昨今は20代から40代と若くして海外移住をする男性女性も増えてきました。しかし、海外移住をする場合、不安となるのが「老後の生活」と「年金」問題ではないでしょうか。日本の厚生年金から外れても生活できるのかどうか……。今回は海外移住者の年金受給と実際の生活事情をご案内します。
海外移住をする前に考える2つの選択肢
海外移住をする際は、日本にいるうちから考えるべきことが幾つかあります。そのうちの1つが「各種の税金手続き」です。これらは「住民票を抜くか置いておくか」で変わってきますので、よく吟味して選択するようにしてください。
下記では住民票を抜くか否かで変わる税金支払いの有無をご紹介します。
住民票を抜いて海外移住をする場合
少なくとも数年単位の長期にわたって海外移住を検討する場合、日本で発生する市民税や国民健康保険を払い続けるかを考えなければなりません。これらの金額が自分にとって重くのしかかる場合は、住民票を抜いて海外移住をすることによって、いわゆる「納税の義務」がなくなり免除されます。
一般的には海外に半年以上移住することを決めている場合は、住民票を抜くことが求められているようですが、実際は1年から2年前後様子を見て、引き続き海外移住を続けるようであれば住民票を抜くケースが多いです。
住民票を日本に置いたまま海外移住をする場合
一方で住民票を日本に置いたまま海外移住をする場合は、市税・住民税、国民健康保険の支払い義務が生じます。国民健康保険は年度単位で一括して支払うことができますので、1年に一度一時帰国をする際は支払うことができます。もし日本に家族や代理人がいれば、委任状をもってして代理で支払ってもらうことも可能です。
海外移住をする場合、年金はどうなる?
ここまでは各種税金の支払いの有無を説明しましたが、では肝心の年金はどうなるのでしょうか。会社の出向ではなく個人で海外移住をする場合は、厚生年金からは外れるため国民年金への加入となります。
国民年金は海外移住をすると、義務ではなく任意加入へと切り替わります。国民健康保険は住民票を抜くと加入そのものが不可能となる一方で、国民年金は任意加入となるので、引き続き支払うことで老後に年金を受け取ることができます。
海外移住で老後の生活。国民年金でやっていけるのか
国民年金は2022年時点で全額収めたとしても、年金額は「6万5000円」となります。しかし、少子高齢化社会は根深く、将来的にはさらに受給金額の減少も予想されます。少なくとも日本よりも相対的に物価の高いヨーロッパやアメリカでは、国民年金だけでは生活はできないと言っていいでしょう。
アジア欧米では毎年インフレ。日本円は年々目減りする
日本は20年以上生活用品の物価はほぼ横ばいとなっていますが、世界では目まぐるしく物価は上がり、欧米はもちろん発展途上のアジア圏では、毎年7%以上のインフレで推移しています。これは単純に物価が毎年7%上がっていることを指しますので、数十年後は日本と東南アジアと比較しても、物価水準はそれほど変わらなくなってきているかもしれません。
そのため、今現在は東南アジアならば国民年金の6万5000円で生活ができていたとしても、数十年後は難しいことが推測されます。
海外移住先で現地の年金に加入する方法
世界の多くの国で年金制度は採用されており、おそらく日本人が海外移住をする国であれば、ほぼすべての国で年金があるはずです。年金はその国に居住しており、なおかつ税金を納めていれば外国人であっても加入することはできますが、ビザの問題や法人の設立、銀行預金の有無といった条件が浮上するため、簡単に受給することはできません。
アジア圏の年金加入は意味がないって本当?
西洋諸国の多くは日本よりも年金制度は豊かとなりますので、もし西洋に海外移住をして、自分が年金を受給できる条件を満たしているのであれば、率先して年金支払いの手続きをするといいでしょう。
一方でアジア圏はまだまだ発展途上で国もお金がありません。そのため、年金制度はあるものの、これだけでは田舎であっても到底暮らしていくことはできない金額となります。そのため、仮に任意加入であれば、無理して手続きをする必要はないと言えます。
海外移住で年金以外の所得を作る方法
厚生年金を満額受け取ることができれば、アジアであれば豊かな生活もできることでしょう。しかし、国民年金では将来的にはどの国であっても生活するに至ることは困難となります。
そこで、下記では海外移住先で年金に頼らず所得を得る方法をご紹介します。
1.技術職ならば老後も就職が可能
アジアや欧米には数多くの日系の工場があり、いずれも日本人技術者の常駐が必要不可欠です。長年培った経験とスキルがあれば、現地では物価安のアジアであっても、月収50万円以上の給料を受け取ることもできます。また、技術職の魅力は、募集人材に年齢制限がほぼないことです。50代60代であっても就職は可能となりますし、高給のほか住宅手当や1年に1度の日本帰国費用負担など、他の業種と比べても待遇がいいのが特徴です。
2.投資はいまのうちからはじめるのがおすすめ
不労所得を得る最も効率的な方法は投資となります。日本人は稼いだお金を元本割れする可能性のある株やFXに投資することに躊躇う人が多いですが、欧米では積極的に自己資金を投じて株や債券、外貨を買って資産を増やします。昨今は為替が不安定ですが、日本円はドルとの相関関係が強いため、円ドルで資産を持っているだけでも円安円高に振り回されなくなります。
3.海外移住先で自営業をはじめる
「海外移住をしたら、静かにカフェを経営したい」のような願望をひそかに持っている人もいるでしょう。海外は欧米やアジアであろうと、日本と比べるとお店を開店しやすく、特に東南アジア圏では税金面でかなり優遇されます。
実際海外移住を果たした多くの日本人は、現地でカフェやレストラン、雑貨店などを営んでいて、生活するに十分な収入を確保できています。
4.年金や会社に頼らないスキルを培う
年金では生活できない。会社に就職できない。そんな海外移住に伴うデメリットを打ち消すことができるのが、自分のスキルです。エンジニアやデザイナー、ライター、翻訳などを今のうちから磨いておけば、海外移住先でもフリーランスとして収入を確保することができますし、規模が大きくなれば海外現地で起業することもできるでしょう。上記職種はパソコンさえあれば世界どこにいても仕事ができるうえ、初期費用もかかりません。
特に昨今はWEBライターの需要が高くなっており、海外現地の政治経済・観光・生活を記事にするだけで、割のいい収入を得ることができます。海外移住者の特権をうまく利用することで、がむしゃらに働く必要のない現地生活を実現することができます。
年金不要!副業と不労所得で健やかな海外移住生活を実現
海外移住で年金生活ができる人は、基本的に厚生年金を満額受給できることが条件となります。若くして厚生年金を脱退して国民年金に切り替えると、老後は物価の安いアジア圏であっても生活はできない可能性があります。
しかし、上記で紹介したような不労所得や副業をすることで、現地で豊かな生活ができる分の収入を確保することは、それほど難しくはありません。20代から40代の若年層のうちに真剣に海外移住を考えている方は、是非日本にいるうちから安定した収入経路の確保を検討してみてください。