Webライターの記事作成には「リライト」業務も含まれます。近年はSEO対策のためリライトに注力する企業も増えてきました。ここでは正しいリライト方法や業務委託を受けるポイント、注意点などを解説します。
フリーライターの中でもリライトがあるのはWebライターだけ
既存の文章を修正する「リライト」業務とは、既存の記事の文章や画像を追加修正して品質を向上させるのが仕事内容となりますが、実はこれはWeb記事に限ったこととなります。
一般的に雑誌書籍におけるリライトとは「記事の内容を作り直す」ことを意味し、文章の加筆修正ではなく、起承転結や段落、章・節を構成し直す作業となります。かなり高度な専門スキルが必要なため、作者が行うのではなく、出版社の編集者やリライターと呼ばれる専門職の人が行う業務となります。
リライト業務が文章の加筆修正を意味するようになったのは、SEO対策のためWeb記事の品質が重要視されるようになった2000年代となります。
Webライターにとってリライト案件はどう映る?
Webライターの業務は大きく分けて「記事の新規作成」、「記事のリライト」、「記事取材」の3つがありますが、その中でも今回のテーマとなる記事のリライト業務は、あまりWebライターが請け負いたくない作業の1つとなります。
企業からすると、既にできあがった既存記事の加筆修正のため、新規記事の制作よりも手間がかからない分、報酬(文字単価/記事単価)を安く設定しがちです。
しかし、すでにある程度完成された記事にさらに文章を加筆修正するのは、プロのライターでも容易ではありません。数百文字程度の加筆のために業界知識や専門知識を身に付けなければならないため、時間的効率は酷く悪く、「既存の取引先からの要望でない限りリライトは請け負わない」というWebライターは多くいます。
Webライターが企業からリライト案件を請け負う時の注意点
上述したように、Webライターにとってリライト業務はそれほど割の良い仕事ではありません。しかし、取引先から要望があれば応えなければなりませんし、断ることによる印象や契約解除リスクも考慮しなければなりません。
そこで、以下ではリライト業務を引き受ける際のポイントや注意点を紹介します。
リライトの報酬は必ず確認・交渉する
上述の通り、リライトを依頼する取引先は、通常の記事作成よりも安い報酬を提示する傾向です。SEO対策に注力する企業ほどリライトの案件数は多くなるため、初めてリライトを請け負うときにしっかりと報酬の交渉はしておきましょう。
理想は新規の記事作成と同じ文字単価で受注することです。取引先が渋っている場合は、①新規記事の作成と同じくらい手間がかかる、②文字数が少ないため作業量の負担が大きく割に合わなくなる、③自分が手掛けた記事でない場合は、記事全体を見直すため時間がかかる、ことは説明するのが良いでしょう。取引先もライターがリライトに対してどのくらいのリソースが必要なのか分かっていないケースが多いためです。
リライトの報酬体系を確認する
新規の記事作成では文字単価・記事単価ともに明瞭な計算が可能ですが、リライトの場合は以下報酬の発生の有無を確認するようにしましょう。
- 文字単価か記事単価のどちらかを確認する
- 文字単価の場合、文字の修正はどのようにカウントするのかを確認する
- 見出しに画像をつけるかを確認する
- 構成シートの有無を確認する
文章の追記は慣れていないと予想以上に難しいです。構成シートがあれば、どのような内容を追記すればいいのか指示がありますが、シートがない場合は自分で考えなければならず、記事テーマとSEOに関する深い知識が求められます。当然学習コストが掛かるため、それらを含めて報酬に納得できるかが重要なポイントとなります。
取引先から喜ばれる「SEO」を鑑みたWebライターのリライト方法を解説
Web記事におけるリライトでは、SEO対策の知識が必要となります。詳しいリライト方法は取引先から提示されるはずですが、以下ではどのリライト業務にも適用できる作業方法を紹介します。知っていることにより、「このライターはWeb記事のリライトの目的を分かってるな」と取引先から高評価を受けることもあるかもしれませんので是非覚えてください。
ただし、取引先から構成シートや作業内容の指示がある場合は、そちらを優先してください。
各ブロック(見出し)の文字数を整える
記事を見直したとき、見出し(h2)下の本文の文字数や、小見出し(h3)の数が偏っていると全体のバランスが悪く違和感を覚えます。文章の新規作成時は無意識に得意とする見出しの文字数を増やしてしまいがちなので、見出し毎の文字数を一度確認してみると良いでしょう。
画像のALT tagを追加する
リライトの目的は記事の品質を上げて、Google検索順位の上位表示を目指すものとなります。そのSEO施策の一環となる確認項目が「画像のalt tag」です。記事中に画像を挿入しても、Googleは画像の内容(中身)を理解することができません。そのため、alt tagをつけてあげることで、Googleにどんな画像かを伝えることができます。alt tagは日本語でも英語でも構いません。キーワードを詰めこむ必要はありませんので、「散歩している子供連れ家族」、「病院で診察を受けている男性」のように端的に画像を要約するテキストを挿れるのがおすすめです。
共起語を含める
SEO対策及びリライト業務で度々出てくる「共起語」とは、検索エンジンでキーワード検索した際に上位に表示される記事の中で、文中に頻出する単語を指します。一般的には見出し(h2)と見出し以外の本文に区別して共起語を抽出し、既存記事に抜けている単語があれば、前後の文章のつじつまを合わせて埋めていきます。
関連ワードを見出しに挿れる
GoogleやYahooといった検索エンジンでキーワード検索すると、ページの上段・下段に関連ワードが表示されます。こちらは当該キーワードを検索した人が、併せてよく検索しているワードとなります。検索ボリュームを反映しているわけではありませんが、需要のあるキーワードなので見出しに含めることでSEOで優位になると考えられています。
稼ぐWebライターのリライト案件の受注方法・契約内容など
収入が高くWebライターとして成功している人は、上記の説明からも分かるように、リライト案件を受ける際は細心の注意を払います。現在リライト案件の受注を検討している人は以下の要領に沿って請け負うか否かを決めてみてはいかがでしょうか。
一度トライアルを受けた後報酬の交渉をする
リライト案件は取引先の企業によって作業量が大分異なるのが特徴です。そのため、闇雲に受注してしまうと、「1日かけてリライトしても2000円しか稼げなかった」といったことにもなりかねません。そのため、依頼を受ける前に「一度試しに書かせてください。その後作業量を確認して再度打ち合わせをお願いします」とトライアルを持ち掛けるのがおすすめです。取引先の担当者も契約前にWebライターの実力を確かめることができるので、印象が悪くなることはありません。
まとめ:リライト案件は書面で契約を交わして受注するのがポイント
Web記事の新規制作案件はしっかりと業務委託契約を結ぶ一方、リライト案件はEmailやチャットのやり取りで依頼が来ることが良くあります。しかし、上述の通り、リライトは取引先の指示内容によって作業量が大幅に変わるほか、報酬体系も不透明なことが多く、Webライターにとって不利な条件で業務を依頼されることがよくあります。自分の身を守る意味でも、依頼を受ける際は業務範囲(作業範囲)を明確に文字に起こしてもらい、書面で契約を交わすようにしてください。