これから海外移住、もしくは私用・出張問わず中長期で海外に住むことになった人が悩む大きな問題の1つに「クレジットカード」が挙げられます。
「いま持ってるクレジットカードは保持したままでいいのか」
「海外移住のためにクレジットカードは複数枚作るべき?」
「海外移住先でクレジットカードは外国人でも作れるの?」
といった疑問は誰もが持っていることでしょう。そこで、今回は海外移住にまつわるクレジットカードの使用上の注意点をまとめて解説いたします。
海外移住でクレジットカードの持参は必須の理由
日本でもクレジットカードは年々日常生活に浸透しており、一人当たり平均3枚、全国20~60代で80%の保有率となっています。しかし、日本人の中には現金主義の人もいれば、コンビニやカフェなど少額決済の場合は現金払いをする人が大半でしょう。
一方で海外移住先の多くは、数百円の少額でもクレジットカード決済をするのも普通です。
治安が悪い国では現金は極力持ち歩かない
東南アジアや南米はもちろん、欧米であっても都心はひったくりやスリが多く、盗まれた現金は基本は戻ってはきませんので、現金は極力持ち歩かないようにするのが常識となります。クレジットカードであれば、仮に不正利用されても支払い義務は負いません。クレジットカードは単に便利な道具というだけではなく、海外移住先においては自分の財産を守る重要なものであることを覚えておきましょう。
経済が不安定な国では現地通貨は必要最低限のみ保有
世界には現地通貨の信用がなく、米ドルが流通している国が多くあります。そういった国では、大金を現地通貨で保有するのは為替ショックのリスクがあるためおすすめはできません。現地通貨1ヵ月分程度の生活費のみを保有し、それ以外は米ドル払い、もしくはクレジットカードでの支払いが望まれます。
ただし、そういった国は往々にしてインフレが進んでいてゼロの桁が多いため、クレジットカード払いする際はレシートに印字されている金額をしっかりと確認することを忘れてはいけません。
クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険は使える?
クレジットカードには海外旅行傷害保険が付帯していることが多く、前払いのデメリットはあるものの、のちほど海外現地でかかった医療費が還付される制度を受けることができます。
ただし、基本的にこの付帯サービスは短期間の海外旅行に適用されるもので、保険適用期間は日本出国日から60~90日間であることがほとんどのため、中長期の移住では使い処がないかもしれません。
東南アジアや欧米の現地のクレジットカード事情
東南アジアや欧米の多くの国は、日本以上にクレジットカードが普及している印象です。スーパーやレストラン、通販はもちろん、コンビニやカフェでコーヒー代だけもクレジットカードを使用するのも普通です。
そのため、どこの国であってもクレジットカードは海外移住の必需品として持っていくようにしましょう。
日本のクレジットカードの注意点
一方で、日本で作ったクレジットカードを持っていく際には注意点もあります。まず必ず覚えておいてほしいのは、「為替手数料」の問題です。日本国内でクレジットカードを使えば、レシート記載の金額のみが差し引かれますが、海外では為替レートに加えて両替手数料を支払うことになります。そのため、あまり使いすぎると、実際使用した額と思わぬ乖離が発生することがしばしばあります。
ただし、海外移住先のATMからお金を引き下ろすよりは、クレジットカードを利用した方が手数料は安いです。
海外移住先にクレジットカードを複数枚持っていくべき理由
クレジットカードも万能ではありません。毎日財布に入れておくと、何かしらの磁気の影響を受けて使えなくなってしまうこともありますし、決済ハンディ機にクレジットカードを通しても、原因不明のエラーが発生してカードが使えない場合もよくあります。
そのため、1枚だけでは非常に心許ないので、できれば3~5枚程度のクレジットカードを海外移住先に持っていくのがおすすめです。
JCBとAMEXは想像以上に使いづらい
日本で普及しているクレジットカードはVISAとマスターで8割を占め、国産クレジットカード会社のJCBは2割程度となっています。とはいえ日本国内であればJCBでも特に困ることはありませんね。
一方で海外移住先では、JCBとマスターが主流となり、アメリカ以外ではAMEXさえも対応しているお店は多くありません。また、JCBに関してはここ数年で東南アジア諸国の都心で普及がはじまりましたが、まだまだ加盟店が多いとは言えません。そのため、クレジットカードを海外移住先に持っていく場合は、VISAとマスターカードのみで十分となります。
ただし、JCBも近年は日本人が多く居住する海外都市に注力をしているようで、JCBで支払うと割引を受けられるお店も増加しています。日本産クレジットカード会社を応援する意味でも、1枚程度は作っておいてもいいかもしれませんね。
海外移住先でクレジットカードを作る方法
海外移住が長期に及ぶことがすでに分かっているのであれば、海外現地でクレジットカードを作る方法もあります。この場合は、まずは現地で銀行口座を作らなければなりません(=オープンアカウント)。規約が緩い国や銀行であれば、パスポートを持参すれば旅行者でも作ることができますが、通常は現地に中長期居住するために必要なビザや、公共料金の支払い明細など、現地に住んでいる証明ができる書類が必須となります。
さらに厄介となるのが、銀行口座を開くに当たっては規約への同意が必要となりますが、その同意は現地語もしくは英語のみとなります。外国人が口座を作る場合は、事前に英語で規約が理解できるかどうかの対面面接が設けられるので、そこで落とされる可能性は多いにあります。
海外移住先でクレジットカードの作成はおすすめできる?
では、海外移住先でクレジットカードは作っておくべきかというと、必ずしも必要・便利というわけではありません。上述したように、そもそも外国人が個人口座を開くことができるかが不明です。メリットとしては「為替&両替手数料がない」という恩恵がありますが、その一方で日本のクレジットカードには、楽天やOricoなどショッピングモールのポイント還元が付くタイプもあり、これらは欧米はまだしも、アジア圏では稀です。日本に一時帰国したときに貯まったショッピングポイントを使うこともできるので、総合的に考えると、日本と海外現地のクレジットカードで費用対効果に大きな違いがあるとは言い切れません。
海外移住先では銀行&クレジットカードを作るためには費用がかかる!
日本でも昨今は銀行の口座維持費の徴収が取り沙汰されていますが、欧米アジアでは、昔から銀行口座の維持には毎月もしくは年間で一定の費用がかかります。さらにクレジットカードにおいても、日本国内産は年会費無料会員と有料会員を選ぶことができますが、多くの海外諸国は無料会員というプランはありません。年額数千円のクレジットカード所有料が発生します。
海外移住ではクレジットカードが重宝!生活必需品
今回は海外移住先に伴うクレジットカードの重要性や作成の注意点をご紹介しました。海外の多くの国では、クレジットカードは生活における必需品として重宝されています。その一方で、外国人が現地でクレジットカードを作るためには、幾つかの障害があるため、無理に作成する必要はないと言えます。
日本国内でクレジットカードを作る際は、与信審査に通らなければならないため、できるだけ収入証明ができるうちに作成しておくといいでしょう。