仕事の拠点を海外に移し、海外旅行ライターとして収入を得ようと考えた場合、まず知っておきたいのは、「海外現地ではどのようにアポを取り、商談及び契約に至るのか」というもの。
日本とは勝手が違うので、日本でバリバリのビジネスマンであっても、海外では通用しないこともあります。そこで、今回は海外旅行ライターが移住先の現地で、どのように商談して契約をするのか、手順や押さえておきたいポイントをご紹介します。
海外旅行ライターの現地における取引先とは
海外移住を果たした旅行ライターが現地で取引先を探すさい、どのような業界が候補として挙げられるのでしょうか。
海外旅行ライターと密接な繋がりも「旅行会社・ツアーデスク」
まずは海外旅行ライターが最もお世話になるのが旅行会社です。現地に拠点を置く日系旅行会社はもちろん、地場系、外資系旅行会社も取引先の対象となります。
旅行会社から受注できる仕事の多くは、「ツアーに参加して体験記事を自社HPに掲載する」、「毎日現地情報を更新」といった内容です。複数社と契約することができれば、それだけで毎月の収入は安定しますし、5年、10年単位でお世話になる可能性も高いので、必ずアプローチしたいところです。
契約は慎重に「スパ・お土産店・レストラン」
日本人旅行者が大勢訪れるような外国人向けの高級スパやお土産店、レストランも海外旅行ライターにとっては大切なお得意様となります。
ただし、これらのお店は個人経営、家族経営が多く、報酬が安価であったり、契約中にも関わらず、突然反故されたりとトラブルも多いので、契約するさいは慎重に相手の人となりを選ぶといいでしょう。また、観光エリアは地価が年々値上がりしているので、半年経たずしてお店が閉店することも普通です。くれぐれもお金の回収をし損なうことのないように。
長期契約も視野に「高級ホテル」
日本人旅行者が宿泊するホテルはほとんど決まっており、立地環境のいい観光エリアの中心にある3つ星から5つ星ホテルとなります。高級ホテルであれば、日本人旅行者に対するマーケティングも怠っていませんので、ある程度の予算をかけて海外旅行ライターに記事更新の依頼をしてくれます。
ただし、それと同時にマーケティング部門には日本人がいることも多く、非常に優秀なマーケッターが商談の相手となるので、これまで以上に気を引き締めて契約に臨んでください。
海外旅行ライターの契約への第一歩:テレアポ
海外旅行ライターが現地の取引先を見つけるにあたって、まず有効となる手段はテレアポとなります。上記で挙げた取引先のうち、旅行会社や高級ホテル、高級スパは、南国の居心地のいいアジアの環境であっても、意外と事前アポイントがないと担当者とは合わせてくれません。
ただし、担当に日本人がいれば、まずアポイントを断られることはありません。日本人であれば、当然日本人旅行者の集客を望んでいますし、ネット集客に必要不可欠な旅行記事を専門に書いてくれるライターが問合せをしてきているのだから、断る理由はありません。
海外旅行ライターの働き方:商談へ絶対に持っていくもの
無事アポイントを取れて商談に臨むさいは、必ず下記は持参するようにしましょう。
- ノートパソコン
- USBメモリー
- 名刺
- サンプルの記事(パソコンの画面にて)
- ポケットWi-Fi(スマホのデザリングでも可)
- ポートフォリオ(パソコンの画面にて)
まず、ノートパソコンは必須となります。商談先の環境によってはWi-Fiが弱いこともあるので、ポケットWi-Fiやスマホのデザリングなど、自前でネット環境を用意することも重要です。
USBメモリーは写真やデータのやり取りに必要となります。担当者によっては「いま写真あげるから、USBメモリー貸して」といってくる人もいまだ多くいます。
また、ポートフォリオは自分の実績となります。海外旅行ライターに対して履歴書や職務経歴書を要求する取引先はいませんので、基本は自分がこれまでどのような記事を書いてきたのかが分かるよう、ポートフォリオに実績をまとめておくといいでしょう。
