トラベルライターがおすすめする取材先や滞在先の選び方
地図を広げる女性トラベルライター

トラベルライターが海外現地に足を運ぶ際、前もって取材先が決まっている場合と、そうでない場合があります。後者の場合は、どのように取材先を選べばいいのでしょうか。今回は滞在先の選び方と併せてご紹介します。

取材先は自分で決める?依頼される2つのパターン

手すりにもたれて休憩している女性トラベルライター

トラベルライターの依頼主は出版社やIT、市場調査にPR会社など業界は多岐にわたります。

その内、出版以外の業界のほとんどは、トラベルライターに依頼する場合は既に記事のテーマが決まっていますし、そもそも取材をあまり必要としないことが多いです。

例えば「海外生活の魅力」、「日本との文化の違い」、「現地在住者は日本食が食べたくなったらどこへ行く?」といった、自分の経験と脳内で書くことができる記事を求められることが大半を占めます。

タイピングをするサラリーマン

一方、出版社や編集プロダクションから依頼を受ける場合は、それよりも少々込み入った記事が求められます。

前者のようにあらかじめ記事タイトルや内容が指定されることも時折ありますが、基本は企画から参加するため、取材先のエリアやお店はトラベルライターが決めることも普通です。

取材先の選定方法

車の窓から身を乗り出して撮影する女性トラベルライター

例えば、編集プロダクションからトラベルガイドブックの記事依頼がきて、「アジアのローカルな雰囲気を記事にしたいから、スポットの候補をいくつか挙げてくれないか」と言われます。

その際、自分が日本在住のケースと、海外現地に滞在しているケースが考えられますので、両パターンで見ていきましょう。

日本在住トラベルライターの取材先の選定方法

パソコンを見ながら文字を書く女性

もし自分が日本在住の場合は、海外現地在住者のブログやフェイスブックを拝見して、よさそうな場所をピックアップするといいでしょう。

また、場合によってはブログやサイトの執筆者に問い合わせをして、直接お伺いを立てることもあります。身分を明かしてしまうと報酬を要求されることがあるので、あくまでも一読者として質問するのがちょっとしたコツ。

また、ブログの情報が古い場合は、取材先が閉店もしくは風景が変わってしまっている可能性もありますので、できるだけ多くのスポットを候補として挙げるのがリスクヘッジとなります。

カメラを手にしているトラベルライター

取材当日はクライアントの編集者やカメラマンも同行することが多いので、できれば現地に前乗りして、一人で取材先に赴いて、取材するにふさわしいかを選定するといいでしょう。

ただ、当日お店の閉店など敢え無く取材ができなくとも、編集者も慣れているので怒られることは早々ありません。

海外現地在住トラベルライターの取材先の選定方法

椅子に座って写真をチェックする男性トラベルライター

海外現地に暮らしているトラベルライターが取材先を選定する場合は、まずは媒体の企画内容を把握してみるといいでしょう。

例えば「るるぶ(版元JTBパブリッシング)」のようなガイドブックは、初めてその国や都市に訪れる旅行者がターゲットとなるため、幅広い年代に支持される定番スポットが好まれます。

石仏

一方で、ニッチ系の本を出す出版社からの依頼では、「在住者が知っているディープな世界」、「二度目の旅行でおすすめしたい穴場観光スポット」といった、定番の観光地から一歩外れたスポット、もしくは現地人のみが知るような穴場情報が求められます。

少なくとも、ガイドブックには載っていないような場所やお店を探して候補に挙げるといいでしょう。また、有名どころのガイドブックは掲載店を確認するために入手しておく必要があります。

自分で企画したい人は必見!滞在先の国・都市を選ぶ

スマホカメラで景色を撮影する人

クライアントから依頼されて初めて取材する国や都市に行くのではなく、自分で観光、取材した情報を元に、クライアントに「こんな取材をしたので、使ってもらえませんか?」、「こんな取材ができるのですが、興味ありますか」と提案する企画型も有効です。

