海外旅行ライターがアジアで気を付けるべき病気と病院事情
海外旅行ライターがアジアで気を付けるべき病気と病院事情

アジアを中心に飛び回る海外旅行ライターが現地で気を付けるべき疾病・病気をご紹介します。場合によっては予防接種で防ぐことができますし、また現地で病院にかかることを想定して海外旅行保険に入っておくのも有効です。

ここでは海外移住先で注意すべき病気や、アジア現地の病院事情も含めてご紹介します。

東南アジアの取材が発生。注意すべき病気とは

東南アジアの取材が発生。注意すべき病気とは

海外旅行ライターとして活躍したい場合は、取材に訪れる現地の疾病事情についても調査しておくことが必要です。日本では滅多に見られない疾病のリスクもあります。

破傷風……傷口から感染する疾病です。東南アジアは少し郊外を外れると道路が舗装されていない赤土となるので、破傷風の感染リスクが高くなります。

狂犬病……日本ではほぼ撲滅していますが、東南アジア諸国では毎年数十人の死者がでています。東南アジアでは犬はペットではなく番犬として飼う傾向が強いため、どう猛な犬を放し飼いにしているケースが散見されます。

A型肝炎・腸チフス・アメーバ赤痢……主に不衛生の食べ物を摂取することによって細菌が経口から侵入する疾病です。アメーバ赤痢のワクチンはありませんが、A型肝炎と腸チフスは混合ワクチンがあるため、こちらを打っておくといいでしょう。

デング熱……数年単位で東南アジアに暮らしていると、一度は感染経験があるデング熱。蚊を媒介にして痒みと高熱が襲う感染症で、二度かかると出血熱に発展して致死率も上がります。ワクチンはありませんので、すぐに病院で適切な治療を受けることが必要です。

海外在住者は実際に病気にかかる?

海外在住者は実際に病気にかかる?

ここで気になるのは、東南アジアの在住日本人は上記で紹介した病気に実際にかかるのでしょうか。「デング熱は山岳地帯に行かなければ大丈夫でしょ」、「生野菜を避ければ腸チフスやアメーバ赤痢の心配はないよ」といったアナログ情報もよく聞きますが、赤痢菌とデング熱は海外に長く暮らしていると、多くの人が一度は経験する病気でもあります。

A型肝炎・腸チフス・アメーバ赤痢は不衛生な水と食べ物を摂取することによって感染しますが、旅行者ならまだしも、在住者や海外旅行ライターが普段の生活の中で防ぐことはまずできません。そのため、もしワクチンを受けるのであれば、A型肝炎と腸チフスがおすすめです。

東南アジアに訪れる前に予防接種は受けるべき?

東南アジアの取材が決まると、多くの旅行ライターは予防接種をするために病院で医師と接種スケジュールを作ります。しかし、ここで気を付けてほしいのは、「予防接種は複数回やらなければならないこと」と「予防接種をしても数年後には効果が切れること」です。

例えば狂犬病ワクチンは3回打っても5年が有効期間、腸チフスは3年となります。海外在住者でこれらのワクチンすべてを定期的に打っている人はほとんどいませんし、ライターも然りとなります。そのため、予防接種をするときは、すべてを打とうとするのではなく、移住先の都市や国で流行っている本当に疾病のリスクが高いものを選んで打つといいでしょう。

海外旅行ライターが東南アジアの病院にかかる場合はどこへ行く?

海外旅行ライターが東南アジアの病院にかかる場合はどこへ行く?

海外旅行ライターがアジア現地の病院にかかる場合、一般的なローカル病院に行くことはあまりありません。日本人が住むような大都市には、日本人医師や看護師が在籍している病院がいくつかあるものです。

そのため、通常は日系の病院、もしくは在住外国人が行きつける国際病院で治療を受けることになります。

東南アジアの日系や国際病院の料金は高い?

