旅行ライターになれば、日々旅行記事の執筆に追われることになりますが、できるだけ報酬の良い依頼主と長くお付き合いしたいところです。しかし、記事募集の中には、契約して初めて分かる理不尽な要求や依頼内容もあり、ライターになりたての人は、よくはまってしまう落とし穴があります。
そこで、今回は旅行ライターが依頼及びクライアント企業を選ぶポイントと注意点をご紹介します。
旅行記事募集案件で最近増えてきた「成果型報酬」
募集しているWEBライティングの案件には「成果型報酬」と「固定報酬」の2種類があります。固定報酬は記事単価となります。記事単価は1記事〇〇円、もしくは1文字〇〇円となりますが、いずれも記事がもたらす成果に問わず受け取ることができる報酬形態となり、実際この手の募集が全体の8割を占めています。
一方で昨今増えてきた成果型報酬の募集形態は、記事を書いたあとに依頼主のサイトにアップされ、PV(総クリック率)やUU(ユニークユーザー数)を見て、所定の計算式をもってして報酬が決定します。
旅行記事における成果型報酬募集のメリット
旅行記事において、成果型報酬のメリットは「自分の記事がバズったり、読者受けしたら報酬が飛躍する」ことです。普段1記事数百円程度の報酬しか受け取れなくとも、もし何かしらの拍子でクリック数が激増したら、1記事の報酬が数万円を超えることもあります。
また、成果型報酬の場合は、自分で執筆するテーマを決めることができます(依頼主側は報酬の責任をとれないため)。そのため、依頼主に書く内容を束縛されたくない、最初から最後まで自由に旅行記事を完成させたいと言う方にはおすすめかもしれません。
旅行記事における成果型報酬募集のデメリット
この成果型の募集ですが、旅行ライターを趣味でやるのであれば、バズることを期待して日々記事を書くことができますが、一方で、旅行ライターを本業として活動するのであれば、おすすめできない募集形態となります。
なぜなら、成果型報酬というのは、基本的に依頼主の“さじ加減”で報酬が決まってしまうからです。
どんなに良い記事を書いても、依頼主のサイトの運営状況が悪ければ内々の計算式で報酬は下げられてしまいますし、国内需要が多いと判断したら、国内旅行記事ばかりがピックアップされて、海外旅行記事は端においやられてしまい、当然クリック数も見込めません。基本的に依頼主のみが得する募集形態となります。
旅行記事を募集する企業は年々増加中。ライターが応募すべき業界とは
旅行記事を募集する企業は年々増加傾向にあると考えられます。旅行業界はもちろん、IT企業が観光情報サイトや旅行予約サイトを立ち上げるケースも目立ってきましたし、地方自治体が自分たちの名産品や観光地を海外にPRするために旅行ライターを雇うケースも多くなってきました。
他にも有名ホテルやレストランがSEOを目的に旅行記事を求めるようになりました。このように、年々企業やお店が集客にかける予算は、紙面媒体からネットへと移行している様子がうかがえます。
IT企業と市場調査会社の旅行記事募集の注意点
ネット集客の重要性を熟知しているIT企業や市場調査会社の募集も近年は増えてきました。特にコロナウイルスの影響でメーカーは海外に行くことができないでいるので、海外現地在住で機動力の高い旅行ライターが重宝される傾向にあります。
両業界とも記事の報酬は旅行会社よりも高く設定されていますが、その分旅行以外のビジネスや政治経済の現地情報記事が求められます。また、依頼主側で編集者が在籍しているわけではなく、基本的に旅行ライターが書いた記事をそのままサイトにアップするため、旅行ライターへの作業負担は大きいです。
例えば「ワードプレスにログインして自分で更新する」、「記事とは別に要約文や画像のキャプションを作らなければならない」、「グラフや図形の作成を求められたり、見出しやタイトルの文字数といったルールが多くある」といった記事制作以外の作業が煩わしいのが特徴です。
こういった内部ルールは募集要項には記載されていなく、契約と同時にPDFなどで渡されるため、焦って契約書に署名するのは避けましょう。本当に報酬と作業量が見合っているのかを確認してからお付き合いするといいでしょう。
地方自治体からの募集依頼は積極的に受けるべき?
地方自治体からの募集依頼も近年は増えてきました。とりわけ東北や東関東、九州において、自分たちの名産品や観光地を海外にPRする自治体が目立つ印象です。
企業という後ろ盾がないフリーランスの旅行ライターにおいては、観光アンバサダーとしてキャリアに箔がつく案件となるので、是非とも受けてほしいですが、「Facebookのフォロワー〇〇人以上」など現地との繋がりを示す実績が求められる募集条件があります。
また、入札案件となるケースが多いので、ライバルもそれだけ多くいます。報酬はそれほど高くないので、あくまでも実績作りとして割り切ることも必要です。
旅行ライターが本業ならば、募集要項とは別にしっかりと交渉を
フリーランスの旅行ライターは依頼主と業務委託契約を結ぶことになります。一度結んだ契約は撤回することが難しいので、必ず契約時に自分の作業領域を確認するようにしましょう。
また、募集要項とは別に記事報酬の交渉も行うことができます。実績とキャリア、記事のテーマや難易度によって記事単価が変わることは、依頼主も承知しているはずですので、交渉を突っぱねられることはほとんどありません。
また、報酬の交渉以外にも月の記事作成数やテーマの自主提案なども必要に応じて話し合ってみるのがいいでしょう。毎回依頼主から指示されるテーマを書くよりも、自分が得意なテーマや、すでに写真のストックがある記事を自分から提案することができれば、記事作成の効率化を図ることができます。
旅行ライターの募集条件をクリアする必要は必ずしもない
旅行ライターの記事募集の条件を確認してみると、「SEOの基礎知識がある方」、「過去に紙面媒体の執筆経験がある方」、「WEBライティング経験2年以上」といった、駆け出しのライターにとっては、少々ハードルが高い項目がしばしば見受けられます。
仮に今の時点で当該条件をクリアしていなくとも、テスト記事で品質が認められたり、海外在住者であることをPRすれば、採用される可能性は高いです。多少募集要項にそぐわなくとも、まずは応募してみるといいでしょう。
旅行ライターの募集における、テスト記事の注意点
旅行ライターを募集している依頼主の中には、テスト記事を書いて、その品質で判断することもよくあります。このテスト記事に報酬が発生するかは依頼主によって異なりますが、ここで気を付けてほしいのが「テスト記事で2000文字以上の記事を求める依頼主には注意が必要」というものです。
中には無報酬のテスト記事で「3000文字+各見出しに写真」等を求める依頼主もいますが、これはさすがにあり得ません。1記事1万円を超える報酬であれば別ですが、1記事数千円や1文字1~1.5円程度の報酬の場合、高い確率で安く叩かれます。ライター軽視といっても過言ではありませんので、くれぐれも自分の記事を過小評価しないでください。
旅行ライター駆け出しのうちは質より量。まずは積極的に応募をしてみよう
旅行ライターの駆け出しのうちは、実績作りが大切です。様々な依頼主から仕事を引き受けていくうちに、正当な報酬や条件、ルールを知ることができるので、仕事の取捨選択はそれからでも遅くありません。
また、旅行記事の募集に応募したからといって、仕事を引き受けなければならないわけではありません。まずは1度仕事をしてみて、良い取引ができそうであれば継続するよう話し合うこともできますので、積極的に応募してみてください。