では、どのような国・都市を取材するのが効果的なのでしょうか。

滞在先選び方は需要がすべて

書店の本棚

自分の好きな国を自由に観光、取材をするのも1つの手段ですが、ニッチな地域は需要が少ないので、どんなにユニークな記事を書いても発行部数が伸びません。

一方で日本人に知名度の高い旅先は需要は高いのですが、その分競合とのせめぎ合いに勝たなければなりませんので、読者のニーズに沿ったうえでのオリジナリティが求められます。

自分から取材や企画をして提案したい場合は、このことを鑑みたうえで、どこの国、都市に滞在するかを決めるといいでしょう。

ビザ取得の可否で滞在国を選定

パスポート

ビザは査証と呼ばれる入国許可証の1つです。

日本は世界各国と国交があるため、2019年時点で実に189か国に対してビザの免除が適用されます。観光目的で入国する分にはビザの問題はそれほど心配する必要はありません。

しかし、問題となるのが「滞在日数が中長期に及ぶ場合」です。ビザ免除といっても、何か月も免除されるわけではなく、多くは2週間から1か月程度の範囲内での免除となります。

それ以上に現地に滞在を希望する場合は、現地の領事館や大使館に足を運び、所定の手続きをもってしてビザを取得する必要があります。

ビザの取得の難易度は、トラベルライターにとっては非常に重要。必ず日本を発つ前に当該国のビザ事情は調べておきましょう。

これから選びたい取材先は治安が良好な地域

書類に記載している様子

トラベルライターとして世界中の国や都市を回っていると、中には治安が悪いと言われる国やエリアを取材することもあるかもしれません。

しかし、基本的に命あっての物種。紛争地域や治安の悪いエリアには極力行かないようにしてください。

昨今はISやテロ、新型コロナなどが相俟って、中近東欧米南米の取材で困難を強いられます。

また、トルコやベネズエラ、アルゼンチンといった債務危機に陥っている国も、ひとたびデフォルトに陥ると、途端に治安が悪化して国全体が混乱に陥る危険をはらんでいます。

東南アジアを取材・滞在先の第一候補として検討してみては

海上の風景

近年東南アジアは日本を含む先進国のODAの甲斐もあり、急速に都市開発が進んでいます。

例えば南シナ海に面しているベトナム(正式名称:ベトナム社会主義共和国)は、1986年のドイモイ政策による市場開放以降、急速に都市化が進み、とりわけ首都ハノイと南部ホーチミンは、アジアを代表する都市へと成長しました。

東南アジアはベトナム以外でもタイやマレーシア、インドネシアにシンガポールなど、どこも日本人旅行者に昔から人気を誇り、また治安も良好です。

花と民族衣装の女性

ひったくりやスリといった軽犯罪は多発するものの、重犯罪やテロやクーデターは一部のエリアを除き、ほとんど心配する必要がありません。また、親日国である点も考慮に入れるべきです。

古くから日本と歴史的に繋がりがある、または日本の経済的支援が国の発展に大きく貢献している国や都市では、往々にして親日度が高い傾向にあります。

自分が日本人と言えば、それだけで取材の交渉がスムーズにいく場合も少なくありませんし、ビザの取得も比較的簡単に手続きできる節があります。

ユニークコンテンツを意識して、取材先を決めよう

バスに座って写真をチェックする女性トラベルライター

上記では出版業界を想定クライアントとしてご紹介しましたが、IT企業から依頼を受けるウェブライティングでも同様のことが言えます。

基本的にトラベルライターに求められるのは、オリジナリティのあるユニークコンテンツ(オリジナル記事)となります。

ネットに載っている情報を集めたような記事は好まれませんし、しっかりと取材をしているかの有無も、次回も案件を回してくれるかどうかの重要な指標となります。

まずは自分だけが書ける、まだ世に出回っていないユニークコンテンツを探してみるのがいいかもしれませんね。

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