トラベルライターが経験値を大幅アップする方法!編集者やカメラマンに同行するメリットと学習すべきこと

フリーでトラベルライターとして活動する場合、基本は独りで仕事を全うしなければなりません。たくさんの案件をこなしていると、大手企業や出版社、編集プロダクションから依頼がくることもありますが、案件や報酬が多くなれば、それだけ責任も重大となるため、「自分の仕事の成果物は及第点に達しているのだろうか」と不安になるものです。

師匠がいるわけでもなく、出版社や新聞社、編集プロダクションでの勤務経験がなければ、自己流で仕事を身につけスキルを高めていかなければなりません。そこで、自分のスキルアップ、及び貴重な体験をできるのが、「編集者やカメラマンに取材の同行をする」ことです。

旅行ガイドブックや現地情報雑誌は編集者と同行することも多い

例えば新刊として旅行マガジンを作る場合、または現地情報誌を発刊する出版社や編集プロダクションは、多くの場合に取材対象国に現地入りします。その本を任されている担当編集者とカメラマン、現地で雇う通訳、コーディネーター、そしてライター(皆さん)で取材当日は行動することになるでしょう。

編集者から何を学ぶ?クライアントの思いを知ろう

編集者はその本の構成をすべて任されています。これから作る本のコンセプトやターゲット層を教えてもらうことはもちろんのこと、取材をする毎に「ここは〇〇のことを重点に書いて」、「この観光スポットは見開き2ページの予定だから、歴史概要から見どころ、アクセス方法まで細かく調べてほしい」、「その国の文化が分かるような田舎らしさが出る雰囲気の文章にしてほしい」など、細かく文章に関して指定されることもあります。

普段何気なく書いている文章ですが、その文章を編集者がどのような思いでゲラに落とし込んでいくのかを知ることができる非常に貴重な機会となります。編集者がトラベルライターに求めていることを知ることができれば、出版社や編集プロダクションに新規提案や企画を持ち込みする際も有利に働くこととなるでしょう。

裏話も聞こう。マストで訊いてほしい質問

トラベルライターとして活動していても、そう度々雑誌の編集者と直接話せる機会はありません。この同行取材をチャンスに日ごろ聞きたかった質問を移動中や食事中にしてみるといいでしょう。その中でも、下記の質問は是非マストでしてみてください。

  1. どのような企画が受け入れられやすいのか
  2. 企画の持ち込みは可能か
  3. トラベルライターが必須の機材

上記は出版社や編集プロダクションによって見解・方針が異なるので、編集者に直接聞くのが一番です。最近はネタ不足や販売売上の減少が出版業界で続いているので、てこ入れとして飛び込みの企画もしっかりと目を通してくれると聞きます。それであれば、どんな企画が通りやすいのかも聞いておけば、のちの提案で採用されやすくなるかもしれません。

敏腕編集長の仕事ぶりに感動

取材には編集長が直々に同行する場合も少なくありません。以前編集長とフリーのカメラマンとライター(筆者)でとあるレストランを取材したのですが、その際、編集長が何から何まで指示をだしていたことに驚きました。通常写真を撮る場合、構図や光加減、撮影方法に関してはプロのカメラマンに任せて、編集者が指示するのはせいぜい「引き(遠目から)で撮って」、「ここは寄り(近くに寄って)で」くらいなのですが、その編集長はカメラマンに対して「ここは大きく(広角で)撮って、テーブルを中心に左右に二つの影を作って」、「お店の雰囲気がでるように女性のウェイトレスを右端に入れて、身体ははっきり映して顔はぼかして。ISOは400以下で」といった風にプロのカメラマンも真っ青なくらい明確に撮影の指示を出すのです。

編集長の熱意で筆が走る

カメラマン曰く、「編集長はカメラの扱いにも長けているし、文章力もプロ顔負け。だから信頼できるんです……毎回たくさんの撮影機材を持ち込まなきゃいけないのは大変だけど(笑)」とのこと。写真一枚に対してもカメラマンの技術や編集長の熱い思いが込められているのが分かります。それであれば、「プロの旅行ライターとして、高品質の記事を提供しないと申し訳が立たない」と記事を書くにも力が入るというものですよね。

カメラマンから学ぶべきことも多い

トラベルライターといっても文章だけを書いているわけにはいきません。旅行記事は写真ありきの性格が強いので、基本どこのクライアントも写真を求めてきます。小さなホームページやブログ程度であればスマホの写真でもいいのですが、旅行サイトや雑誌・書籍に掲載する写真であれば、それなりの品質が求められます。

トラベルライターの多くは撮影技術は雑誌やインターネットで調べて自己流で身につけますが、目の前にプロのカメラマンがいるのであれば、日ごろ苦戦している撮影シーンや設定について余すことなく質問してしまいましょう。

フリーカメラマンならばしっかりと名刺交換を

編集者に同行するカメラマンは、出版社や編集プロダクションに所属している社員、もしくは外部委託したフリーカメラマンのいずれかとなり、名刺で判断することができます。もしフリーカメラマンであれば、持ちつ持たれつの関係を築くことができるので、是非連絡先を交換してください。

カメラマンとトラベルライターはお互い尊重し合う関係である必要があります。トラベルライターはプロ並みの写真は撮れませんし、カメラマンはプロライター並みの文章力はありません。お互いが協力して1つの記事を成し遂げることができるため、案件を譲り合ったりする場面もあることでしょう。

カメラマンとトラベルライターで仕事の奪い合いも

一昔前と比べると、フリーのカメラマンは大分減ってきたようです。いままで何十年もフリーで活動していたカメラマンも、合理化の波に呑まれて社員として働かなければならない時代となりました。その原因の一つがトラベルライターにあるといいます。一昔前まではライターとカメラマンは草分けされていたのですが、最近のトラベルライターは比較的高いカメラ機材を購入して、自身で撮影するようになったことが原因にあります。「ライターの人たちが俺たちの仕事を持っていった」と愚痴をこぼす人もいます。カメラマンとトラベルライターは蜜月関係でありながらも、時には1つの案件を取り合うライバルになることもあり得ることは、覚えておいて損はありません。

取材の動向は貴重な体験。流れを知れば本の構成が分かる

雑誌や書籍の執筆依頼であっても、毎回編集者やカメラマンが取材に同行するわけではありません。特に編集者は予算(経費)を考えなければなりませんので、効率を重視するため大抵は二手に分かれて観光取材をします。しかし、見開きを飾ったり複数ページで紹介するスポットに関しては大所帯で取材に臨むこともあるため、その際は観光スポットの取材許可取りからインタビュー、撮影など取材の流れを知ることができます。トラベルライターとして単独で活動しているだけなら到底知り得ない情報や経験を獲得することができるため、もし取材に同行できる機会があるならば、必ず最大限活かすようにしてください。

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