ライターの中には単価の安さで悩んでいる人も数多くいます。単価を上げる方法は幾つかあるものの、一朝一夕にはいきません。
そこでおすすめしたいのが「インタビュー案件」です。ここでは仕事の提案から受注のコツまで解説します。
記事の作成よりも取材案件が高額
Webや紙面に記事を書くライターは文章の執筆が主業務となりますが、業界によっては取材案件が年間を通じて多数入ってくることもあります。
ITやリクルート業界であれば企業担当者へのインタビュー取材が年中発生しますし、旅行・観光業界であれば観光施設や観光地の取材が発生します。
往々にして取材案件はライティングよりも報酬が高額となりますが、「インタビュー」をするかしないかで、報酬は2~3倍に変わることがよくあります。
例えばグルメ取材では人気店に行って料理やお店の内外観の写真を撮影し、あとは体験記事を作成するだけの取材よりも、お店の店主にインタビューするだけで報酬はぐっと上がります。
インタビュー案件の報酬が高額な理由
インタビューの仕事をそつなくこなすのはそれほど容易ではありません。準備事項はたくさんありますし、取材を終えたあとは記事を作成する前に会話の内容をまとめなければなりません。
基本的にインタビュー案件は「1日準備+1日取材+1日執筆」の3日間かかるので、報酬も3日間分貰わなければ割に合わなくなります
そのため、インタビュー案件は往々にして報酬が通常の記事作成と比較して2~3倍となるのが常です。
インタビューの仕事。必要経費は申請できる?
インタビュー取材の案件を受注する際に気を付けてほしいのが「必要経費」です。インタビュー時に発生する必要経費は以下となります。
- インタビュー先までの移動費
- 取材時に購入が必要な物品(料理や入場料など)
- インタビュー対象者への謝礼
通常のWeb記事であれば取材経費は報酬込となりますが、インタビュー記事では別途支給されるのが一般的です。
インタビュー記事を求める企業はSEO対策のための量産記事ではなく、潜在顧客にPRするため質の高いオリジナル記事を必要とします。
そのため、しっかりと納期を遵守して予想品質通りの記事を納品することができれば、経費申請も渋らず受けてくれる企業が大半です。
インタビュー案件は探すのではなく「提案」するのがおすすめ
Webライターがインタビュー案件を受注するためには、まずは求人募集を探すことから始めます。ただし、実際に探してみると分かるのですが、冒頭で紹介したリクルート分野や旅行・観光業界であっても、実は公に募集している企業はそれほど多くありません。
上述したように、インタビュー記事はSEO関係なく高い品質のオリジナル記事が要求されるので、ランサーズなどで一般公募をすることはなく、すでに取引して信頼のおける実績のあるライターに依頼するのが普通です。
自分の取引先にインタビュー取材を提案する方法
既に日ごろから複数社と取引しているWebライターであれば、既存の取引先にインタビュー取材を提案してみるのはいかがでしょうか。
企業担当者の多くはSEOライターと取材ライターは別という認識を持っているため、こちら側からインタビュー取材の提案をすると、「えっ、インタビュー案件も請け負っているんですか」と喜んで依頼してくれることも珍しくありません。
また、SEOに注力している企業の中には、インタビュー記事の必要性を認識していないところもよくあります。そういった企業担当者に対しては、パワーポイントなどを駆使してしっかりとした提案書を作成するのがおすすめです。
提案するに当たり、新規開拓企業と既存の取引先企業の大きな違いは、「こちらが提出した提案資料を取引先の企業は100%読んでくれる」ことにあります。資料を熟読した上で必要ないと判断されればそれまでですが、Webサイトのブランディングや集客マーケティングに注力している企業であれば、「興味あるので、とりあえず取材できる候補先をリストで貰えますか?」と言ってくれるはずです。
インタビュー案件を受注するときの注意点。必ず確認すべきポイント
インタビュー案件を受注するときは依頼企業に対して幾つか必ず確認してほしいポイントがあります。これを怠ってしまうと自分の首を絞めることになり、「依頼が来るたび労力分赤字になってしまう」ことになりかねません。
「労力に見合わない」とインタビュー取材を毛嫌いしているライターも実際少なくないので、これからインタビュー取材を積極的に受注することを考えているのであれば、下記事項を確認してください。
1.インタビュー報酬に含まれている内容
インタビュー取材を割に合わないと断るライターの多くは、報酬交渉に失敗しています。上記でも触れましたが、インタビュー報酬は記事作成報酬だけではなく、インタビュー代・移動費・謝礼も含まれなければなりません。
また、インタビューをするに当たってのアポイントや質問表の作成、レコーダーの用意、録音した音声をまとめる時間なども報酬に考慮されなければならないので、Webライターは最低でも「日当×3日分+必要経費」の報酬を請求すべきと言えます。
2.インタビュー対象者に対するアポイントの有無
取材対象者へのアポイント業務は相手先に失礼がないように、会社の従業員が行うのが一般的です。しかし、ライター側から提案する案件や、スケジューリングなどをすべてライターに任せる、という案件に限ってはライターがアポイントの電話をすることもあります。
当然アポイント業務も費用に含まれるべきですし、スケジュール調整も注意しなければなりません。例えばインタビュー対象者が飲食店の場合は忙しいランチやディナーの時間帯は外さなければなりませんし、宿泊業であればチェックイン/アウトの時間は全従業員が接客に集中しているので、アポイントを入れようとすると「あなたホテルのインタビューしたことあるの?」と怒られてしまうこともあります。
インタビュー記事を書く時の注意点
インタビュー記事で最もありがちなトラブルが「私はそんなこと言っていない」というものです。日本語は非常に微妙なニュアンスで話すことが多いので、「このときいった言葉はそういう意味ではなかった」ということがよく起きます。
通常、インタビュー記事を書いたあとは、必ず対象者に記事を見てもらい、内容の了解を得る必要があります。しかし、納期が押していたり、インタビュー対象者が記事をきちんと確認してくれなかった場合、記事が公開されてから対象者が内容の相違を知ることが時折あります。
Web記事であれば即修正できますが、雑誌媒体は印刷後の修正ができないので責任問題に発展してしまいます。
無償提供を求めない
経費を節約したいからといって、料理やサービスを無償で提供してもらうように依頼するのは好ましくありません。インタビューは基本的にこちらからお願いして取材させてもらうものであり、相手側から依頼を受けてインタビューするのは広告業務となります。
仮に無償でサービスを受けた場合は、依頼主に必ずその旨を報告してください。依頼企業の従業員がお礼の電話をすることになるはずです。
まとめ:生活の基盤を築きたいなら「インタビュー案件」を受けるべき
今回はインタビュー案件の受注と提案のポイントをご紹介しました。上記で触れた注意点を守って受注すれば、インタビュー案件は割のいい仕事となります。
また、一度依頼主から信頼してもらえば、毎月コンスタントに一定数の案件を貰えるので、収入の低いライターにとっては生活の基盤を築くことも可能です。