旅行ライターになるに当たって、多くの人が選ぶ「海外在住のトラベルライター」。パソコン一つで好きな海外に住むことができるとあって、近年はデジタルノマドの目標の1つにも挙げられています。しかし、そんな海外在住ライターが気を付けなければならないのが、「現地の保険」です。今回は海外在住ライターと保険について詳しく解説します。持病持ちの方は必見です。
海外在住ライターは海外旅行保険は使えない?
日本国内ライターが短期間の海外取材のために入国するのであれば、一般の旅行者と同じように海外旅行保険に加入することができます。海外旅行保険であれば5000円程度でほとんどの疾病をまかなうことができますね。また、保険のオプションによっては、現地で持病が発症してしまった際にも保険が下りるようになっているので、入国者は安心して海外に滞在することができます。
しかし、海外在住ライターは、これらの海外旅行保険は使うことができません。海外旅行保険はあくまでも短期旅行を前提とした日本居住者に対する保険となります。
日本の国民健康保険に加入していれば部分的に使うことができる!
日本の国民健康保険に加入していれば、病院では3割負担となりますね。7割は国が補助してくれるという、世界でもトップクラスの保険制度と言えます。この国民健康保険に加入していれば、海外在住ライターであっても、現地の病院にかかったのち、日本側に保険を申請することができます。
還付の申請書を日本に送付してから数か月後に銀行振込で入金されるのですが、いくつか注意事項もあります。
還付される金額は、日本の医療費が基準となる
例えば海外現地の病院にかかり、3万円の診察料+薬を支払ったとします。普通に考えたら、3万円の7割は返金してくれる計算です。しかし、もし同じ病気で日本の病院にかかった場合、診察料+薬で1万円で済むとしたら、1万円の3割負担としてみなされて、1万円の7割しか返金されません。そのため、日本は世界でも医療費はかなり低い方なので、大抵は日本水準に見直されて、自分で払う分が多くなると考えた方がいいでしょう。
海外在住ライターの国民健康保険の加入はグレー
海外在住ライターは数か月及び数年単位で海外現地に住む人が多いですが、基本的に半年以上日本を離れる場合は、住民票を抜いて海外転出届を役所に提出してから出国するのがルールとなります。
海外在住ライターが加入できる保険は2種類
海外在住ライターが加入する保険は、一般的に2種類あります。1つは「外資系の保険会社」、もう1つが「地場系の保険会社」です。
海外在住ライターにおすすめしたい「外資系の保険会社」
海外現地には、日本含む外資系の保険会社が複数社現地の市場に進出しているものです。東南アジアであれば日本の保険会社も進出しているので、日本人担当者と打ち合わせをすることもできるかもしれません。外資系の保険会社は、地場系にはない現地在住外国人向けのプランやオプションがあるのが特徴なので、海外在住ライターにおすすめしたい保険会社でもあります。
ただし、料金は地場系と比べると高いですし、原則掛け捨てとなるので、フリーライターとして生活が不安定な状態のときは、よく考えて加入するのがいいでしょう。
海外在住ライターにとって「地場系保険会社」のおすすめ度が低い理由
地場系の保険会社があまりおすすめできない理由は、「自分に合った理想のプランを見つけるのが困難」なことと、「料金とサービスが釣り合わない」ことが挙げられます。地場系の保険会社の場合は、現地人が持っている社会保険にプラスした加入を前提としているので、「診察料は無料でも薬代の保険が下りない」など外国人に不利な内容が多いです。また、物価の安い東南アジアの場合、地場系の保険会社に加入しても、病気で下りる保険額は年間数万円までと非常に低く設定されています。
国立・公立病院に通院する現地人にとってはこの金額でも十分ですが、外国人は公立病院ではなく国際病院を利用するので、この金額では1回の診察で満額に達してしまうこともあり、とてもではありませんが使えるものではありません。一方で欧米圏ではユーロは日本と比べて価値が高いので、サービスに対しての料金が割高に感じます。
海外在住ライターが保険に加入。保険の選び方
海外在住ライターが保険に加入する場合、上述した外資系の保険会社を選ぶのがおすすめです。外資系保険会社の場合、地場の保険会社ではほとんど取り扱っていない「私立病院の保険適用」、「持病の保険適用」、「外国産の薬の保険適用」などが外国人居住者のために用意されています。年間の適用補償金額・内容ともに文句はありませんので、あとは予算との交渉となります。
ただし、保険会社によって補償内容はそれほどの大差はないものの、補償金額と年間の料金プランに大きな差があるので、現地に精通した知人におすすめの保険会社を紹介してもらうのがいいでしょう。
持病持ちの海外在住ライターは保険に入ることはできる?
持病は保険業界では既往症と呼びます。日本で高血圧や糖尿病、リウマチなどの持病を持っていた人が海外在住ライターとして海外現地の保険に入る際は、どのような注意が必要なのでしょうか。
持病持ちでも加入できる保険会社は多い!
持病持ちの場合は、保険自体に入ることが困難かと考えますが、実は加入できる保険会社は意外と多くあります。ただし、すべての持病において保険適用されるわけではなく、保険会社が指定する持病のみ保険が適用されます。
持病の保険はすぐに使えない!保険会社の指定する待機期間が必要
持病持ちの海外在住ライターが海外現地の保険を利用したい場合は、保険会社の指定する待機期間が必要となります。待期期間は基本的に1年となります。例えば今年に保険に加入したら、通常の病気やケガの際は保険はすぐに使えますが、持病のための保険は翌年の更新後から使うことができるようになります。
海外旅行保険の落とし穴。海外在住ライターは気を付けて!
海外在住ライターは1日の大半をパソコンによる執筆に費やします。また、取材のときは重い撮影機材を長時間持ち歩くこともざらです。そんな海外在住ライターは、肩凝りや関節症、ヘルニアなどになりがち。「もう何か月も激しい肩こりがする」、「指が痛い。関節の病気かも」と加入した海外現地の保険を早速利用したいところです。
しかし、ここで注意してほしいのは、「病気と診断されなければ保険が下りないことがある」ということです。日本人が海外現地の病院にかかる場合は、その多くが私立の国際病院となりますが、国際病院では何か身体に異常があると、すぐにMRIを撮ります。ヘルニアなど病気が見つかればいいのですが、もし何も発見できなかった場合、診察料の保険は全額下りても、肝心のMRIや薬代は100%自己負担となることもよくあることは覚えておくといいでしょう。
安心できる海外移住生活を。海外在住ライターは漏れなく保険に加入しよう
外資系の保険会社が用意する保険プランは、年間で15~20万円程度が相場となります。掛け捨てですし、家族全員で加入すると、馬鹿にならない金額となります。しかし、日本の国民保険と異なり、民間保険は適用されれば、100%保険が下りて、しかもキャッシュレスです。例えば事故に遭って怪我を負ったり、風邪が長引いて複数回の診察を受けたり、1日でも入院するだけでも、十万円以上の治療費がかかってしまうのが海外の残念なところ。備えあれば患いなし。海外在住ライターは仕事に専念できるよう、しっかりと保険に入るようにしましょう。