トラベルライターとして長く続けていきたいならば、ライティングスキルの向上は欠かせません。特にプロと名乗るからには、webだけではなく雑誌や書籍に寄稿しても恥ずかしくない技術を身に付けなければなりません。
ライティング技術を上げるためには、上手い人の文章を参考にするなど、幾つか方法があります。そこで、今回はライティングスキルの向上方法をご紹介します。
ライティングスキルの向上により、受けられる恩恵
クライアントによって求められるライティングスキルは当然異なります。アフィリエイト記事やブログ記事の代行をする程度であれば、副業ライターでも十分こなすことができるでしょう。
しかし、感性ある旅行記事や、出版社や新聞社からの依頼で文章を書く場合は、相応の文章力を求められます。
もし自分のライティングスキルが未熟の場合、「貴方の文章は独特ですので、ちょっと控えさせていただきます」と顧客からやんわりと断られることもあります。
大型案件を落とすことは収入減にも繋がりますので、どのニーズにも対応できるよう日ごろからライティングスキルは高めておく必要があると言えるでしょう。
上手い人の文章を参考にするのは非常に効果的
ライティングスキルと一概に言っても、トラベルライターに求められるスキルは他とは少々異なります。
ただただ文章が上手くとも、その町や風景、人、名物などの情景を感性込めて相手に伝えるスキルが必要です。
1日2日で習得できる技術ではありませんが、効率よくトラベルライティングの技術を身に付けたいならば、まずは「上手い人の文章を読み込む」ことを強くおすすめします。
そこで、ここでは参考にしてほしい旅行ライターを数名ご紹介します。
長谷川 大(はせがわ だい)~All About 海外旅行ライター
海外旅行という枠を飛び出し、世界史や世界情勢などの執筆も請け負い、これまで数多くのwebおよび雑誌メディアで彼の記事が紹介されています。通常旅行記事の大半は所謂「ですます調」ですが、彼の文章は「である調」が特徴です。
である調の場合、どうしても上から目線になってしまいがちなのですが、そこは彼の正しい国語力と、読者が知りたい以上の知識力でカバーしている印象を受けます。
彼のバックグラウンドの詳細は不明ですが、どうやら編集経験もあるよう。彼の文章を一節ごとに読み込んでいけば、基本的な国語力の向上を期待することができるでしょう。
沢木 慎太郎(さわき しんたろう)~LINEトラベル海外/国内旅行ライター
「放送局ディレクター・紀行小説家」という興味深い肩書を持つ沢木氏は、国内外の旅先を取材する人気の旅行ライター。
若手のブロガーやトラベルライターの所属が多い同サイトのライターの中では、頭一つ抜き出たキャリアを有している印象です。文章も正統派でクセがないため、苦手意識を持つ人は皆無。
また、小説家としても活躍されているため、随所にうかがえる表現力は非常に勉強になるはずです。
安藤美紀(あんどう みき)~LINEトラベル国内旅行ライター
LINEトラベルのナビゲーターの中では5指に入る人気の高い国内旅行ライター。取材先と綿密に話し合った相当練り込んだ記事であることが読んでいて分かります。
トラベルライターになると、ある程度数をこなさなければならないので、つい1つの記事に対しての取材量が少なくなってしまいがち。その点安藤氏の記事は妥協が一切見られません。
投稿写真も自分撮影とクライアントからの提供写真をうまく使い分けているのも技術の1つ。文章自体は比較的ラフで読みやすい会話口調が多いので、女性のトラベルライター志望者は共感しやすいのでは。
プロのライターが気を付けているライティング方法
プロのトラベルライターとして幅広く活躍したいのであれば、日ごろから記事を書く際にこだわりを持ち、細心の注意を払う必要があります。では、ライティングの際にはどのような点に気を付ければいいのでしょうか。
書いた記事は必ず読み返す。ただし何度も読み返す必要はなし
初歩的な注意点かもしれませんが、書いた記事は必ず読み返す必要があります。これは誤字脱字のチェック、および文章の修正のため。
トラベルライターは感受性が強い方が多いので、ついついその場の気分や雰囲気に任せて文章を書いてしまいがちです。もう一度読み返したら、うまく相手に伝わらない文章であったり、主題とは外れた見出しをつけていることもよくあります。
ただし、誤字脱字も含めて見直しは1回、多くても2回程度で十分です。その理由は、国語文章含む誤字脱字は、自分では見つけられない点が多いので、一通り文章チェックをしたら、あとは納品先の編集者に任せてしまうといいでしょう。
また、文章の修正も同様です。「10回見直したら10回修正点が見つかる」のが文章ですので、ある程度で区切る必要があります。また、どんなに「この文章は完ぺきだ」と思っても、結局編集者から相応の赤字が入りますので。
とにかく国語力を身につける。文章は一節ずつ意識して
表現力はある程度のボキャブラリーが必要となるので、一朝一夕に身につくものではありません。しかし、国語文章力であれば、ちょっとした意識の違いで各段に上がります。
まず、出版社も編集者も旅行会社も、トラベルライターには難しい文章は求めていません。ビジネス書や論文を書くわけではないので、大切なのは「誰もが読みやすい文章」を心がけることです。
では、読みやすい文章とはどのようなものなのでしょうか。それは、「主語・修飾語・述語が明確である」こと。そして、「助詞と助動詞、動詞を正しく活用できている」ことが挙げられます。
主語・修飾語・述語を明確にする
書き終わった文章を見直すと、「この文章主語が抜けてる」ということがしばしばあります。それは、書き手となる自分では頭の中で主語を無意識に理解しているからです。
しかし、読み手となる読者に自分の頭の中の情景は伝わりません。そのため、とある文章の一節で主語が抜けていると、「これ何のことを言っているのかな」と読者は文章を遡って読み直すことになります。
これが文章の読みづらさを引き起こす大きな原因となります。
助詞と助動詞、動詞を正しく活用する
中学生のころに、動詞の五段活用を学習したのは覚えていますか。未然連用終始連体仮定命令といったやつです。実はこれは正しい文章を書く上で非常に重要。
文章の大部分は動詞に助詞、あるいは助動詞が接続しているからです。ライティングスキルがなかなか向上しない、という方は、一度初心に戻って昔習った国語を再度学習することも必要かもしれません。
重要な記事の場合は、印刷して活字で読み直す
レベルの高い文章を求めてくる出版社や新聞社から記事の執筆依頼を受けた場合、1度や2度の見直しでは不十分かもしれません。
そこで効果的なのが、「書いた記事を印刷して読み直す」ことです。パソコンの画面で読む場合と活字印刷された文章を読むのとでは、印象がまるで変ってくることが多々あります。
読み手を意識した文章を書くことが、トラベルライターとして成功する近道
トラベルライターとして日々記事を書いていると、どうしても独りよがりな文章になってしまったり、ネットで得た知識をそのまま書いてしまいがちです。
しかし、トラベルライターの醍醐味は、自分の経験で得た知識や情景を読者と共有することです。トラベルライターが書いた記事というのは、往々にして臨場感とリアリティがなければなりません。
常に読み手を意識した文章を心がけ、正しい言葉遣いを身につけ、感性溢れる記事に仕上げることが、トラベルライターとして成功する近道と言えるでしょう。