トラベルライターとして活動するに当たり、押さえておきたいのが“報酬”に関しての情報。
もちろん旅行や生活情報の記事を執筆し、それに対する対価を報酬として受け取るのですが、報酬体系や受け取り方、経費の有無などは、実はクライアントやトラベルライターとしてのキャリアによっても異なる面があります。
今回はトラベルライターの報酬や経費の有無についてご紹介します。
新米ライターは要注意!トラベルライターの報酬は現金とは限らない
トラベルライターの報酬は、必ずしも現金とは限りません。ライター稼業をはじめた駆け出しのころは、当然仕事を探すのも苦労を強いられます。
「報酬が安いところでもいいから、とにかく今は仕事を請け負う」ことを最善の策として考える人もいますし、それも正解の1つと言えるでしょう。
そんなトラベルライターが行きつく先には、「報酬はポイントでお支払いします」、「報酬はアマゾンギフト券でお支払いします」といった報酬が現金ではないライター募集サイトも挙げられます。
通常、報酬(給料)といえば現金に違いないと考えていると、一杯食わされることもしばしばあることは覚えておいて損はないでしょう。
また、ポイントサイトは消費税が課税されないという点において、副業ライターから一部で有難がられているようですが、ポイントを現金に交換する場合は、システム手数料で一律500円程度引かれたり、さらに銀行への振込手数料も自己負担というケースもざらにあるから驚きです。
ランサーズやココナラのようなフリーランサーのマッチングサイトで案件を引き受ける場合は、安価な値段が交渉成立しやすいため、1記事1000~2000円程度が報酬の相場として一般的。
文字単価にすると0.8~2円前後。トラベルライターとして長く活動を続けるためには、どうしても継続案件が必要となってくるので、取引先と交渉し、毎月まとまった記事の依頼を貰うことができるようであれば、料金も交渉に応じる方が得策です。
中堅トラベルライターの報酬事情。記事作成代行業者の報酬事情
トラベルライターとして板についてきたら、徐々に記事単価にこだわっていきたいところです。記事作成代行業者の外注ライターとして登録したり、旅行情報サイトの外部ライターとして活躍するのが中堅ライターの目指すべきところ。
昨今のIT業界では、SEO対策の中でも記事の更新が日に日に重要度を増してきており、「contents is king(記事は王様)」と言う言葉も生まれるほど。
そのため、記事作成代行業者も年々増えてきています。これらの業者に外注先のライターとして登録すると、執筆希望テーマに沿って依頼のメールが来ます。
報酬は現金で源泉徴収が引かれる場合がありますが、基本的に報酬体系はクリアです。
業者によって複数のクラスが用意されており、最初はベーシックライターから始まり、その後スタンダードライター、プレミアライターと段階を追って報酬も上がっていきます。
業者が仲介手数料を得るので、文字単価は1~4円程度と天井が見えてしまうのが難点ですが、継続案件が多いため、収入が安定するまでは、生活の糧にできるだけ多くの業者に登録しておくのがいいでしょう。
不明瞭な報酬体系には注意が必要
ライター募集サイトの中には、意図的に報酬体系を可視化しないところも少なくありません。
そして、残念なことに不明瞭な報酬体系は旅行情報サイトに多い仕組みでもあります。旅行情報サイトは一般的に書きの3つが主な収入源、および収益の仕組みとなります。
① グーグルアドセンスによるクリック型広告収入
② クレジットカードや旅行グッズのアフィリエイトによる成功報酬型広告収入
③ ホテル&ツアー予約サイトと提携し、予約が発生するとコミッションを得る
④ バナー広告
そのため、ライターが執筆した記事のPV(クリック数)を重要視するのはもちろん、同記事からアフィリエイト収入が発生したか否か、ホテルやツアーの予約が入ったか否かがサイトにとって最も大切となります。
そして、ライターへの報酬は自社で決めた計算式に基づき決定される仕組みを採用し、その計算式は機密事項として公開していないのが普通。
この手の報酬体系を取り入れている旅行サイトは非常に多く見られるのですが、1.記事を大量に投稿しないと稼げない
2.記事の品質よりも執筆する観光都市の日本人旅行者数(ニーズ)に依存する
3.海外よりも国内旅行記事の方が需要が高い
4.どんなに良質な記事を書いても、会社の売上によって報酬が下がる
といった欠点があります。
このようなサイトに登録する場合は、自分の執筆できる渡航先がどの程度日本人に需要があるのかを事前に確認すると、割を食う心配が減ります。
ベテランのトラベルライターの報酬について
トラベルライターとして5年以上続けることができれば、すでにベテランの域にいるはずです。
記事の報酬は1文字〇円といった文字単価ではなく、記事のテーマや難易度、文字数、写真の有無、月の執筆本数などによって相対的に鑑みて1記事当たりの料金を決めるといいでしょう。
報酬単価は顧客の企業規模や、自分の記事をどれだけ高く評価してくれているかによって異なりますが、ウェブライティングで1記事5000円~2万円程度が相場となります。
取材やインタビューが発生する場合は2~5万円程度まで相場は上がり、雑誌マガジンへの掲載ならば、5万~10万円前後が報酬として一般的です。受け取り方は一括後払い。
1つの記事に対してこれほどの対価を支払うことができるのはそこそこの企業となりますので、企業の支払いサイクルに合わせての振り込みとなります。
月末月初にトラベルライターから請求書を経理に送付することも普通ですので、フォーマットは予め作っておくといいでしょう。
紙媒体の報酬と取材費に関して
書籍や雑誌に記事を執筆する場合は、出版社規定の報酬が支払われます。自著であっても初回原稿料はある程度受け取ることができますし、微々たるものかもしれませんが、印税も毎年振り込まれます。
取材費も必要な場合は随時許可を取って経費計上することができ、取材相手に支払う報酬も幾分出ますので、取材費として別途出る金額はウェブ媒体よりもかなり大きいと言えます。
トラベルライターの経費に関して
トラベルライターとして国内外を取材する場合、道中に発生する移動費や宿泊費、飲食費といった経費はどこまで出るのでしょうか。
実は、経費は記事の報酬に含まれていることが一般的です。ただし、クライアントから取材先の指定がある場合は、経費を別途申請することができる可能性も高いです。
往々にして認められる経費は、移動費と宿泊費、取材相手とのカフェ代のみ。取材自体は1日で終わるので、宿泊費として計上できるのは1泊のみが普通で宿泊予算も上限は5000円程度と決まっています。
また、カメラマンや通訳を雇う必要がある場合は、取材費という名目で経費計上することができますが、場合によっては記事代に含まれていることもあります。
報酬・支払い方法は必ず契約前に確認を
会社に属していないトラベルライターは、契約・条件面で足元を見られることがあります。
労力にそぐわない安価な報酬や、明らかに不利な契約はするべきではありませんが、その場合は断りを入れる前に一度交渉をしてみてください。トラベルライターの肩書として活動しているプロはそれほど多くはありません。
こちらが一生懸命クライアントを探している一方で、相手も自社の事業・サービスをより発展させてくれるライターを探しています。
クライアントがトラベルライターを貴重な人材として迎え入れたいと本気で考えているのであれば、記事単価や支払い方法、経費の面で極力交渉に応じてくれるはずです。契約はあくまでも対等であることを覚えておきましょう。