東南アジアの日系や国際病院は国内においては先進医療ができる場所となりますが、料金はやはり高めとなります。風邪程度の症状であっても医師にかかると1万円前後しますし、レントゲンや外国の薬を処方されると2~3万円、血液検査やMRIを含めると5~8万円くらいしてしまいます。

東南アジアのローカル病院がおすすめできない理由

東南アジアのローカル病院は、都心であっても決して衛生状態がいいとは言えません。冷房はなく1人用の診療台に2人の患者が寝ているような光景も当たり前です。東南アジアの多くの国は家族が一丸となってお見舞いにくるため、病院は常に人でごった返しており、廊下にゴザを敷いて寝ている人もいれば、彼らを狙ったスリも多いのが現状です。

筆者が暮らしているベトナムでは、新型コロナが蔓延したときは現地領事館から「国内の病院はどこも日本人が安心して医療行為を受けられる環境にないため、極力感染しないよう注意を払ってください」とメールが来たくらいです。

東南アジア在住の駐在員とフリーランスの医療制度の違い

東南アジア在住の駐在員とフリーランスの医療制度の違い

東南アジアに暮らしている駐在員は、会社の事例で一時移住しているため、非常に手厚い医療保険(在住者向けの海外旅行保険)に加入しています。駐在員が加入している医療保険は、ほぼすべての医療制度をキャッシュレスで受けることができます。

一方で会社の後ろ盾がないフリーランスは、手厚い医療保険に入る場合と、移住国の医療制度を利用するケースに分かれます。ただし、東南アジアの医療制度はどこの国も脆弱で、日本人にとっては使い勝手がよくありません。

東南アジアでよくある医療制度
1.医療保険で賄える金額が年間5~10万円
2.保険が適用されるのは国産の薬のみ
3.日系病院や国際病院は保険適用外
4.保険が適用される病院は公立・国立病院のみ

などが一般です。また、公立・国立病院では現地語でやりとりするため、病院に行く際は日本語の話せる信頼できる現地人につきそってもらう必要があります。また、国の保険制度は当該国に税金を払っている必要があるため、日本から取材に短期間だけ訪れる海外旅行ライターは加入対象とはなりません。

海外旅行ライターは海外旅行保険に入ることはできる?

では、海外旅行ライターは駐在員のようなキャッシュレスが使える海外旅行保険に加入することはできないのでしょうか。

海外旅行保険の加入は年間15~30万円で誰もがすることができます。ただし、一般的に持病を持っている人は加入することができません。

海外旅行保険は病気に対して適用される保険となります。「関節が痛いから病院で診てもらいたい」と病院にかかり、MRIなど検査してもどこも異常が見当たらなかった場合は、最悪保険が下りず全額自己負担を強いられることもあります。

世界を旅する旅行ライターにおすすめの保険

世界を旅する旅行ライターにおすすめの保険

世界を飛び回る旅行ライターを目指すフリーランスは、日本の国民健康保険を利用するのが最もおすすめです。日本の健康保険は海外でも使うことができ、支払った医療費の3割負担となります。

注意点としては、「前払い」と「日本の医療費の相場に置き換えられる」ことです。上述したように、国際病院にかかると風邪などの診断でも1万円を超えますが、最初は全額自己負担をしたのち、必要書類を日本の公的機関に提出し、数か月後に銀行に還付される流れとなります。そのため、手持ちの現金はある程度は必要となることは覚えておいてください。また、国際病院で高額な医療を受けても、その支払金額の3割負担というわけではなく、日本で同じ医療を受けたときの相場に置き換えて、その3割負担となります。

訪れる海外現地の医療事情は事前に調査しておくのがおすすめ

訪れる海外現地の医療事情は事前に調査しておくのがおすすめ

海外旅行ライターは、アジアの現地取材の仕事を受注したら、まずはその都市で流行っている感染症を確認するといいでしょう。短期滞在であれば予防接種は必要ありませんし、海外旅行保険も不要で国民健康保険で賄うのもおすすめです。

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