トラベルライターで必須の知識。国を跨いで取材する際のポイントと注意事項
トラベルライターで必須の知識。国を跨いで取材する際のポイントと注意事項

トラベルライターとして仕事を順調に増やしていくと、海外取材も多く入るようになります。海外取材の場合、1か国複数都市を回る場合と、複数か国を周遊して取材に回らなければならないことがあります。今回紹介するのは後者の方。ただし、複数か国を跨ぐ際、慣れていないと最悪入国できない事態に陥ることもあります。

そこで、今回は海外取材に特化して、複数か国を同時に取材する際のポイントや注意点をご紹介します。

トラベルライターが複数か国を周遊する取材案件ってどんなの?

トラベルライターが複数か国を周遊する取材案件ってどんなの?

そもそもトラベルライターが複数か国を取材する案件はそれほど多くはありません。しかし、その外国周遊案件は往々にして報酬が高いので、もし案件が来たら積極的に引き受けたいところです。

新型コロナ絡みの案件は非常に多い

複数の国の周遊取材の案件は、ニュースや時事を扱っているウェブサイトの運営元からの依頼がほとんどとなります。ニュースサイトの場合は速報性が非常に重要になるのと、世界の現地情報を同時に発信することで価値が生まれます。

例えば記憶に新しい1990年の湾岸戦争時は、世界でどのような見方がされて、どのように報道されているのかをニュースにするため、身軽なフリーランスの取材人が大活躍しました。

また、2020年にはじまった新型コロナでも、世界各国の感染状況や町の様子、都市封鎖の有無、政府が実施しているコロナ対策の内容といった現地情報が求められました。

旅行会社からはツアー取材案件が多い

一方、旅行会社からはツアーに同行して取材をするリクエストが非常に多いです。例えばベトナムとカンボジアの2か国周遊ツアー、タイとラオスの周遊ツアーにスイス、イタリア、スペインの3か国周遊ツアーなど。いずれも旅行会社のスタッフ同伴なので、こちらはトラブルに陥ることはそれほどありません。

トラベルライターの周遊取材の魅力は「全部経費で行ける」

トラベルライターの周遊取材の魅力は「全部経費で行ける」

先には複数か国の周遊取材は報酬が高いと説明しましたが、さらに加えて「あらかたの支出を経費で賄うことができる」のも大きな魅力の1つ。

市内のタクシーによる移動費から飛行機の航空券代、ホテル代は当然でますし、インタビュー取材の場合は別途取材費、及びインタビュー対象者への報酬も準備してくれます。

こちらはインタビュー対象者に全額渡す必要はないので、例えば1人につき1万円分の報酬が出て、インタビュー対象者に5000円しか渡さなかったら、残りは自分の懐に入れることもできます。

もちろん決して良いことをしているわけではありませんが、もともとフリーランスは報酬が低く設定されているため、そこらへんは依頼主も理解している様子。正直に伝えても「寸志として受け取っておいてください」と言われることもあります。

トラベルライターの周遊取材のポイント。

トラベルライターの周遊取材のポイント。必ずルートと現地日程を細かく決める

上述したように、複数か国の周遊取材を依頼してくれるニュースサイトや時事サイトなどは、とにかく速報性を求めていますので、納期が非常に短いです。

例えば20か国ほど国と都市をリスト化されて、「この中から何か国行けますか?」と質問されますが、すぐに返信しないと「その国はもう他の取材班で埋まっちゃいました」と言われ、残っているのはちょっと行きたくないような国ばかり……なんてことも普通にあります。

滞在旅程は旅立つ前に決めておこう

2か国以上に跨った取材で、納期が1週間を切る場合は、案件を受注した後すぐに航空券を取得して、翌日には旅立つ覚悟と準備が必要です。その際のポイントが「現地の滞在日程を細かく決める」こと。

もちろん現地では臨機応変に対応しますし、事前に決めたスケジュール表の半分以上変更することになることもありますが、基本的に人は決められたスケジュールがあると、それに沿うように時間を追うようになりますので、心理的にも幾分楽になります。

