アジアに移住を考えている人の中には、当初はフリーランスを考えていたものの、実際は現地で就労をしなければならなくなる状況に立たされることもあります。
そのようなケースも考えて海外移住先の国は検討しなければなりません。そこで、今回は現地で仕事を探しやすい国、及び仕事の職種等をまとめてご紹介します。海外移住先の検討の最終段階の方におすすめしたい情報をお届けします。
フリーランスから現地就労へ。意外と多い海外移住事情
当初はフリーランスとして海外移住を果たしたものの、日本の取引先との契約が突然終了してしまったり、事業が傾いて生活が苦しくなった場合、現地の企業に就職することを検討しなければなりません。
昨今で言えば、トラベルライターとして活動していたフリーランスが、コロナウイルスの影響を受けて、一時的に仕事の大半を失うことになりました。そのため、多くのライターがコロナが落ち着くまでの間、一時帰国をするか、現地での就労を余儀なくされています。
海外移住をするなら現地の仕事状況も鑑みよう
フリーランスの方が海外移住をする場合は、理想を求めるだけではなく、最悪の状況も想定して最初の国選びをするようにしましょう。
会社の後ろ盾がないフリーランスが海外移住をする場合、まず考えてほしいのが現地の日本人の就職事情です。同じ国でも都市によって雲泥の差があるので、必ず都市ごとに現地事情を調べるようにしてください。
人材紹介会社よりも、現地ブロガーから情報を得るのがおすすめ
日本人が多く暮らす都市には、必ず1社は日系の人材紹介会社が存在します。しかし、日本にいるうちから人材紹介会社に連絡して現地の就職事情を訊ねようとしても、実はなかなか教えてくれません。
昨今は海外移住者が非常に多いため、現地の人材紹介会社も本当に移住するかどうかも怪しい人に対してはなかなか対応をしてくれません。「まずは移住してから話し合いましょう」と言われるだけかもしれません。
そのため、現地のリアルな情報は現地情報を発信しているブロガーから得るのがおすすめです。場合によっては問合せメールを送ってみるのもいいかもしれません。きっと真摯に応えてくれるはずです。
スキル・資格なしでも仕事を見つけやすい「マレーシア」
マレー半島に位置するマレーシアは、一昔前にセカンドライフの移住先として注目されました。いまでも老後をマレーシアで過ごすことを考えている人は多いのですが、20代の若年層でも快適に暮らすことができる居住環境が整っています。
観光地で言えばペナン島やボルネオ島、ランカウイ島などが有名ですが、移住するならクアラルンプール一択。他エリアでは仕事を見つけるのが至難です。
コールセンターが人気のマレーシア。英語歓迎の募集が多い
以前はコールセンターの業務は中国というイメージがありましたが、昨今はマレーシアでも多く人材を募集しています。スキルや資格は必要ありませんので、普段はトラベルライターの人が一時しのぎのために働く、なんてことも可能です。
一方でITエンジニアや製造業、商社勤務の場合はある程度高い英語力が求められます。マレーシアの公用語はマレー語ですが、英語も幅広く活用されているため、ビジネスレベルの英語力があれば、営業職でも高い収入を得ることができます。
20代の移住者が多い！「インドネシア」
一昔前に一大旅行ブームが訪れたインドネシア。いまでもバリ島は観光の聖地であり、新婚旅行や挙式を挙げる旅先として人気があります。「学生旅行でいったバリ島が忘れられなくて、移住を決意」という人がいまだに多いのも頷けます。
フリーランスと相性がいいのはジャカルタよりもバリ島。バリ人の気質や現地の環境は自由業で働くフリーランスを快く受け入れてくれます。
若いならバリ島。がっつり働くならジャカルタで仕事をするのがおすすめ
インドネシアで現地の仕事環境が整っているのは、観光都市バリ島と首都ジャカルタ。製造業などが一部スマトラやジャワに拠点を持っていますが、現地採用枠はかなり少ないです。
また、バリ島では旅行会社やウェディング、ホテルのゲストリレーションズ、日系レストランといった旅行関連の仕事先が主となります。
これらの業界は給料は少ないですが、スキルや資格が必要なく、また20代の若年層がよく採用されます。「とりあえず海外移住してみたい」という方におすすめです。
ITや製造業の職なら困らない「ベトナム」もおすすめの移住先
2010年頃から日系企業が多くなり、チャイナプラスワンの立候補として知られるようになったベトナム。首都ハノイ、南部商業都市ホーチミン、中部リゾート地ダナンの3大都市は日系企業も増えてきているので、現地の就職も比較的容易いです。
業界で見てみると、税制面で優遇されるIT企業と、人件費の安い製造業が人気。また、2021年時点で日系企業数はおよそ2000社と多いため、職を選ばなければいつでも何かしらの企業に就職できる環境があるのも、フリーランスには嬉しいですね。
旅行業界が人気。トラベルライターにもおすすめの移住国
ベトナムに訪れる日本人旅行者は年間約90万人。数年前から国別旅行者数で毎年必ずトップ10に入る人気の観光国です。
そのため、現地には日系旅行会社が多く、また、ホテルのゲストリレーションズやツアーデスクなど、旅行関連の就職先はたくさんあります。トラベルライターとして活動しながら、旅行会社へパート勤務も可能。細く長く働ける国と言えます。
日本人に最も人気の高い「タイ」は移住先としてもおすすめ。仕事も多数
タイに訪れる日本人旅行者数は年間約180万人。さらに日系企業数は5000社以上。古くから日本人に人気のあるタイも、移住先として強くおすすめできます。
ただし、タイは滞在歴15年、20年というベテラン勢が多く、会社に就職すると、日本人が多くて、社風も日系企業そのもの。
「毎日残業でノルマを課せられて、正直日本で働いているのと変わらない」という意見も多くあります。フリーランスと相性がいいかと言われると、決してそうとは言い切れないかもしれません。
バンコク＋近郊で働くなら製造業と営業職の仕事が豊富！
タイで働くなら首都バンコク、もしくは近郊のチョンブリやアユタヤ方面となりますが、バンコク以外は基本は製造業。バンコクならITや営業、サービス業など幅広い業界・職種で人材が求められています。
取引先が日系企業だけでも十分な売上を工面することができるので、特にタイ語や英語が必要でもありません。ただし、上述したように職場環境は日系企業そのものなので、トラベルライターがフリーランスを並行して働くのは少々難しいでしょう。
フリーランス/トラベルライターは、現地採用の仕事事情を考えて移住都市を決めよう
海外移住を計画しているトラベルライター含むフリーランスは、場合によっては現地で仕事を探すケースも想定して移住先を選ぶのが賢明です（特にコロナ後は）。
今回ご紹介したうち、フリーランス及びトラベルライターと相性がいいのは「マレーシア」と「ベトナム」。20代の若い方ならばバリ島もおすすめです。
ただし、現地の求人事情・仕事情報というのは、その時の当該国のファンダメンタルズの行方によって変わってくるので、移住をする直前まで当該国及び都市のリアルタイムの現地情報を手に入れるようにしましょう。