また、商談相手も知っているであろう大手のウェブサイトへの執筆実績があるならば、当該ウェブサイトを相手に見せてPRすることも大切です。
英語や現地語での商談に自信がない場合の対処法
商談相手が外国人や現地人の場合は、英語もしくは現地語で会話をしなければなりません。もし外国語に自信がないのであれば、予め通訳を雇ったり、現地人の友達についてきてもらったりするのもいいでしょう。
通訳は2~3時間で5000円未満で雇うことができますが、収入が少ないうちはそれでも高いので、現地人の友達にお願いするのがいいでしょう。
海外旅行ライターが絶対に注意すべき契約上のポイント
海外現地では、日本ではあまり考えられない契約トラブルがつきものです。旅行ライターは守ってくれる会社がないため、責任はすべて自分でとらなければなりませんし、最悪記事をたくさん書いたにも関わらず、報酬を支払ってくれない、なんてことも十分あり得ます。
そこで、ここでは海外旅行ライターが取引先と契約をする上で押さえてほしい重大なポイントをご紹介します。
報酬の支払い方法。すべて後払いは駄目
日本では売掛けが普通で、企業間取引であれば後払いが習慣となっていますが、海外の中でもアジアや南米圏内では、基本的に前払いが推奨されます。もし完全前払いが不可能の場合は、前金で半分、納品後に半分など、取引先が納品後に支払いを拒むリスクを少しでも低減する契約を結びましょう。
報酬の決定方法をしっかりと契約書に記載
旅行記事の報酬は、記事単価、文字単価、月額、時給換算などが挙げられます。先方が旅行記事の外注に慣れていない場合は、こちら側が提案することになるので、足元を見られないよう、正当な理由を付けて納得いく報酬を提示するといいでしょう。
旅行記事の経費の有無は必ず確認を
海外旅行ライターは、日ごろから観光エリア各地の写真ストックは取り溜めていることでしょうが、それでも「来週開催されるイベントに参加して、記事を書いてほしい」、「先月オープンした観光名所を取材してほしい」といった要望もあります。
このようにストックで対応できない場合は、その記事のために取材地に赴く必要があるため、当然移動費や宿泊費、できれば最低限の食費は経費として出してほしいところです。
しかし、依頼者の中には、記事報酬の中に取材にかかる必要経費も含んでいると認識しているところも少なくありません。1~2記事のために経費は自腹で取材地に足を運んでいては、ほぼ100%赤字になります。そのため、得意先であっても、取材にかかる経費が報酬額を上回る契約は避けるべきと言えます。
契約期間は海外旅行ライターにとってはあまり意味をなさない
数か月旅行記事を提供し続けていたものの、思ったように結果が出なかったためか、突然契約を打ち切られることは、海外旅行ライターであれば度々あります。
契約書には「契約を終了する場合は三か月前に申し出る」、「契約期間中のキャンセルはできない」と記載があっても、実際は「申し訳ないが今月で契約を終了したい」と言われるのが常となります。
契約違反であることを指摘しても、結局相手にこれ以上の支払う意思がなければ、こちらは泣き寝入りするしかありません。そのため、例え商談に成功して、1年間の契約に取り付けたとしても、それで一喜一憂しないよう、常に新規開拓を続けるようにしましょう。
海外旅行ライターの魅力は国内ライターよりも高単価!
海外旅行ライターが、物価安の東南アジアの地場企業から旅行記事の依頼を引き受ける場合、その多くは日本にある日系企業から受注するよりも、報酬は高めとなります。その理由は、
1.外国では日本人旅行者の集客を重要視している
2.日本人旅行者の集客方法(マーケティング)を知らない
3.東南アジアのような発展途上国では、SEO対策はここ数年で流行りはじめたため、総じて受注価格が高い
などが挙げられます。そのため、海外旅行ライターとして活動していく中で、なかなか日本の旅行会社に採用されないときは、目線を変えて、現地の地場企業に日本人マーケティングの提案をしてみるのもおすすめです。