コロナ以降に注目されている「複業(パラレルワーカー)」。複数の本業を持つ意味ですが、どのような仕事を選べばいいのでしょうか。
ここでは複業の1つにフリーライターをおすすめする理由と目指すべき将来像をご紹介します。
「複業(パラレルワーカー)」の歴史とコロナ以降注目されている理由
「複業」とは副業の意味合いを変化させた造語であり、遡れば「2004年」に厚生労働省が提唱した「複数就業」が由来と言われています。実際に複業という単語(漢字)が使われるようになったのは2017年同省公開の「働き方実行計画」、いわゆる働き方改革からとなり、「副業・兼業・複業」といった単語が盛んにメディアに取り沙汰されました。
この時点では副業も複業も浸透していなく、本業とは別の仕事を持つことを禁止する企業も多く存在しました。しかし、新型コロナ以降に転機が訪れます。会社が経営不安に陥ると、従業員の雇用に責任を持つことができなくなり、良くも悪くも副業を容認した会社が増えてきました。また、今後は自身の生活と将来を守るため、本業を幾つも持つ複業をすることが普通になると想定されています。
副業と複業、パラレルワーカーの違い
以前より浸透していた「副業」は、本業の傍らアルバイトや在宅ワークなどをこなして毎月一定の収入を得ることを指します。往々にして勤務時間・作業量・収入は本業よりも小規模となることがほとんどです。
一方で「複業」は、「本業を複数持つこと」を意味します。また、「複業」という単語が使われるようになったと同時に、「パラレルワーカー」という言葉も浮上しました。パラレルワーカーと複業は同じ意味合いとなり、和製英語となります。英語の表記では「Parallel worker」ですが、英語で複業を説明するときは「Parallel career(パラレルキャリア)」とした方が外国人には理解されやすいでしょう。
複業とフリーランスの違い
複業が最近作られた造語である以上、明確な定義はありませんが、一般的にフリーランスとは以下のように区別される傾向にあります。
フリーランス:個人事業主を指し、会社と雇用契約にありません。また、本業が1つだけでもフリーランスと呼ばれます。
複業:本業を2つ以上もつ場合を指し、会社との雇用契約の有無は問いません。会社員でありながら他にも本業と呼べる仕事をしているのであれば、「複業している」と言うことができるでしょう。
よくある複業の事例
新型コロナ以降は複業の事例も数多くなっております。複業家の多くはいままで会社員として培ってきた本業と関連する仕事から始めている様子がうかがえます。
複業の事例1.Web制作会社に勤務している人が複業でWeb制作やホームページの修正・カスタマイズを請け負う。
複業の事例2.通販サイトの運営会社に勤めている人が複業で海外ネットショップを運営する。
複業の事例3.出版社で働く人が複業で記事作成やディレクション業務を請け負う。
複業の事例4.会社員として働く傍ら、自分の語学スキルを活かして翻訳・通訳業務を請け負う。
などです。いずれも本業の業務から横展開できるため、すでに培ったノウハウを活かすことで本業の収入と同程度の金額を短期間で得られる可能性を秘めています。
副業・複業を禁止する会社は違法?クビになったor賠償請求される場合
会社の中には就業規則に「副業(複業含む)を禁止」するところも少なくありません。副業(複業)がばれてクビになった・賠償金を請求された、という人もいるかもしれません。
しかし、法律上では会社は社員の副業を禁止することはできませんし、副業を理由にクビにしたり、賠償請求をした場合は、むしろ会社側に高い違法性が見られます。ただし、副業(複業)が原因で会社に損失を与えたり、従業員規則をやぶって就業中に副業をした場合はその限りではありませんので注意してください。
誰にでもおすすめできる複業「フリーライター」
これから複業をはじめようとしている人の中で、「自分は特に目立ったスキルや資格がない」という場合、おすすめしたいのが「フリーライター」です。
フリーライターの仕事は「記事作成・写真撮影・取材」となり、パソコンやカメラ機材は必要なものの、業務や収入に影響する資格はありません。日本語の文章をネイティブで書くことができれば、その日からライター業務を始めることができるのが特徴です。
フリーライターの複業とは?
冒頭で解説したように、複業とは複数種の本業を持つことを意味します。フリーライターが複業を考えた場合、実は横展開できる職種が多岐にわたって存在します。
- 翻訳業務
自身の文章力と翻訳機能を使って一次翻訳し、突合せはネイティブに外注依頼を出すだけです。 - 市場調査
国内在住者であればフィールドワークの伴わないパワポの資料作りを受注できます。海外在住者であれば、店頭調査など現地調査を引き受けることで多額の報酬を得ることができます。 - ネットショップ運営
フリーライターは1日の多くがデスクワークのため、注文が入っても即座に対応できます。また、商品の紹介記事はライタースキルを活かすことができます。 - SEO対策業務
フリーライターとしてWeb記事を受注するのであれば、必ずSEOの深い知識が必要となります。行く行くはSEO対策のノウハウを活かして、SEO分析家やSEOコンテンツ制作会社を起業することもできるでしょう。いずれも執筆とコンサルが主業務となるので初期費用がかかりませんし、上記の他の業務と複業することも容易です。
複業の始め方
複業の始め方はフリーランスと変わりません。まずは自分がどんな仕事ができるのかを考えた上で、新規開拓を行います。取引先が増えて毎日の作業量と収入が安定してくれば、複業として他の仕事を並行して受注できるでしょう。
- 自己分析
自分ができる「お金を稼げる」仕事を考えます。好きなこと・趣味・得意分野からリスト化するのも問題ありませんが、必ず「マネタイズ」を考えてください。 - ポートフォリオの作成
履歴書・職務経歴書・実績の3つの情報を盛り込んだポートフォリオ。新規の取引先や応募先に提出します。PDFでメール送付するのが普通のため、定期的に見直して最新の情報に差し替えましょう。 - 新規開拓・クライアント探し
最初はクラウドソーシングサービスのようなマッチングサイトを利用するのが定石です。フリーランスに知名度の高いココナラやクラウドワークスの他に、複業家向けの専用マッチングサイトも複数見受けられます。ただし、マッチングサイトの利用と併せて自力で新規開拓する技術も少しずつ磨くのがおすすめです。 - 月単位・年単位の目標に沿って複業を続ける
複業を始める人は、月単位の収支と作業量、年間目標をきちんと立てるようにしましょう。うまくいけば初年度から3年の間で日本の平均年収は稼ぐことができるかもしれません。しかし、将来を考えると顧客管理から現在の作業量、業務タスクまで常に効率化が必要です。
まとめ:より良き生計を実現。将来を見越していまから「複業」を!
新型コロナを契機に、いままで会社員だった人も、自分の生活の安定と、より高い生活水準を求めて働き方を見直していることでしょう。複業は今後日本政府も推奨するグローバルスタンダードな働き方となることが想定されます。最初はお小遣い程度の副業からでもかまいません。今のうちから少しずつ着手してみてはいかがでしょうか。