近年徐々に対応国が増えている電子ビザ(eビザ)ですが、まだまだ全体の認知度は低く、ビザの取得が必要な国・都市に対してはその都度大使館で取得手続きをしている旅行者や出張者がほとんどのようです。しかし、電子ビザは従来の取得方法と比べると手間が必要最低限に抑えられ、なによりも手軽。非常におすすめの取得方法となりますので、海外渡航を計画している方は是非覚えておいてほしいところ。
ここでは電子ビザの基本的な概要からメリットとデメリット、取得の際のポイントなども併せてご案内します。
そもそも電子ビザ(eビザ)とは?
電子ビザ(eビザ)と聞くとアメリカに入国する際のエスタを思い浮かべる人がいるかもしれませんが、ここでご紹介する電子ビザは主にアジア諸国がビザ取得の効率化を目指して発給している新たなビザ取得方式となります。まだあまり利用者はいないようですが、一度でも経験すると電子ビザの便利さを実感できるはずです。
電子ビザの取得が可能か調べる方法
渡航先が電子ビザを発給しているかどうか、また、電子ビザの発給対象国に日本が含まれているか否かを調べるためには、その国の大使館や領事館、外務省のHPを調べるといいでしょう。また、代行業者や旅行会社でもビザの情報は必ず掲載されていますので、こちらも要チェックです。
電子ビザが有効な主な渡航先
電子ビザが有効かつ日本人旅行者にとって利用頻度・渡航頻度が高い国として挙げられるのが下記の国。
- ロシア
- ベトナム
- インド
- カンボジア
- ミャンマー
その他パキスタンやタジキスタンのような中近東やアフリカの一部の国でも電子ビザ申請が可能となります。
ロシアの電子ビザによる入国は注意が必要
電子ビザの取得が可能な国は年々増えてきていますが、その中でも注意が必要なのがロシアです。ロシアでは原則的に電子ビザの場合は州を跨いでの都市移動ができなく、具体的には1つの行政区・州のみの移動のみが許されています。2020年時点では主に沿岸地域の州において電子ビザが発給され、日本人旅行者に人気のウラジオストクは取得可能都市となります。ただし、ロシアの電子ビザ状況は年々緩和され、取得可能都市(州)も確実に増えてきているので、数年先の近い将来は大都市であるモスクワにも気軽に行ける日が来ることが予想されます。
電子ビザの取得方法
電子ビザの取得は電子ビザ発給国の政府ホームページ、もしくは代理サイト、及び大使館のwebサイトにて申請手続きをすることができます。手元に準備するのは下記となります。
- パスポートの顔写真のページデータ
- 写真データ
- 宿泊予定先情報
パスポートや顔写真はすべてデータとなりますので、予めスキャンしてJPEGやPDFに落としておく必要があります。また、宿泊予定場所の証明書データを求められる場合は、ひとまずホテルに仮予約をしてバウチャーを発行してもらうといいでしょう。また、支払いは必ずクレジットカードとなりますので、まだ持っていない方はこれを機会に取得しましょう。クレジットカードはアジア諸国においても年々普及率が増加しているため、観光客が行くような商店のほとんどはカード払いに対応しています。スリや盗難が多い国では現金を持ち歩くよりもクレジットカードによる決済を強くおすすめします。
電子ビザの入国方法
電子ビザは申請すると3日ないし4日程度で入力アドレスあてにeビザが送られてきます。それをダウンロード・印刷して空港・陸路・港といった国境の入国審査、検問所に提出するだけとなります。このeビザはホテルのチェックインなどでも提示することになるので、なくさないように保管しておきましょう。
また、必ず覚えておいてほしいのは「電子ビザが対応している場所から入国すること」です。電子ビザを発給している国であればどこの国境からでも入国できるというわけではありません。一般的に大都市の空港や旅行者が頻繁に利用する陸路の国境であれば対応していますが、必ず電子ビザを申請する際に確認してください。
電子ビザを利用するメリット
電子ビザは一度経験すると非常に優秀なビザ取得方法だと理解できます。しかし、いままで使ったことがない、申請したことがないという人にとっては、いささか敷居が高いかもしれませんね。電子ビザを取得するメリットは次の通りとなります。
大使館に足を運ぶ必要がない
おそらくこれは最大のメリット。ビザ免除に対応していない国の中でもインドやウラジオストク(ロシア)は日本人の人気の旅行先です。これらの国へ観光及びビジネスで渡航する場合は、申請と受け取りで2度大使館に足を運ぶ必要があります。電子ビザで申請ができるようになってからは、自宅のパソコンですべてを終えることができるので、大使館に行く手間と時間もなくなりました。
ビジネス渡航にも対応している
ビザ免除はあくまでも観光目的の入国に限る、というのがほとんどの国の見解となります。ビジネス目的で入国する際は、その国が用意している商用ビザを取得する必要があり、自分で大使館で取得するか代行業者に依頼する必要がありました。しかし、電子ビザであればビジネス目的の入国にも対応しているため、簡単な手続きでビザの取得が可能となりました。
アライバルビザも必要なし!
かねてから問題のあるアライバルビザ。「窓口で3時間待たされた」、「何の理由もなく発給してくれない」、「高額な手数料を要求された」といったトラブルがしばしば見受けられます。電子ビザを取得すればアライバルビザは必要なくなるので、カンボジアやベトナムに渡航される方にとってはかなりの朗報となります。
電子ビザのデメリットも覚えておく
使い慣れると非常に便利な電子ビザですが、一方で課題も残されています。特に海外旅行に不慣れな方や、ビジネス出張で確実に入国する必要がある方は、ここで記載するデメリットもよく覚えておいてください。
申請が英語の場合が多い
電子ビザの申請手続きをするホームページは幾つかの言語に切り替えができますが、日本語に対応しているサイトはそれほど多くありませんので基本は英語で申請することとなります。また、日本語対応のサイトは代行業者の民間ホームページの場合が多いため、本来払う必要がない手数料が発生するので、その点も注意が必要です。
入国できない可能性もある
電子ビザはその手軽さから徐々に利用者数も増えてきていますが、その一方で取得条件や関連法律も頻繁に変更されます。また、上述したように入国可能な国境は限られているため、誤って対象外の国境に行ってしまった場合は、入国することができません。
大使館でのビザ取得よりも短期&条件が厳しくなる
電子ビザと大使館で申請&取得するビザは同じ条件ではないことも覚えておいてください。電子ビザは一般的に通常のビザよりも下記の通り制限されることが多いです。
- 滞在日数が少ない
- 出入国回数が1~2回※シングルが多い
- 1年に申請できる回数が決まっている
例えばインドへビジネス出張及び観光に出かけられる方は多いですが、電子ビザの申請は1年に2回までとなります。このように各国で定められた条件があるので、申請前には必ず熟読するようにしてください。
近い将来電子ビザで世界を回れる!
2020年時点ではまだそれほど多くの国が電子ビザに対応しているわけではありませんが、近い将来はヨーロッパ含む全地域で電子ビザが導入され、より一層外国が身近となって旅の幅が広がることが期待できます。