普段Webサイトに記事を書いているライターも、旅行ライターになればそう遠くないうちに旅行雑誌に文章を執筆する機会が訪れるでしょう。そこで、ここでは旅行雑誌の執筆案件の受注方法と仕事内容、注意点などを具体的にご紹介します。
Webライターにとって雑誌に執筆する意義とは
Webライターの中には「自分の本を出版するのが夢」、「雑誌や書籍に記事を投稿したい」という人も多いことでしょう。同じ文章であっても、ネット上と活字印刷された雑誌媒体では記事の印象はまるで異なります。
昨今は働き方の多様化が進み、本業ライターも徐々に増えてきました。Webライティングも着実に報酬単価は上がっているので、フリーライターの中には次のキャリアアップとして紙面媒体の仕事を受注したいと考えている人も少なくありません。
ライターにとって、自分の文章が書籍や雑誌に出版されるのであれば、ライター冥利に尽きますし、それを最終目標にしている人もいます。
Webライターが雑誌への執筆案件を受注するのは難しい理由
しかし、Webライターにとって雑誌への執筆は非常にハードルが高いことで知られています。その大きな理由として「Web業界では出版関係者とのツテができない」ことと「出版業界とWeb記事を求める業界はまったく異なる」ことが挙げられます。
Web業界では出版関係者とのツテができない
通常フリーランスのライターが雑誌媒体に執筆する場合、これまで取引したことのある出版社・編集プロダクション・編集者のいずれかから引き合いがあります。
しかし、Webライターの多くはこれまでのキャリアで出版関係者と知り合うことがないため、Webライティングを受注しているだけではベテランになっても雑誌への執筆依頼を獲得するのは困難となります。
出版業界とWeb記事を求める業界はまったく異なる
出版業界は雑誌書籍の発行部数が重要となりますが、Web記事はGoogle検索の上位表示を狙うSEOが重要視されます。
記事に求めるもや書き方も大きく異なるため、編集者がなかなか声をかけづらいことも要因の1つにあります。Webライターやブロガーも文章が個性的過ぎると編集に時間とお金がかかってしまいますし、Webに文章を書きなれている人であっても、校正記号をまるで知らない人がほとんどです。
旅行ライターになればトラベルガイドブック(旅行雑誌)に寄稿できる
もし雑誌の執筆案件をWebライターが受注したいのであれば、「旅行ライター(トラベルライター)」の道を目指してみるのがおすすめです。
旅行ライターは2010年以降に注目された新しい分野となり、有名インフルエンサーや世界一周ブロガーも出現しました。
旅行ライターは出版業界と繋がりができやすく、実績の有無問わず比較的短期間で雑誌への執筆依頼を受注できるかもしれません。
コネなしWebライター必見。旅行雑誌の仕事依頼の受注方法
旅行ライターの取引先業界は、主に「出版業界・旅行業界・IT業界」となります。旅行ライターを名乗るWebライターの多くはIT企業が運営する観光情報サイトに記事を更新していますが、残念ながら雑誌出版とは関係がないので、ここでキャリアを積んでも雑誌への寄稿依頼はなかなかやってきません。
そのため、旅行ライターはまず出版業界や旅行業界から仕事を受注するのがいいでしょう。旅行業界は一般的に商業出版はしていませんが、自社のブランディングやツアー参加者に配るためのフリーペーパーを定期刊行しているところが少なくありません。
誠実に仕事をこなしていれば、そちらの方面の仕事を任される可能性は十分にあります。
海外在住者は現地の日系出版社に営業をかけよう
海外在住者は国内旅行ライターよりも一層早く雑誌への執筆案件を受注できるかもしれません。日本人が多く暮らす海外都市には、1社か2社在住日本人向けにフリーペーパーを発刊する日系出版社があります。
そこに売り込みをかければ、まずは現地フリーペーパーにコラムなど執筆案件を獲得できますし、出版社にいる編集者は往々にして日本の出版社や編集プロダクションを経験しているので、信頼が深まれば紹介してもらう機会もあるでしょう。
旅行雑誌の仕事内容は大きく分けて3つ
旅行雑誌の仕事依頼の獲得に当たり、「どんな案件があるのか」は知っておきたいところです。以下では旅行雑誌に携わることができる案件を3つご紹介します。
1.観光スポットの情報収集
旅行雑誌を発行する出版社は、ホテル・レストラン・カフェ・お土産店・観光名所といった観光スポットの情報を社内に蓄積しています。1都市300箇所くらいの情報を持っていて、1~2年に一度、情報を最新にして、その中から編集者が良さそうなスポットをピックアップして旅行雑誌に掲載します。
出版社によっては社内スタッフが自力で海外都市を回って観光スポットの情報を集めるところもありますが、大抵は海外在住者に外部委託します。
依頼を受けて調べる情報は施設写真や住所・営業時間・連絡先等ですが、数十文字のキャプションをつけるので、そのお店紹介文が旅行雑誌にそのまま掲載されることもあります。
2.旅行雑誌ページ内のコラム記事の執筆
旅行雑誌の執筆依頼の中でも比較的難易度が低く、紙面媒体未経験者でも案件を獲得しやすいのが「コラム記事の執筆」です。
旅行のワンポイントアドバイスや海外現地の日常の一コマをコラムにするなど、200~1000文字程度の文章を掲載します。ただし1000文字前後になると1本のコラムとしてきちんと成立するので、編集者もしっかりと校正します。
3.観光都市の概要・図鑑記事
旅行雑誌で紹介する各都市の概要やお店の紹介文、名物料理やお土産雑貨を並べて一言ずつキャプションを付けるのも旅行ライターの役割となります。
雑誌媒体の報酬は文字数ではなく1ページや1コラム単位となるので、ライターに支払われる報酬は意外と悪くありません。任される仕事にもよりますが、基本は取材1日、執筆1日、校正1~2回程度で脱稿となるので、本業のWebライティングに支障が出ることもありません。
Web記事とは違う!旅行雑誌に文章を書く際の注意事項
旅行雑誌に記事を出稿することは日ごろ書いているWeb記事とは事情が異なります。雑誌は印刷所に持っていく日が決まっているので、納期の融通が利きません。自分だけではなく編集・校正・校閲・デザイナー・カメラマンなど多くの人がスケジュール厳守で平行して業務に当たっているので、1日たりとも遅れてはいけません。
また、旅行ライターがよく依頼を貰う海外現地概要文やコラムにも細心の注意が必要です。誤字脱字は校正者が見てくれますが、旅行雑誌に校閲が入ることはほとんどありませんので、間違った情報をもっともらしく書いてしまうと、編集をすり抜けてしまう可能性があります。
もちろん一度印刷してしまうと取り返しが付かないので、情報変更する場合は重版を待たなければなりません。
まとめ:旅行ライターは旅行雑誌への執筆を目標の1つに
雑誌への執筆を目的にライター活動をするなら、旅行ライターになるのが近道です。日ごろWeb記事に特化して書いているフリーライターも、雑誌媒体の仕事はいつもと違う面持ちでデスクに向かうため、気分転換の1つにもなるでしょう。
フリーライターを名乗るからには、是非一度は自分の文章の雑誌掲載を目指してみてください。