近年はライターを本業に生計を立てるフリーランスも増えてきましたが、多くの人がぶつかる障害の1つに「報酬が低い」ことが挙げられます。報酬を上げるためには「文字単価を上げる」ことが近道となりますが、中々実現しないのが難しいところです。
そこで、ここではライターが文字単価及び報酬を上げる簡単な方法とステップをご紹介します。
近年のライターにおける文字単価の推移
「ライターは報酬(文字単価)が低い」、「エンジニアや他の職種と比べると待遇が悪い」としばしば言われますが、それでも十数年前と比べると大分改善されてきているのはご存知でしょうか。2000~2010年頃までは、ライターの文字単価は0.2~0.5円が主流で、経験者であっても0.5~0.8円程度でした。
しかし、近年は文字単価1円~2円の記事案件も続々と増えており、未経験者でも1文字1円~1.5円ならば比較的見つけるのは容易となっているのが現状です。
ライターの文字単価が上がっている理由
ライターの文字単価が上がっている理由は幾つかの要素がありますが、近年はどの企業もネット集客に力を入れており、Google検索の上位表示を目的とするSEO対策に多額の予算をかけていることが背景にあります。WEBコンテンツはSEO対策における最重要の施策であるため、記事の品質を上げるために一昔前と比べると、文字単価は着実に上がっていると言えます。
また、一昔前はフリーランスのライターに記事作成を依頼するのは個人事業主やブログ運営者くらいでしたが、昨今は中小から大手企業も積極的に個人のフリーライターに依頼をするようになったのも、文字単価が上がった理由と言えるでしょう。
それでもライターが受け取る報酬が低い背景
しかし、以前よりも文字単価が上がっているからといって、ライターが受け取る報酬も上がっているとは言い難い現状もあります。
主な理由は2つあり、1つ目は「記事の品質を求められるようになった」ことです。依頼主となる企業は競合に勝つために、より高い品質の記事を求めます。1つの記事に対して1~3回の修正が求められることも普通となります。
例えば文字単価1円で3000文字の記事を請け負った場合、情報収集から執筆、修正を含めると1日費やすこともざらにあります。1日1本しか書けないのであれば、日給3000円となるので、とてもではありませんが本業ではやっていけません。
2つ目の理由は「運営手数料が高いせいで報酬が目減りする」ことです。ココナラやランサーズのようなクラウドソーシングを介して依頼主から記事制作の依頼を受けると、運営手数料で20~25%程差し引かれます。単純に手元に残る収入が2割以上減ることになるのは、フリーライターにとってはかなり大きな痛手です。
文字単価を上げる=時給を上げることと認識する
上記で触れましたが、文字単価及び報酬を上げることは、言い換えれば自分の作業に対する時給・日給を上げることを意味します。そのため、文字単価を上げることを考えた際は、まずは「自分が1日いくら稼ぎたいのか」を考える必要があります。
ちなみに本業として活躍しているプロのフリーライターの多くは、文字単価2~5円で請け負っており、日給1万5000円~2万円を稼ぐことを念頭においています。日給2万円であれば月20日勤務で40万円。源泉支払い後でも30万円以上は手元に残ります(すべての案件で源泉を払うわけではないため)。
ライターが交渉で文字単価を上げるのはなぜ難しい?
ネットで調べてみると、フリーライターが文字単価を上げるための依頼主との交渉術のような記事を見つけることができますが、基本的におすすめはできません。
まず、依頼主が企業である場合は、毎月記事更新に使える「予算」があります。文字単価1円から2円に交渉をしてしまうと、依頼主からすると、想定する記事量の半分しか依頼することができなくなります。
SEO記事はどんなに質のいい記事を書いても、必ず検索順位が上がるというものでもありません。SEO対策は常にトライ&エラーとなるので、記事コンテンツは品質よりも量に重きをおく企業も少なくありません。
文字単価の交渉は、社員が社長に「給料を上げてください」と直訴するようなものとなるので、決して簡単に行うことはできないものと考えられます。
ライターが文字単価を上げる交渉術
それでも文字単価の交渉をする場合は、下記のことを留意して対話をしてみてはいかがでしょうか。
・現在の記事単価だと月に書ける記事数が極端に少なくなることを伝える
・自分の書く記事はSEO対策を考慮した良質なコンテンツとなるので、そこらへんの副業ライターの記事ではない旨を伝える
ただし、交渉を経て仮に記事の文字単価を上げることに成功したとしても、「文字単価を上げると契約を打ち切られる可能性が高くなる」ことも覚えておかなければなりません。
近年は在宅ワークも普通となり、誰もが気軽にWeb記事を請け負うようになりました。そのため、単なる記事の品質のみで差別化を図るのは難しくなっているのが現状です。文字単価を上げる交渉に成功しても、企業からは「報酬が高いライター」とみなされ、契約が長続きしない可能性が高いです。
ライターは文字単価ではなく付加価値を付けて報酬を上げる
フリーライターが報酬を上げるためには、文字単価よりも付加価値を付けた記事制作を依頼主へ提案してみてはいかがでしょうか。
下記ではいますぐ依頼主に提案できる効果的な付加価値例をご紹介します。
Webライター:監修を兼任できる専門ライターとなる
近年のSEO対策における重要な指標となるのが「専門家の監修の記事の有無」です。ここ1~2年でよりSEO対策で重要視されているのが、「記事の専門性」と「権威性」です。
例えば「プロのライターになるための流れ」という記事を書く場合、自分のような実際のライターが記事の執筆、もしくは監修をすることによって、信憑性と権威性が上がります。昨今のSEO対策のトレンドにもなっているので、記事順位を本気で上げたいと考えている依頼主から執筆を請け負うことができれば、報酬も期待することができるでしょう。
旅行ライター:現地取材&写真によるオリジナル記事の作成
国内外の観光地の情報を記事にする旅行ライターですが、昨今は必要な情報はネットで調べ、写真は商用をダウンロードしたような記事が多く見受けられます。このような誰でも量産できる記事では、どんなに内容を濃くしたところで報酬のアップは望めません。
一方で観光地に実際に足を運んで取材をしたり、現地で撮影した写真を記事に盛り込むことができれば、他の記事にはないオリジナリティを出すことができますので、観光情報サイトや旅行会社からは必ず重宝されるはずです。
ライターは記事の付加価値を提案しよう
今回ご紹介したように、フリーライターが文字単価を上げることを考えた場合は、単に交渉をするのではなく、自分の記事に専門性・権威性を持たせるのが鍵となります。
Web記事において「品質のいい記事」というのは、中身の濃い記事ではなく、「Googleから評価され、検索順位上位を獲得できる記事」であることを再認識しつつ、それにどのような形で貢献できるかを依頼主に提案してみるのが、報酬アップの近道であると考えることができます。