大使館&領事館の所在地を確認しておく

もし初めての国ならばなおさらのことですが、現地都市にある日本の大使館もしくは領事館の所在地は必ず確認しておいてください。パスポートを紛失したり、何かしらトラブルが発生した際は基本的に大使館しか頼ることができません。住所、電話番号、開館時間と窓口の時間はメモしておくといいでしょう。

宿泊先のホテルは現地で探すのがおすすめの理由

トラベルライターの周遊取材の場合、事前にスケジュールを立ててもその通りに行くこはあまりありません。インタビュー対象者がうまく見つからなかったり、アポイントをすっぽかされたりすることもありますし、移動に必要なバスが運休していたりと、さまざまなトラブルが想定されます。

そのため、事前に宿泊するホテルを予約してしまうと、どんなイレギュラーな事態があっても、予約したホテルに戻らなければならなくなり、これは時間的にも精神的にも疲弊します。

「今日はこの町で1泊しよう」と考えたら、その町でホテルを探せるようにするのがベストです。トラベルライターをはじめた当初は、「現地でホテルが見つからなかったらどうしよう」と心配も覚えますが、実際繰り返し体験してみると、そんな不安もなくなります。

ちなみに多くのトラベルライターは、1日の仕事を終えたあと、現地のどこかのカフェに入って、コーヒーでも飲みながらゆっくりとパソコンで周辺のホテルを探して予約します。

ちなみにホテルは経費の範囲内であればどこでもいいのですが、あまり安いホテルの場合は領収書が出ないこともあるので、せめて3つ星程度のホテルを探すといいでしょう。

トラベルライターの複数か国周遊取材の注意点

トラベルライターの複数か国周遊取材の注意点

トラベルライターが複数か国を取材するにあたっての注意点をご紹介。基本的に陸路で移動できるときは、陸路で国境を渡るのがおすすめとなります。空路で複数か国を周遊する場合、空港職員によっては「あなた何しているの?」と執拗に聞いてきます。

取材といったら取材ビザが必要となるので、観光目的の入国を貫き通さなければならないのですが、当該外国人を入国させるかどうかは、空港職員の権限に委ねられているので、万が一入国させてもらえなかった場合、再び飛行機に乗って前の国に戻る必要があります。

陸路は空路よりも時間がかかる可能性はありますが、一般的に入国規制が緩いですし、ユーロ圏であれば電車内で入国することも可能です。

トラベルライターはビザの有無と入国条件を必ず事前に確認して

トラベルライターは、職業柄海外取材が発生すると、まずやるべきことの1つに「渡航先のビザの有無」と「外国人の入国条件」を調べます。しかし、短納期の周遊取材が入った場合、A国は確認したけど、B国の事情を調べるのを忘れていた、なんて事態も想定されます。

基本的に観光目的の入国であれば、日本のパスポートは無敵に近いですが、その国の法律によってはイレギュラーなトラブルが発生すル可能性もあります。

例えばベトナムではちょっと前まで、「帰りの航空券を保持していないと入国を認めない」、「一度出国したら、15日以内に再入国はできない」といった法律がありました。

これに引っかかったトラベルライターやビジネスパーソンは決して少なくありません。入国できなければ取材はできませんし、そればかりかクライアントに失望されて、今後の依頼も期待できなくなってしまいますので、必ず事前に調べておいてください。

トラベルライターは新型コロナ後も注意が必要

新型コロナ関連も今後は注意が必要

新型コロナ後は、各国で入国条件が厳しくなっています。仮にコロナが落ち着いて、一般の旅行者が出入りできるようになっても、しばらくは「現地でマスク着用」、「日本でのコロナ陰性証明書の発行」、「現地空港でPCR検査」などが義務づけられることが予想されます。これらもトラベルライターとしては入国障害になり得ますので、渡航前にはきちんと確認したいところです。

トラベルライターの醍醐味でも。複数か国周遊取材を楽しもう

トラベルライターの醍醐味でも。複数か国周遊取材を楽しもう

普通に旅行していて、一度の渡航で複数か国を周遊することは滅多にないですよね。トラベルライターではそれを仕事として実行することができます。確かに現地では多少ハードなスケジュールを強いられるかもしれませんが、それも貴重な体験。是非複数か国周遊取材を楽しんでください。

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