
トラベルライター含むライター職の多くは、自分の書いた文章が書籍となることに憧れを抱いています。最近は電子書籍で気軽に出版できる時代となりましたが、それでもライターが心の内で望んでいるのは活字に他なりません。
そこで、今回はトラベルライターに必ず覚えておいてもらいたい、編集者に見せる企画書の具体的な作り方をご紹介します。
ライターの企画書の持ち込みは今も可能?

作家が自分の書いた作品を出版社や編集プロダクションに持ち込む習慣は昔からありますが、昨今はどうなのでしょうか。小説や漫画など媒体によって対応は異なるかと思いますが、旅行関連の本に関しては、まだまだ持ち込みの余地があります。
元々旅行や移住関連の本は、著名作家が少ないので「出せば売れる」というジャンルではありません。そのため、初回の発行部数を少なくし、たくさんの本を出版して反応を見るのが通常です。
トラベルライターが本を出版したい場合は、出版社との繋がりがそもそもない場合、どんなにウェブライティングで記事を上げていても、一向に業界から出版依頼の連絡がこないことが普通です。
そのため、トラベルライターは自分から企画書を作り、出版社なり編集プロダクションなりに出版の提案をするのが、自著を作る最短の道と言うことができます。
企画書のボリュームと絶対に必要なこと

企画書を作るといっても、どんな内容でどのくらいの量を作ればいいのか、不明点も多いですよね。ネットで検索してもこの類を解説しているサイトは滅多にありません。
まず、企画書のボリュームは「少し深く読める程度」。パソコンのワードで書くならば、A4で4~8枚程度がいいでしょう。また、企画書に最低これだけは盛り込む必要がある、という事項は下記となります。
- 本の題名(もちろん仮題です)
- 自分のプロフィール。できるだけ自分の人となりが分かるように詳しく
- 作家としてのキャリアと実績。出版する本に関して、どのくらいの専門性があるのか分かるように。
- 読者のターゲット層。どんな人に読んでほしいのかを具体的に。
- なぜこの本を書いたら売れると思うのか(企画と狙いとニーズがマッチしているか)
- 本の内容
上記は必ず必要な項目となります。
ライターなら覚えておこう!本の題名の考え方

日ごろWEB記事を書いているトラベルライターの人は、「タイトルは32文字以内」、「SEOキーワードを含める」といった幾つかの条件を鑑みて題名を決めていますね。書籍であってもこれは同じ。
手に取ってもらいやすい題名を考える必要があり、そこには「タイトルは〇文字以内」、「漢字は〇文字以上続けない」、「ぱっとみてどんな本か理解できる題名」のように、幾つかの法則があります。
もちろん題名を考えるのは最終的には編集者の仕事となるのですが、トラベルライターも編集者が興味を引くような題名を企画書に盛り込むのは、非常に重要なことです。題名は企画書の最初に記載するので、上記の要素を鑑みて、熟考して決めるようにしましょう。
似ている本を絶対に探すべき理由

自分が出版したい本を「いままでにない新しジャンルの本です」とPRするのは、一見するとオリジナリティある本としてプラスに考えがちです。しかし、出版社、いわゆる本を売る側の立場として考えると、過去に売れた実績がないジャンルを無名の作家から出版するのは、リスクしかないのです。
そのため、自分の本の内容を出版済みの本と照らし合わせて、「〇〇の本は過去にベストセラーとなっていますが、私が出版したい本は、このような中身の本です」とPRした方が、編集者としては参考値があるため前向きに検討できるのです。
初版と重版、印税の関係をよく理解しておく

企画書の中には、自分で分かる範囲でかまわないので販促の方法を盛り込むことをおすすめします。例えば自分の知り合いに買ってもらったり、知り合いが勤めているスーパーの書店売り場に陳列させてもらうことができるならば、自分がさばくことができる部数を目安として記載しましょう。
出版社は売れなかった場合に在庫を抱えるリスクがあるので、無名の作家から出す本の初版は4000部以内と低く見積もります。逆にこの部数を売り切ることができれば、出版社側は赤字にはなりませんので、作家をプラスに評価します。
ちなみに、出版したら印税が入ると考える人も多くいますが、これは契約次第。印象としては最初に原稿料として20~30万円貰い、印税は重版後から受け取れる、といった契約が多いのではないでしょうか。
プロフィールの作り方

企画書はワードやパワーポイントなどで作り、決まった書式はありませんが、プロフィールは1枚埋めるように、できるだけ多くの情報を盛り込みましょう。
特に海外在住のトラベルライターの場合は、直接会って打ち合わせをすることができないので、基本はメールか電話、zoomやSkypeを使ったオンラインMTGとなります。そのため「この人となら二人三脚で仕事ができる」と思ってもらえるようなプロフィールを作らなければなりません。
- 現職とキャリア
- 生い立ち
- トラベルライターになった動機と現在の仕事状況や私生活など
- どうして出版に思い至ったのか
- この本が出版したら売れると思った理由
- これまでの成功と挫折の体験談
このような情報をプロフィールに盛り込んでみてはいかがでしょうか。ちなみにプロフィールは履歴書のような箇条書きではなく、しっかりと文章として記載するようにしましょう。
本の内容の書き方

本の内容は無論すべてを記述する必要はありませんので、おおよその内容が分かるくらいでかまいません。ただし、こちらも箇条書きではなく、しっかりと文章に落とし込みましょう。また、本の内容と併せて、この本の読者層やニーズ、男性向けなのか女性向けなのか、どのくらいの専門性があるのかなども盛り込むと、より具体的になります。
企画書を見て売れないと分かる本もある
編集者は本を出版するプロであり、1冊の本を出版するにあたって、数百万円の投資を行います。そのため、企画書の段階で売れるか否かを見極めなければなりませんので、ライターが想像している以上に経験と目利きを持って企画書の吟味に当たります。
編集者は往々にして「売れない本は企画書の段階で分かる」と言います。そのため、ライターは面白い本、自分が書きたい本ではなく、売れる本を書かなければなりません。
- 題名や本の内容を読んでも、どんな本なのか全体像がつかめない
- 出版済の似ている内容の本の発行部数が往々にして少ない
- 時代遅れ(=ニーズが見当たらない)
上記のような本を出版しようと考える編集者はいません。自分が出そうと思っている本が1つでも上記に当てはまるのであれば、出版社に送る前に再考をするといいでしょう。
ライターは企画書を作って一人前。まずは「提案」することに慣れよう

例えば編集者から「〇月号の雑誌で『海外の子供の英語学習』の特集を組むんだけど、企画出してくれない?」と言われることもあります。そんな時も数日以内に企画書を作って提出しなければなりません。
このように、自著の出版以外にも、トラベルライターには企画書を作成する機会は幾度となく訪れるはずです。そんなときに作り方を知らないと、せっかくの仕事のチャンスも不意にしてしまいます。
トラベルライターを本職として仕事をしたいのであれば、企画書の作り方は最低限を覚えておくといいでしょう。