2010年代より広く周知されるようになった「ノマドワーカー」。特定の事務所を持たずに不特定の場所を職場とするフリーランスのビジネスモデルの1つとなりますが、ここ最近徐々に増えてきているのが、海外移住型のノマドワーカーです。多くのノマドが旅行ライターなど、様々なビジネススタイルを確立しています。
海外移住型ノマドワーカーが増えてきた背景
正確には2012年を境に注目されるようになったノマドワーカー。コロナ以降は完全リモートワークで働く人もノマドと呼ばれるようになりましたが、そのほとんどは会社に属さないフリーランスの人達を指します。
フリーランスといっても取引先に出向したり、特定の職場を持っている人はノマドとは言わず、あくまでも職場を持たず、全国どこでも自由に行き来・生活しながら仕事をまっとうできる人達をノマドワーカーと呼びます。
そして、近年増えてきたのが「海外移住型のノマドワーカー」です。職場を選ばず、全国で仕事ができるのであれば、それは海外に居ても同じこと。
時差は考えなければなりませんが、現代のIT時代ではWi-Fi含むネット環境さえ整っていれば、世界どこにいても連絡手段には困りませんし、日本の取引先と仕事をこなすことも容易です。
海外移住型ノマドワーカーの注意点
ノマドワーカーの内、これから海外に移住することを考えている方は、下記ポイントを確認しておくのがいいでしょう。
ノマドワーカーの日本での手続きの注意点
ノマドワーカーはあくまでもライフスタイル・ビジネススタイルの1つであり、その一環として海外移住を試みます。そのため、「ずっと海外に暮らす」ことを考えている人はそれほどいません。
一般的に長期にわたり海外移住をするときは、住民票を抜いて海外移住届を役所に提出しますが、ノマドワーカーはその必要はありません。もし住民票を抜いてしまうと、税金を払う必要がない代わりに、国民健康保険や年金を活用することもできなくなってしまいます(国民の納税の義務を放棄するため)。
ノマドワーカーの多くは日本と海外を行き来し、日本に一時帰国をしたさいに病院にかかりますので、健康保険は必ず必要です。ただし、「健康保険は払うけど、年金は必要ない」といった取捨選択はできないのが残念なところ。
ノマドワーカーの滞在ビザの注意点
ノマドワーカーは会社に属していないフリーランスです。そのため、海外に移住する際に問題となるのが、「滞在ビザ」となります。外国に滞在するためには必ず滞在ビザが必要となります。
一般的に仕事で居住する場合は商用ビザ、旅行で滞在する場合は観光ビザを取得します。ノマドワーカーの場合はそのいずれにも属しませんね。ノマドワーカーが海外に居住する場合は、まずは観光ビザで入国します。
ほとんどの外国は数週間の滞在であればビザなしで入国することができますので、手続き不要で入国することが可能です。その後、ノービザ期間が切れる前に、現地の大使館や領事館で観光ビザの延長を申請。
数か月単位でビザを取得することができ、今後は同ビザの更新を続けることになります。マレーシアやオーストラリアなど一部では長期滞在が可能のセカンドホームビザがありますので、条件をクリアできるならば、いっそのことこちらのビザを取得するのがおすすめです。
海外に移住したノマドワーカーが仕事をする上での注意点
海外移住をしたノマドワーカーの多くは、海外現地で仕事を探すのではなく、ネットを介して日本に所在を置く企業との引き合いを探します。ここでの留意事項は、「自分が海外に居住していることを取引先に必ず伝えること」です。
上述したように、海外と日本では時差がありますので、zoomなどのオンラインミーティングに参加できないこともあります。しかし、応募に際して記載する住所を日本の実家で登録してしまうと、取引先は日本国内の居住として認識してしまいます。
ありがちなのはマッチングサイトへのプロフィール登録です。海外の住所が登録できないようになっていることが多々あり、仕方なく日本の住所で登録した場合に、この問題が発生します。
契約を交わしたあとに「本当は海外に住んでいます」と言うと、トラブルに発展する可能性もありますので、居住国に関しては最初の段階で取引先に伝えるようにするのが賢明です。
海外移住ノマドワーカーと親和性が最も高い「旅行ライター」
海外に移住したノマドワーカーの多くは日本の企業から仕事を受注しますが、仕事の内容はノマドワーカーの職種とスキルによって異なります。もし「自分はホームページを作るスキルはない」、「特別な資格を持っていない」と言うことであれば、『旅行ライター』を主軸として活動をしてみるのはいかがでしょうか。
旅行ライターの主な依頼主は旅行会社や観光サイト、出版社、編集プロダクションとなりますが、昨今は当該国へ進出を狙っているメーカーや製造業、IT企業がSEOやブランド認知度向上のために、旅行ライターを雇って現地情報をネット上に更新するところも増えてきました。
特に昨今はネット集客に予算を注ぐ企業が圧倒的に増えてきましたので、コロナが落ち着いた後も変わらず旅行ライターの需要は拡大することが予想されます。
海外移住生活を満喫できる旅行ライターの仕事内容
旅行ライターの仕事内容は、日本人旅行者が多く訪れる観光スポットの写真撮影と紹介記事の作成。現地のレストランやお土産店など日本人旅行者行きつけの商業施設の撮影と紹介になります。
記事単価はそれほど高くないので、効率的な立ち回りと、日ごろから写真ストップを溜めておく作業が必要ですが、旅行ライターの醍醐味となる「旅行をしながら収入を得る」を名実ともに実現することができます。
旅行ライターならば現地で仕事を作る・探すこともできる
旅行ライターとして仕事を続けていくと、現地の取材先から仕事を依頼されることもしばしばあります。例えばレストランやホテルから、「日本語のホームページを作ったから、記事を更新してほしい」といった引き合いは日ごろからあります。
先方からすると他に依頼できる日本人がいないので、多少値を釣りあげても受注することができますし、仕事をある程度こなしていけば、現地の案件だけで生活ができるようになります。
旅行ライターというと、「若い時にできる自由な生き方」、「定職に就かない将来性のない仕事」と思われがちですが、仕事の仕方によっては、いくらでも業務の範囲を拡大できる余地があり、将来にわたって続けられる職種でもあります。
なぜなら、『旅行』というのは一時的なブームではなく、人々の欲求を満たし、数十年、数百年先も間違いなく続く最大の娯楽だからです。
海外移住をしたノマドワーカーのニューノーマル。旅行ライターとして生きよう
近年は海外移住をする日本人が年々増加しています。せっかくノマドワーカーという自由な生き方を選んだのだから、一度くらいは海外移住を体験してみてはいかがでしょうか。
その際に留意してほしいのは、「必ず日本に帰国後の逃げ道を作っておく」ということです。海外移住は多くの人の憧れでもありますが、実際現地での生活が合わないため、早々に日本に帰国する人も少なくありません。
そのため、海外移住を諦め、日本に帰国した場合を想定して、納税手続きを保留したり、取引先とのパイプを繋げておくのも、人生における大切なリスクヘッジとなります。