トラベルライターの業務内容といえば、大きく分けて取材と執筆ですが、今回紹介するのは後者の方。在宅での業務、スケジュール、WEBライティングに役立つ知識などをすべて解説します。これからトラベルライターになることを考えている人は、実際の日々の業務内容をイメージしてみてください。
トラベルライターにとって、在宅業務は月の大半を占める
トラベルライターになる前までは、「毎日旅行して、取材ができる」と考えていた人も、いざ業務を開始してみると予想以上に在宅での業務が多いことに気が付きます。
取材案件は月に10や20あるわけではありませんので、基本的に月の業務の半分以上は在宅での仕事と考えていいでしょう。月によっては「一度も取材しないでずっと家で記事書いてた」なんてこともざらにあります。
取材で月のほとんどが埋まることはある?
トラベルガイドブックや旅行会社の保有するショップ・観光施設の情報は、その多くが2年に1度の更新頻度となります。
大手旅行会社や出版社は1つの都市で300以上のショップデータを保有しているので、これらの更新依頼を受けると、およそ1ヵ月半程度かけてすべてのお店を回り、店舗情報の収集と写真撮影を終える必要があります。
そのため、執筆に費やす時間はほぼありませんので、このデータ収集案件が発生したら、その月はほぼ出ずっぱりとなります。
在宅業務を公開!トラベルライターの1日のスケジュール
トラベルライターの業務場所は在宅、もしくはカフェで作業する人が大半です。「在宅は気が散るし集中できない」という人もいれば、「自宅のデスクトップパソコンでないと執筆できない」という人も少なくありません。
また、写真によってはフォトショップで加工が必要となるので、「デスクトップにしかフォトショップをインストールしていないから、自宅で仕事」という人もいます。
午前中にやるべきトラベルライターの在宅業務内容
午前中のメインとなる業務は、「メールチェックと対応」が主となります。記事はWEBライティングを1本こなす程度。構成からじっくり考える必要のある雑誌やコラムなどの案件がある場合は、すべて後回しにします。
メールの内容によっては、依頼主に提出する資料を早急に作ることもありますし、市場調査が必要な場合は、自分で調べるか、協力してくれるスタッフに指示を出す必要があります。
トラベルライターといっても旅行記事だけを書いて生計を立てている人はそれほど多くはなく、大半は別の仕事も請け負っているのが現状です。
また、記事単価が比較的高い仕事しか引き受けていない人は、1日に書く記事はWEBライティングと紙媒体合せてもせいぜい2~3本程度なので、午前中はゆっくりして、午後に集中して作業をする、という人もいます。
午後にやるべきトラベルライターの在宅業務内容
午後は記事作成がメインとなります。WEBライティングは写真ストックさえあればすぐにでも書きだせるものと、SEO対策を踏まえた検索キーワードの抽出やタイトル、見出し決めをしなければならないものがあります。
また、書籍や雑誌コラム、旅行ガイドブックの記事なども、場合によっては事実確認に時間を割かなければならないので、執筆と並行して当該雑務もこなす必要があります。
1日に記事を書く本数はトラベルライターの案件状況によって異なりますし、また月末をどうするかによっても変わってきます。
例えば、トラベルライターA氏は、毎日5本程度を目安に記事を執筆し、月末の20~24日頃までに当月の業務をすべて終わらせ、残りの一週間を取材に費やします。一方でトラベルライターB氏は取材は案件ベースで行くので、毎日3本程度をゆっくりと書いて月末ぎりぎりで終わらせるようにします。
WEBライティングは納期ががちがちに決まっているケースはそれほど多くありませんので、月の執筆記事本数をどのような割り振りで行うかはトラベルライターに依存します。
トラベルライターの業務の大半はWEBライティング
昨今のトラベルライターは紙媒体よりもWEBライティングが業務のメインとなっています。出版社や編集プロダクションが斜陽産業となっている現在、日に日にWEBライティングの需要は高まっているのが現実です。
WEBライティングに役立つ知識
先にご紹介したように、WEBライティングの場合は記事を書くにあたって、事前の準備が必要となります。WEBライティングは記事のクオリティだけではなく、SEO(検索順位)対策に則したテーマ、キーワードにのっとって執筆します。
依頼主が指定するケースもあれば、トラベルライターがすべてを調査しなければならないこともあります。後者の場合は、多少のSEO対策の知識が求められますが、必要となる準備の方法やツールは依頼主から指示されるのが普通です。
依頼主とのファイルのやり取りはDropBoxが便利
WEBライティングは、依頼主によってはワードプレスに直接投稿するよう指示されるケースと、ワードやテキストファイルに記事を書いて、写真ファイルと一緒にフォルダに収めて提出するケースがあります。
後者の場合はDropBoxのようなオンラインストレージサービスを利用するのがおすすめです。Googleドライブでもいいのですが、DropBoxの方がバックアップ期間が長い魅力があります。Googleドライブは25日間ですが、DropBoxは120~180日間に失われたデータをすぐに復元することができます。
表記統一リストを作成する
出版社や編集プロダクションからの依頼であれば、依頼主側に編集者がいるため、誤字脱字や表記ゆれはしっかりとチェックしてくれます。しかし、WEBライティングでは依頼主に編集者がいないことがほとんどですので、ほぼ完ぺきな文章が求められます。
例えば「人」を表記するさい、漢字で書くこともできますし、「ヒト」のようにカタカナで記載することも普通です。YouTubeと書く場合も、英語表記か「ユーチューブ」とカタカナで書くかによっても見た目の印象が変わります。
文章中に両方の表記が混在するのはよくありませんので、自分の中での表記統一リストを作って覚えておくようにしましょう。
WEBライティングの写真の扱い方の注意点
写真を紙媒体に使う場合は、できるだけ大きなサイズの写真を送ればいいので、トラベルライターの方でリサイズ(写真のサイズの変更)をする必要はありません。そのままメールに添付してもいいですが、10MB以上になるようならば、先に案内したオンラインストレージ経由でわたすようにしましょう。
一方でWEBライティングの場合は、自分で写真サイズをリサイズするのが一般的です。特にトラベルライター自身がワードプレスに投稿する場合は、依頼主側で記事のチェックはしないことが多いので、写真のリサイズを間違えないようにしましょう。
ワードプレスの場合は特別なカスタマイズをしていない限り、こちらが投稿した写真サイズがそのまま本番に反映されます。例えば5MBの写真を記事中に何枚も添付してしまうと、それだけでページが重くなってしまいます。
基本的にデジカメや一眼レフで撮影した写真は、1280×853、819×546といったサイズに落として投稿します。重さは300KB以下、画質が許すならば100KB以下に落とすのが理想です。
ワードファイルの場合は写真を300×200まで落として、記事の挿入箇所に貼り付け、元ファイルをオンラインストレージにて共有します。テキストファイルは写真を添付することができないので、挿入箇所に(1)などと記載して、写真ファイル名も同じにしたのち依頼主に送ると分かりやすいです。
トラベルライターは日々の作業効率を考えよう
今回ご紹介したように、トラベルライターの業務の大半は在宅での記事作成となります。そのため、作業効率化を考えて文章の執筆に専念できるよう、知っておくと便利なWEBライティングの知識は日ごろから学習しておくといいでしょう。