旅行ライター(トラベルライター)を志望している人の中には、フリーランスは不安のため、「正社員募集」を探している人も少なくありません。そこで、ここでは正社員として旅行ライターの業務に就ける業種や、フリーランスと正社員の収入や生活の違いをご紹介します。
フリーではなく正社員を目指す旅行ライターが多い背景
旅行ライターは一昔前までは記者・国内外ジャーナリストといった大きな括りの1つでしたが、IT化と海外旅行化が進んだ2000年以降は旅行記事の需要が非常に大きくなったため、旅行ライター・トラベルライターという新たな職種が生まれました。
しかし、旅行ライターという職種に馴染みのない人からすると、「旅行して記事を書いてお金を貰うなんて現実的なの?」、「フリーランスは安定しないから正社員の方がいいでしょう」と考えがちです。
毎月の固定支払いが多い日本人にとっては、安定した月額収入を得られる正社員に魅力を感じる人は事実多いでしょう。
正社員募集をしている旅行ライターはある?
旅行ライター及び旅行記事と言えば多くがフリーランスであり、企業はWEBライターに外注するのが基本となります。しかし昨今は旅行業界の拡大を受けて、正社員で旅行ライターを募集している企業も増えてきました。
旅行ライターを正社員で募集している業界とは
旅行ライターを正社員として募集している業界は、「旅行情報サイト」を運営するIT企業となります。国内と海外双方の観光情報を扱っている大規模なポータルサイトで、単なるアフィリエイト収入ではなく、自社独自の予約システムを導入している中小企業となります。
一方で旅行会社も募集していると思いがちですが、残念ながら正社員はおろか派遣すら募集は見当たりません。旅行会社は観光地各地に支店窓口があり、事務所のスタッフが片手間に記事を書いているため、旅行ライターや編集者という肩書で正社員を雇うことをしない傾向にあります。
正社員募集で旅行ライターになったときの業務内容とは
では、旅行ライターとして正社員になった暁には、どのような業務が待っているのでしょうか。
旅行ライターの正社員は、フリーランスのように取材に行くことは多くありません。取材経費がかかるため、基本は外注先に任せます。では、どのような業務が日常かというと、下記が主となります。
- 外注した記事の編集業務
- 外注先のフリーライターとの連絡共有
- フリーライターには任せられないインタビュー取材など
- 外注先のフリーライターに書いてもらう記事キーワードやタイトルの企画
正社員となった旅行ライターは、自分で記事を書くことはしますが、観光地に出向くことはほぼありません。また、普段の業務はフリーランスから上がってきた旅行記事の添削です。いわゆるディレクター兼編集業務がメインとなります。
また、インタビュー取材に関しては、自分でアポイントをとって、実際のインタビューはフリーランスに任せる方法と、取材まで自分で行うパターンがありますが、これは取材対象者がどれだけ重要人物かによります。
提携している取引先のマネージャー程度であればフリーランスに任せることができますが、新規で取材の申し込みをした企業の社長といった相手では、自社の社会的信頼にも関わるため、正社員である旅行ライターが直接出向くこともよくあります。
正社員の旅行ライターの応募条件とは
正社員で旅行ライターを募集している企業の応募条件を見てみると、
- 編集経験がある人
- 取材インタビュー経験がある人
- 出版・編集業界の勤務経験がある人
- SEO対策の知識がある人
- Photoshop&illustratorを扱える人
といった項目が見受けられます。正社員登用の旅行ライターは上述したように、原則編集スキルが求められます。文章の添削やライターへの指示をするだけではなく、自身でも記事を書くためデスクワークによる競合調査やSEO対策の知見が必要となります。
正社員の旅行ライターの平均年収は450万円
正社員登用の旅行ライターは業界の職種でいえば編集者となりますので、平均年収は約450万円となります。しかし編集者の平均年収は中小と大手で大きく異なるため、旅行ライターを募集しているような観光情報サイトを運営するIT企業の場合は、若干年収を下回る可能性もあります。
ただし、編集長やディレクターといった役職を担うことができ、なおかつ事業が上向きであれば、年収600~800万円の収入を得ることも決して難しくはないでしょう。
フリーランスと正社員の旅行ライターの比較。どっちがおすすめ?
旅行ライターを志望する場合、正社員登用とフリーランスのどちらを選択するべきか迷ってしまう人もいるでしょう。元々編集者出身の人や出版業界に身を置いていた人は、正社員登用の方がキャリアアップの近道となります。大規模の観光情報サイトを運営しているIT企業であっても、編集者は不在にしていたり、編集経験のない人がディレクターを担っていることがよくあります。昨今はコンテンツによるSEO対策が重要視されているため、編集経験があり、自身でも記事が書ける旅行ライターは非常に重宝されます。
編集経験・実績のない旅行ライターはフリーランスがおすすめの理由
一方で編集経験やライターとしての実績のない方は、フリーランスとして旅行ライターをはじめるのがおすすめです。
フリーランスで旅行関連企業から記事案件の依頼を受けることができれば、自身の足で取材をすることができますし、「旅行をしながら生計を立てる」旅行ライターの醍醐味を体験することもできるでしょう。
また、フリーの旅行ライターとしてある程度実績を固めることができれば、正社員よりも高い収入を得ることも十分実現可能となりますし、逆に生活に困っているのであれば、正社員への応募を検討することもできます。既に旅行ライターとしての実績がある分、採用もされやすくなるでしょう。
正社員の旅行ライターは安定しているが将来性の点で疑問もある
正社員として登用されれば、毎月固定の給料が入るため、生活自体は安定します。しかし、新型コロナのように旅行市場が閉鎖してしまうと、真っ先に解雇される正社員が旅行ライターであることも覚えておかなければなりません。
正社員の旅行ライターは良くも悪くも会社の事業発展に注力しなければなりませんので、仮に解雇されたり会社が倒産してしまった際、なかなか潰しが利かない職業でもあるかもしれません。
一方でフリーランスであれば、コロナにより旅行需要が一時的になくなったとしても、その期間中は旅行以外の記事を請け負うことで収入を維持することができます。特に近年はSEO記事が重要視されており、経験者に対しては1文字2~4円程度で依頼を請け負うことができます。1日1万文字を1記事書くだけでも20日勤務で40万円から80万円の月収を確保することができます。
正社員希望の旅行ライターは要注意。入社後にギャップを感じることも
今回は正社員登用の旅行ライターの業務内容やフリーランスとの比較をご紹介しました。フリーランスの旅行ライターは取材と執筆がメインですが、正社員は記事の管理が主業務となります。また、入社後に部署の異動の可能性もありますので、「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあるかもしれません。
これから旅行ライターを目指している方は、まずはフリーランスでキャリアを作りつつ、「旅して収入」を体験してみるのがいいでしょう。