る場合があります。もちろん個々の力量や集中力などによっても大分変ってきますが、一般的に行き詰るケースというのは下記のような「技術的問題」、「情報収集力の問題」、「精神的な問題」の3つに分けることができます。
指定された記事の文字数に達しない(技術的問題)
ウェブライティングの場合は1記事1500文字が相場。多い場合は3000~5000文字を要求されることもあります。また、一冊の本を仕上げるならば、原稿用紙換算で200枚以上は必要です。ボリュームもさることながら納期も決められているので、自分の書きたいこと、知っていることをすべて記事に収めても、指定文字数に達しない場合はよくあります。
(正確な)情報が足りない(情報収集力の問題)
記事を書く上で、自分の知っていることだけを書くのでは良質なものはできません。そこには必ず信頼性の高い情報を詰め込む必要があります。例えば博物館であれば、創立年、設計者、運営者、入場料、展示品の概要などを正確な情報筋から集めなければなりません。
ウェブライティングでは後から修正することができますが、本の場合は一度印刷すると修正はできませんね。情報を集める手段は主にネットか運営元へ電話やメールを送ることができますが、早く記事を書き終えたい場合は、そういったすぐには集められない情報を省いて、代わりとなる文章をあてがうこととなります。
集中力がなぜか途切れる(精神的問題)
メンタリティの問題はベテランの旅行ライターでも必ず不定期に経験します。すでに事実としてある情報をもとに執筆するので、小説家のような極端なスランプに陥ることはほぼありませんが、それでも記事タイトルや出だしの分が全く思いつかない、3000文字の記事を書かなければならないのに、1000文字ちょっとでギブアップしている、といったことは多々あります。
旅行ライターの技術的問題の解決方法
おそらく旅行ライターになった最初の3年間における最大の悩みが「文字数が足りない」という問題となります。多くの依頼主が設けている1記事の最低文字数は1500文字程度ですが、これは原稿用紙換算するとおよそ4枚となります。
1日かけて1記事作るのであればそれほど悩むことはないのですが、ほぼすべての旅行ライターは1日2~5記事ほど書きあげます。あらゆるネタを書くため、記事のテーマによっては規定の文字数に届かないこともしばしばあります。
その場合の解決方法としては、「ボギャブラリーを増やす」ことと「固定情報を増やす」ことがおすすめ。前者は旅行ライターとしてやっていくための基本的な文章力の向上に繋がりますし、後者は記事を書く際のテクニックの1つとなります。
文章力を高めて文字数の悩みを解決
ボギャブラリーを増やすことは文章力の向上に繋がります。しかし、こればかりは一朝一夕でスキルアップできるものではありませんので、日ごろかオリジナルの言葉を用いて文章を書く習慣を身につけたり、少し難しい本を読んで、分からない単語を逐一辞書で調べ、自分の頭にインプットする積み重ねとなります。
辞書を引く際はその言葉の意味を知るだけではなく、類語、反義語にも目をやると、一石二鳥、一石三鳥で語群を増やしていくことができます。
記事の作成前に段落を決めておく
ウェブライティングの場合は、1記事の中で3~5つの見出しを付けることになりますが、この見出しを最初に決めておくだけでも大分文章の執筆が捗ります。例えば1500文字の記事で5つの見出しを付けるとします。
最初の要約文と文末のまとめで200文字ずつつ割くと考えると、1つの段落の文字数はわずか220文字となります。1500文字の記事を書くのではなく、220文字の見出しを5つ作る、と考えれば、大分精神的に楽となります。
もし1200文字程度書き上げて、「これ以上文字数を増やせない」と悩んでいたら、見出し段落を1つか2つ新たに作るのが文字数を増やす効果的な方法と言えます。
旅行ライターの情報収集力の解決方法
旅行記事によっては、執筆に費やす時間よりも、記事にするための必要な情報収集により時間がかかる場合があります。例えば地域情報であれば、その地域の基本情報をネットから集めなければなりません。
また、レストランやお土産店であればお店の正式名称、行き方、住所、連絡先、カード支払いの有無、商品(メニュー)の料金といった情報を集める必要がありますが、トリップアドバイザーやブログでは信憑性に乏しかったり、古い情報である可能性もあります。
公式ホームページがあればいいのですが、あまり更新されていなかったり、すべての知りたい情報があるとも限りません。
基本的に旅行ライターのような個人事業主はタイムイズマネーをモットーに効率化を図らなければなりません。多少収入は少なくなりますが、現地人を雇って代わりに調べてもらうのが最も早いやり方です。
紙媒体の場合は校閲が入る可能性も
雑誌書籍に記事を書く場合は、校閲(事実確認)が入る可能性もあります。一般常識や一般情報であれば、校閲者は自分で調べて旅行ライターと連絡を取ることはないのですが、海外の情報というのは日本語でネットで調べるには限界がありますし、法律が絡む場合は校閲者でも不明点が多く出てくるので、旅行ライターと直接やりとりする場合があります。
校閲者が「〇ページに書かれている情報は正確ですか?」と訊いてきた場合に、信頼性ある引用元や根拠を説明しなければなりませんので、紙媒体の場合は情報収集をするサイトや方法は予めめどを付けておくのがおすすめです。
旅行ライターの精神的問題の解決方法
「集中できない」、「文章が浮かばない」、「ネタが尽きた」といった、いわゆる自身における精神的問題が記事の行き詰る理由となることもあります。単純に旅行でリフレッシュして記事を再び書けるのであればいいのですが、そうはいかないときもあります。
また、旅行ライターは良くも悪くも書いた分だけが報酬となるので、記事を書かない期間が多くなると、その月の収入が減って生活に支障をきたすことも考えられます。そこで考えなければならないのが「収入を維持したまま精神的問題を解決すること」ですが、ここでは2つほど方法をご紹介します。
記事の執筆以外の収入源を作る
例えば市場調査を請け負ったり、機械的にこなせる翻訳案件を請け負ったり、またはブログのアフィリエイトやアドセンスなどを駆使したりと、執筆以外の収入源を作っておくのは、旅行ライターを長く続ける上でも非常に重要なポイントです。
旅行ライターであり続ける限りは文章を書き続けなければなりませんが、10年、20年後も今と同じような環境であるとは限りません。そのため、記事の執筆による収入が減少した際に備えて、別系統の収入減を作っておくのがいいでしょう。
まるで異なる環境下に身を置く
例えば南国バカンスを楽しめるビーチリゾート地に一週間滞在したり、アジアとはまるで異なる環境のヨーロッパや南米に行って、そこの街角にあるカフェで記事を書いてみる、といった荒療治も効果的です。
旅行ライターは観光地に行くだけで仕事ができるので、そこで撮影した写真をもとに現地情報をブログに投稿したり、当該エリアの記事を求めている旅行会社に問い合わせをしたりと、写真と記事を収入化する方法はいくらでも考えることができます。
1本の旅行記事を書き上げるために文章力を日ごろから育もう
文章力が向上すると、ボギャブラリーや言い回しが増えるため、自然と記事の指定文字数に足らなくて困る、ということは減っていきます。また、文章力の向上により執筆のスピードも速くなりますので、1日にかける記事の本数も増えるはず。是非、日ごろから文章のスキルアップに向けて実践してみてください。