トラベルライターと聞くと、カメラとパソコンを持って世界を旅する身軽で自由なイメージがあるかもしれません。確かに日本で働くサラリーマンの人々からすると、あながち間違ってはいません。
しかし、トラベルライターといっても仕事には変わりありません。カメラを持って旅して文章にしたため記事を売る。一見自由に見えますが、自由の中にもしっかりと社会があります。そこで、ここではトラベルライターがおくる実際の生活の様子をご紹介します。
月末月初は請求関連に追われる
トラベルライターは個人事業主として生計を立てているため、請求書関連も自分で処理します。その月に発生したレシートはまとめてとっておいて、顧客に請求できる分と自分で経費申請するものに分けておきます。
また、数年もトラベルライターとして活動をしていると、継続もしくは断続的に依頼を受ける顧客も10社前後に増えているはずです。顧客によって請求書の出し方や領収書の有無も異なりますので、エクセルなどで一元管理するのが便利。請求書や領収書はフォーマットを作っておくと効率的。
また、顧客によって請求書の提出期限が異なりますし、支払い日もそれぞれのため、パソコンのカレンダー機能を使って請求書の送付日と入金日をチェックしておくことも忘れなく。
仮に入金日になっても報酬が振り込まれない場合は、未回収とならないように然るべき対応をするようにしてください。
毎月の売り上げ管理も月末月初に
売り上げ管理も自分でしっかりと管理します。月末時点で当月の支出と収入が分かりますので、どのくらいの売り上げでどのくらいの利益が浮いたのかはエクセルなどで毎月管理するといいでしょう。
ビジネスとして個人事業主を担う以上、常に売り上げの向上を目指さなければなりませんので、時間があるときは新規開拓をできるようスケジューリングすることも肝要です。
月の半分以上は自宅やカフェでパソコンと向き合う生活が続く
トラベルライターとしての活動のメインは執筆にあるため、観光地を取材する時間は月の中でもそれほど多くはありません。月の半分以上は自宅やカフェでパソコンと向き合う日が続くといっていいでしょう。
執筆の早さは人によって大きくことなるので、筆を動かすのが遅い人は毎日記事を書き続けなければならない、なんてこともあります。
例えば1記事単価5000円の報酬の場合、月収20万円を得るためには単純計算で40記事執筆しなければなりませんので、土日を休む場合は平日毎日最低2記事は完成させなければならない計算となります。
私用で1日記事を書かない日ができてしまうと、翌日は4記事執筆するか、休日を返上して仕事をしなければなりません。そう考えると、非生産的な取材は自ずと手短に切り上げるようになります。
下旬から月末にかけては翌月の記事タイトルの決定
毎月顧客から請け負う記事は、できれば15日~20日の間ですべて終わらせるのが理想です。そうすることによって、残りの10日間ほどは取材や観光に専念することができますし、自分で運営しているブログやサイトの記事を書くこともできます。
また、下旬にさしかかると、翌月に執筆する記事のタイトルや構成を考えはじめます。
記事のタイトルは大半は自分で勝手に決めることができますが、場合によっては顧客の編集者と打ち合わせをしたり、ネタ案の提出からすることもあり、こちらも相応に時間がかかるため、仕事として請け負った記事を早めに終わらせておくことに越したことはありません。
トラベルライターの簡単な1日のタイムスケジュール
ここで紹介するのは、東南アジアに生活の拠点を置くトラベルライターのとある1日のタイムテーブル。もちろんライターによって1日の行動は違いますが、それでもおおよそ似たような時間を過ごしているのではないでしょうか。
10:00~:メールチェック&1記事執筆
午前中はそれほど筆が進まないため、メールチェックや請求書関連といった雑務をする。
12:00~:昼食は予算200円程度の大衆食堂
週に1~2度程度は日本食レストランで和食も食べる。
13:00~:作業場となるカフェを見つけて執筆活動再開
カフェは冷房がついてWiFi速度がはやいところがベスト。記事のボリュームにもよるが、大体90分で1本ペースで執筆する
16:00~:買い物や夕食といった自由時間
19:00~:メールチェック&場合によって記事の執筆再開
自分の運営しているサイトがあれば、そちらも記事を更新。
21:00~:取材先候補の選定。遠方に行く場合は航空券やホテルの手配も。
忙しくなると深夜の12時~2時頃まで執筆を続けるトラベルライターも少なくありませんし、夜型のライターも多くいます。
また、欧米在住の人は日本の顧客と連絡を取り合う際は時差を考慮しなければなりません。例えばフランスと日本は8時間違いますので、日本の午前9時から午後6時のビジネスアワーの時間帯は、フランスでは夜中の2時から午前11時となります。
急ぎの連絡やzoomやSkypeを介して会議をする場合は、時間の調整も必要となります。
トラベルライターの実際の生活!稼働日と休日、収入を考える
トラベルライターを志望する人で気になるポイントの1つが「休みはどのくらい?」というものがあります。トラベルライターは自由業なので、基本的に働くも休むもすべて自分次第となります。
しかし、稼働日が減ればそれだけ収入も減りますし、サラリーマンのように有給休暇もありません。そのため、休日と勤務時間と収入をバランスよく考えて1か月のスケジュールを組むことが、トラベルライターを続ける上で重要となります。
休みは週3日以上も十分可能!トラベルライターの醍醐味を満喫できる
旅行の記事を5年、10年と書き続けているベテランのトラベルライターは常に執筆と納期に追われていますが、それでも休日はしっかりととります。仕事の性質上毎日パソコンを立ち上げる必要はあるかもしれませんが、それでも自分で決めた休日には観光に精を出すのが楽しみでもあります。
日本では週休2日が普通なので、海外で活躍するトラベルライターも週2日程度は休みを取る人が圧倒的に多いようです。しかし、仕事が早く終わりそうな時期や、なんとなく気分がのらない、なんてときは躊躇いもなく週3日以上休むこともあります。
旅行も仕事。それが楽しみでもあり、悩みでもある
トラベルライターにとっては旅行は重要な取材先となります。「旅して収入」は旅行ライターの醍醐味でもありますが、それがときには悩みになってしまうこともあります。
カメラを持っていけば当然のように観光地を巡り、いつでも記事を書けるようにたくさんの写真を無意識のうちに撮影することになるでしょう。独りであればまだしも、パートナーや子供と同伴ならば、「今回は家族旅行でしょ」と怒られることも。
そんなときは、自分の範疇にない国や都市に行ったり、旅行記事としては使えそうにないような穴場の観光地を旅行することが多くあります。それであれば仕事を忘れて旅行に徹することができますので、仕事とプライベートを両立することができます。
それでも「旅を仕事」にできる魅力は捨てられない!トラベルライターの最大の魅力
トラベルライターの実際の生活は、当初描いていたイメージほど華やかなものではないかもしれません。しかし、自分の好きな旅行を仕事にすることができ、世界中を観光して生計を立てることに噓偽りはありません。本当に旅が好きな方には、何歳になっても続けられるトラベルライターは天職となることでしょう。