トラベルライターは、クライアントから指定された日時にお店に出向き取材をする、というよりは、トラベルライター自身がアポ取りからやらなければならない場面の方が圧倒的に多いです。
取材先が決まったあとは、トラベルライターが自ら先方と連絡を取り合い、取材までの流れを詰める必要があります。まだトラベルライターとして駆け出しのうちは、アポ取りの方法もよく分かりませんよね。そこで、今回は取材先を決めたあとの調査、アポ、取材当日、取材後のやりとりといった流れをすべて紹介します。
1.取材先に連絡をする前に、ネットで情報収集
取材先にアポ取りをする前に、まずは下調べを行います。トラベルライターでしばしば取材対象に挙げられるのは下記となります。
- 飲食店
- ホテル
- お土産店
- エンタメ(遊園地や動物園など)
- 博物館
特に下準備が必要なのはエンタメです。テーマパーク系は敷地面積が大きいため、取材対象をある程度絞り込む必要があります。記事になりそうな珍しいものや写真映えを考えて選定するといいでしょう。
また、博物館は運営が民間か自治体かによって取るべき方法が異なります。HPに記載のある連絡先は往々にして窓口なので、ここに連絡しても意味がありません。管理会社の住所と電話番号、Emailを割り出して連絡先を突き止めるといいでしょう。
博物館や名所の取材の注意点
博物館や寺院、教会といった観光名所の取材をする場合、取材許可を得る相手が自治体となる可能性が高いということを覚えておきましょう。このような名所は悪評に繋がらないような記事・写真であれば、基本的に許可は不要という考えがトラベルライターの中では普通です。ただし、クライアントによっては「自治体に取材・撮影許可を取得してください」というところもあります。その場合は、同名所を管理している自治体の連絡先をHPから探してください。メールを送っても返信を貰える可能性は低いので、電話で取材許可を得るか、現地のコーディネーターに取材許可の取得代行をしてもらうことになります。
2.担当者にメールを送る
アポイントを取る場合は、まずはEmailを送るのが鉄則です。日本国内の取材であれば電話でも構わないのですが、外国の場合は必ずメールです。その理由は、「電話でアポをとっても、当日はそんなのは知らないと言われてしまう可能性がある」ことや、「お互い英語が慣れていないと、きちんと意思疎通ができていない可能性がある」ことが挙げられます。特にアジアで取材する場合は、電話だと言った言わないのトラブルがよくあります。当日取材ができなかったら経費が余分にかかってしまうので、必ずやりとりの証拠が残るメールでアポ取りをしてください。
英語メールで送る
飲食店やホテルで気を付けたいのは、「マネージャーや担当者の国籍と言語」です。ホテルであれば英語メールを送れば大抵は問題ありませんが、飲食店は現地語しか対応してもらえない場合もあります。その場合は取材先でも困った事態に陥ることが多々あるため、この時点で取材先候補から外してもいいでしょう。また、インターナショナルホテルであれば、日本マーケット担当の日本人が在籍している可能性も高いため、英語の下に日本語を併記すると、レスポンスの可能性が高くなります。
エンタメ&高級ホテルはアポ取りが難しい場合も
テーマパークや高級ホテルの場合は、突然の取材メールに取り合ってくれないことも多いです。その場合に備えて、予めクライアントから「取材協力願い(取材許諾書)」を貰っておきましょう。外国人でも知っている大手旅行会社の依頼などであれば、比較的アポを取ることは容易となります。
3.取材当日の流れ
取材当日はスムーズに担当者と接触するのが最初の目標。エンタメ業界では窓口の係員やセキュリティに止められてしまう可能性があるため、これまで担当者とやり取りしたメールの内容を印刷していくといいでしょう。担当者と会うことができたら、名刺を交換後、その日の流れをざっくりと説明します。英語が苦手な方は、予め紙に取材したい場所を箇条書きしておくといいでしょう。ホテルの場合は担当者と常に行動することになり、エンタメ系の場合は『press=記者』のバッジを付けて単独で取材を行うのが普通です。
レストランでは事前に撮影する料理を決めておくのがいい
レストランでは基本的に写真撮影が必須となります。大抵は「好きな料理を選んでくれ」と言われるので、事前にホームページや口コミサイトを調べて、人気の料理、写真映えする料理を選定しておくとスムーズです。ただし、経費が出ない以上トラベルライターが料理代を支払うことはしませんので、高そうな食材を使った料理は避けるべきといえます。
取材に必要な質問事項・機材は事前に入念に準備を
現地で取材をする質問事項は必ず事前に考えておきましょう。実際はパソコンを広げて話すことができるので、ワードに質問を打ち込んでおくといいでしょう。また、写真撮影の機材の準備も怠りなく。ホテル、博物館、お土産店、スパなどはフロア面積が狭いため、広角レンズが必要となります。レストランは料理の写真を撮ることを想定して単焦点が必須。テーマパークはさまざまな撮影に対応しなければならないため、望遠から単焦点まで複数のレンズで臨むようにしましょう。
4.取材後の流れ
取材を終えたあとは、記事の作成に取り掛かりますが、高級ホテルや大手企業が取材先だった場合、多くのケースで記事の内容を先方に伝えなければなりません。「○○をPRしたいから記事で紹介して」、「この表現は使ってほしくない」といったやりとりを1回ないし2回ほどする必要があります。ただし、トラベルライターも自由に記事を書くことができないこともあり、「キャンペーンの紹介はダメ」、「姉妹店の紹介はしてはいけない」といったルールがクライアントから指示されることも珍しくありません。webサイトにアップされたり、活字印刷されたあとに取材先からクレームがあっても手遅れとなりますので、記事として書けることと書けないことは、しっかりと先方に伝えることも大切です。
写真の使用許可が下りない可能性もある
せっかく撮影した写真でも、取材先から使用許可が下りないこともあります。写真の見栄えが悪い、角度が悪い、不要なものが映り込んでいるなど、いろいろと理由は考えられます。その場合は先方から商用利用可能の写真を送ってもらうようにしましょう。「HPから勝手に取ってくれ」と言われる場合もあります。ただし、いずれにしても先方の写真を使用する場合は、クレジットの記載が必要となりますので、クレジットをキャプチャに記載するだけでいいのか、写真に入れるのか指示を仰ぎましょう。また写真の場合は、写真のどこに入れるかも聞いておくのも忘れないように。
「納期>記事の品質」が鉄の掟!納期は絶対に守る必要がある
「取材で得た情報量が膨大のため、記事に起こすのに時間がかかります。数日納期を遅らせてもらってもいいでしょうか」という質問は出版社に限ってはしてはいけません。雑誌やガイドブックとして出版される場合は、意外と脱稿から印刷までの日数が少ないため、2~3日の納期の遅れも許されないことが多いです。納期の範囲内で持てる力を最大限発揮し、良質な記事を書くことがトラベルライターに求められるということを覚えておきましょう。