トラベルライターといえば、日本国内だけではなく世界を股にかけるのが仕事。とりわけ日本人旅行者が多い国・都市に何度も行くことになります。
「旅行するのが仕事」というトラベルライターの醍醐味を聞いて、自分もやりたいと思っている方も多いことでしょう。しかし、トラベルライターになるに当たって気になることも。
「旅行ライターになって世界中を旅したいけど、やっぱり英語は必要かな?」
「海外現地のお客さんと取材の交渉するから、英語は必須スキル?」
といった英語にまつわる疑問はよくいただきます。そこで、今回はトラベルライターに求められる英語力をご紹介します。
トラベルライターで英語が必要となる場面
トラベルライターとして海外現地を取材するに当たって、どうしてもコミュニケーションツールとして英語は少なからず必要となってきます。ただし、アメリカや英国のように英語がネイティブの国はほとんどないため、相手にとっても英語は外国語。
比較的簡単な英会話のみで仕事を進めることができるからご安心ください。ここではトラベルライターとして仕事をするにあたり、英語が必要となる場面をご紹介します。
各種移動・宿泊に伴う手配と現地の交渉
まずは基本的な英会話から。トラベルライターとして海外へ行く場合は、基本的にホテルと航空券は自分で取得します。一般の旅行者のように旅行会社のパッケージに申し込むことは滅多にありません。
英語が使う場面は、海外の空港や両替所など。また、宿泊するホテルが安宿であれば、レセプションで交渉するのもいいでしょう。1週間以上の中期滞在であれば安くしてくれる可能性も大です。
また、取材先や観光地を回る際にタクシーを利用する場合、メーターでは料金が高くなってしまうので、いっそのこと半日から1日ほどチャーターする方が便利なときもあります。その際はドライバーと交渉する必要があるので、英語による会話が求められます。
お店取材の交渉時の英語は非常に簡単
レストランや雑貨店といったお店に赴き、「私は日本から来たライターです。このお店を取材させてください」という意思を相手に伝える必要がありますが、この交渉時に使う英語は非常に簡単なものとなります。
このようなお店取材の場合は、基本的に飛び込みで行くことがほとんどなので、下記のような流れを英語で話すことができれば仕事が捗ります。
① お店の店長やマネージャーはいるかどうか
② お店を取材したいので、写真の撮影許可が欲しい
③ 料理や商品を提供してくれれば、写真を撮る
相手に伝えなければならない情報は上記のみとなります。いずれも複雑な文法や単語は必要としませんので、自己紹介と簡単な取材の申し込みのテキストを覚えておけば、相手はOKかNOでしか答えません。
取材撮影中は基本的に自分一人で仕事に臨んでいますので、担当者と随時英語で会話しなければならない、なんてことはほとんどありません。
ホテル&エンタメ系の取材時の英語はちょっと複雑かも
ホテルやエンターテインメント施設の取材交渉などで必要とされる英語は、レストランや雑貨店といった個人経営のお店と比べるとハードルは高くなります。まず、これらの企業では必ずマーケティング担当者がいるので、彼らに事情を一から説明しなければなりません。
クライアントの概要、どのような取材を希望するのか、撮影したい場所・人の詳細、掲載媒体はWEBか本か、いつ掲載されるのか、掲載する文章と写真の確認・修正は可能か、などはどこの企業も質問してくることとなりますので、予め回答を用意しておくのがベストでしょう。
英語による会話が不安の場合
英語による会話が不安な場合は3つほど効果的な対策があります。
① 事前に取材申し込みメールを送り、ある程度話を詰めておく
取材を申し込む場合は、相手が企業系であれば事前にマーケティング宛にメールを送って取材の許可を取るのが普通。アポなし訪問だと取材できない可能性が高いです。
また、小さなカフェやレストラン、お土産店であっても、取材メールを送って取材許可を取ることができれば、現地でのやりとりは最小限に抑えることができます。
ホテルやエンタメ系の場合は、上記で挙げたクライアントの情報や取材したい場所などの詳細、掲載先の概要などを詳しくメールで伝えることによって、当日は担当者と名刺交換をしたのち、すぐに取材に入ることができます。
メールは英語で送りますが、最近のGoogle翻訳は優れていますし、英語メールのあいさつ文や定型文はネットで検索すればいくらでも出てきます。時間をかけてゆっくりと文章を考えて、作った文章は使いまわしができるよう保存しておくと便利です。
② 取材申し込み書を印刷して現地担当者に渡す
大手旅行会社から案件を受けると、「取材協力願い(取材許諾書)」を送ってもらうことが普通です。実際はこれを印刷して先方に渡せば、話が通りやすくなるのですが、いっそのこと自分で作成するのもおすすめです。
アポなし訪問でも当然使うことができ、お店に入って取材許諾書をスタッフに渡すだけで済みます。こちらが伝えたい希望や意思はすべて用紙に記載しているので、相手は文書を読んだのち、OKかNOで答えるだけになりますので、英会話はそれほど必要はありません。
③ 現地で通訳を雇う
現地で通訳を雇うのも一つの手段として挙げられます。一見すると高い料金を払う必要がありそうですが、相場は1日1万~2万円程度。経験の浅い人や素人(旅行会社のスタッフや学生のバイトなど)であれば、5000円程度でお願いすることもできます。
依頼内容は単純で「取材申し込みのお願い・交渉事」となります。この場合は現地語での通訳となるので、物事が非常にスピーディーに運ぶメリットがありますが、高級ホテルやレストランの場合、外国人が経営・担当者の場合があるので、その際は英語による交渉となるので通訳の出番はなくなります。
もちろん「現地語・英語双方可」と言う条件で通訳を探すことも可能ですが、料金は割高となりますので割に合うものではありません。
現地で英会話教室に通ってみるのもおもしろい
アジア圏では英会話教室も盛んで、小規模の教室であれば数日から1週間程度の短期集中講座で5000~1万円で申し込むことができます。「海外取材が入ったら、現地で英会話教室に行くのがいつもの楽しみ」という旅行ライターもいるほど。
安く楽しく英語を学ぶことができますし、友達だって作ることができるので、トラベルライターの仕事に慣れて心に余裕ができたら、英語力を高める方法を自分なりに考えてみると、一層楽しさが広がります。
高い英会話スキルは必要なし!安心して取材をしよう
トラベルライターというと、現地の外国人担当者と取材の交渉をすることになるため、高い英語スキルが必要と誤解されがちです。しかし、実際会話する内容は限られていますし、事前にスクリプトなどを作ってフォーマット化するなど、いくらでも対策はとることができます。
連日通訳を雇うと費用面で割に合わなくなりますが、高級ホテル取材や人へのインタビュー取材では、報酬も高くなるので通訳を雇って準備万全で臨むのもいいでしょう。