海外の勝手知ったる国や都市に何度も仕事で足を運んでいると、その国に慣れてしまい、本来守るべき法律や注意事項を無意識のうちに犯してしまう場合がよくあります。
特にアジア南米は日本とは考え方や文化、環境が大きく異なるので、常に初心に戻って注意深い滞在をおくることが求められます。
そこで、今回はトラベルライターが海外滞在中に必ず守るべき注意点をご紹介します。
アジアではドラッグは最高死刑となる
日本では特殊な環境に身を置かない限り、あまりドラッグ(薬物)に触れること自体がありませんが、海外では道端の現地人に声をかけられて、マリファナやコカインを斡旋されます。
一部を除き、これらはほとんどの国で法律で禁止されているので、外国人であっても見つかった場合は地元警察に捕まりますし、現地の法律に基づいて処罰されます。特にドラッグはアジアにおいては非常に厳しく取り締まられていて、少量であっても終身刑や死刑に処される場合があります。
日本のように初犯は執行猶予が付いて釈放される、なんてことはありませんので、絶対に甘い誘惑にのってはいけません。
ゴミやたばこのポイ捨ても禁止
ゴミやたばこのポイ捨ては発展途上国であっても最近は厳しくなってきています。イギリスやフランスのような先進国はもちろん、アジアのシンガポール、タイ、香港なども徐々にポイ捨てに対する処罰が厳しくなっています。
特にシンガポールとタイは町中に警察官がたくさんいますので、煙草のポイ捨てはすぐに見つかって罰金を払うはめになります。
東南アジアに何度も足を運んでいると、南国の都市特有の緩い空気感についつい流されてしまいがちですが、自分は外国人であり、日本代表の旅行ライターとして当該国に滞在していることを、今一度自認するようにしましょう。
賭博は違法性が高く、また詐欺が多い
賭博もトラベルライターが海外で注意すべきことの1つです。宝くじやカジノ、競馬のような合法的なギャンブルであれば構いませんが、基本的に内輪の賭博は禁止している国がほとんどです。
外国人旅行者が多く集まる観光地では、仕事終わりの夜にバーで一杯飲んでいると、現地人が声をかけてきて「これからポーカーやるんだけど、絶対勝てるように仕組むからまざらないか」と言い寄ってきます。
甘い誘いにのってゲームをはじめると、最初は勝てるのですが、最後の最後で大負けしてしまい、有り金を奪われるだけではなく、ATMでお金を下ろすまで付きまとわれてしまう事件が多発しています。
時には打ち解け合うためにカタコトの日本語で話しかけてくることもありますので、信用しないようにしましょう。
荷物をテーブルに置くのはリスク大!スリに遭う可能性が高い
フードコートで荷物をテーブルに置いたまま飲食店ブースに行ったり、カフェでトイレに行く際に貴重品をテーブルに置いたまま席を立つのは海外では置き引きのリスクがあります。
犯人はお金を持っていると思われる外国人をターゲットにしますので、ほんの少しの時間であっても、貴重品から目を離してはいけません。
アジアではひったくりが多発!スマホは安易に取り出さない
日本の町を歩いていて、ひったくりにいつ何時であっても注意を払っている人はおそらくいないでしょう。しかし、海外では非常に身近な犯罪であることは知っておかなければなりません。
特にトラベルライターとして取材で訪れるのであれば、ノートパソコンや顧客データが入っている外部HDDなども持ち歩くことになりますので、ひったくられたら大問題です。また、海外ではiPhoneを持つことがステータスとして認知されています。
もしiPhoneやそれに似た高価なスマホを道端で操作していると、後ろからバイクでひったくられてしまうかもしれません。「年に何度もアジア南米に行っているライターは、一度はひったくりの経験をするものだ」ともよく言われています。
貴重品の管理はホテル客室内でもしっかりと
パソコン、財布、パスポート、クレジットカードといった貴重品は、ホテルの客室であってもしっかりと管理する必要があります。外部の犯行もあれば、ベッドメイクのホテル従業員が犯行に及ぶことも考えられます。
当然のことながら客室には監視カメラが設置されていないため、仮に盗難に遭ったところで犯人を見つけ出すのは困難を極めます。
朝食や夜のレストラン・バーに足を運んだり、ホテルのプールを利用するといった、ちょっとした時間であっても、テーブルやベッドに貴重品を置い部屋を出るのは好ましくありません。セーフティボックスがあれば必ず保管するように心がけてください。
大金の両替はホテルがおすすめ
トラベルライターとして海外で仕事をすると、現地の取材先に報酬を払ったり、旅行のツアー参加代金、通訳料、宿泊費・移動費など、通常の旅行よりも多くのお金を持ち歩くことになります。アジア圏ではインフレが進んでいるため、日本と比べるとゼロの桁が多いことがよくあります。
そのため、10~20万円を現地通貨で両替すると分厚い札束になりますので、当然狙われる確率も高くなります。特に両替所は性質柄大金を持つ人が集まるため、ひったくり犯も外国人の動向を探っていることでしょう。
高級ホテルであればどこも両替サービスを行っているので、大金はホテルで両替するのが得策です。一般的にホテルは換金率が悪いと言われていますが、差がでるのはせいぜい数百円程度。ぼったくられることもないので、安心の両替処とみなすことができます。
クレジットカードは複数枚持参する
日本では現金払いがまだまだ主流ですが、海外ではカード払いが広く普及しています。カフェでコーヒー一杯飲んだり、コンビニでお菓子を一つ買うだけでもカードを利用することができます。
ただし、カードと決済端末機の相性が原因かは不明ですが、なぜかエラーが発生して使えないこともよくあります。そのためにカードを複数枚用意するのは、トラベルライターにとっての常套手段です。
海外を見ると残念ながら日本のJCBを使える店舗は多くないため、VISAかマスターカードを作っておくのが無難です。また、最近はカードで飛行機の航空券やホテルを予約・手配した場合、現地でチェックインする際に使用したカードを提示するのが普通になってきています。そのため、日本で利用したカードも必ず持参してください。
トラブルや問題が起きた場合は日本領事館・大使館へ相談を
海外現地でトラブルや問題が発生した場合は、まずは日本総領事館もしくは大使館へ相談するといいでしょう。
ひったくりやスリ、置き引きといった金銭被害の場合は地元警察に被害届を出すことになりますが、基本的に盗まれた金品が戻ることはありません。被害届が正式に受理されて捜査が開始するころには帰国している、なんてことも普通なので、当てにならないのが本音。
トラベルライターにとって困るのはパスポートの紛失です。クレジットカードは電話一本で利用を止めることができますし、仮に不正利用されたとしても自腹で支払う必要はありません。
また、パソコンやデータは盗難に遭うと非常に困りますが、トラベルライターは大容量の顧客情報と写真データを管理しているため、基本的にローカルに保存していることはないはずです。
DropboxやGoogledriveといったクラウドに保存できるオンラインストレージサービスを利用しているため、被害は最小限に済みます。パスポートの発行は総領事館と大使館で手続きをすることができ、新規発行をするか、帰国のみに使う臨時のパスポートを発行してもらうかによって用意する書類が異なります。
念のため日本を発つ前に渡航先の総領事館か大使館の所在地をメモしておき、必要書類(戸籍謄本など)は準備するといいでしょう。
思わぬ落とし穴も待っている。海外での仕事は油断禁物
トラベルライターとしてベテランの域に達している人であっても、海外現地では思わぬトラブルを抱えることもあります。その問題を最小限にとどめるためにも、ここで紹介した最低限の注意事項は守るようにしましょう。それがトラベルライターとして長く仕事を続けるコツでもあります。