憧れの海外移住を前にすると、期待と同時に不安も押し寄せてくるものです。実際に海外移住を果たしたあとに、後悔して日本へ帰国をする人も少なくありません。そこで、ここでは海外移住を後悔するケースと、後悔しないように日々充実した海外生活をおくれるポイントや対策をご紹介します。
日本人の海外移住者は世界に推計135万人!
外務省統計データによると、日本人における海外移住者は推計135万人。また、その内長期滞在者は82万人となります。ただし、これはあくまでも在留届を出して政府が把握している人数となりますので、実際はこの2倍から3倍は多いのではないかと想定されます。
また、昨今は留学だけではなく、ワーキングホリデーや海外インターンシップなども盛んとなっており、学生や20代の若いうちから海外で働くことを経験することにより、海外移住の敷居が大きく下がっている傾向にあります。
欧米への海外移住で後悔するケースが多い
日本人の中には欧米への海外移住に強い憧れを抱いている人も多くいます。しかし、旅行雑誌やテレビといった、いいとこ撮りに感化されてしまうと、海外移住後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することにもなりかねません。
特に欧米に対しては「日本と違って医療費が無料」、「日本よりも子供の教育環境がいい」、「お洒落なカフェでコーヒーブレイクをとるのが夢」といった漠然としたイメージや強い先入観を抱いている人が多い様子です。では、実際に欧米へ海外移住をすると、どんなケースで後悔することになるのでしょうか。
医療費無料の国は多いが、「日本の方がマシ」と後悔する可能性もある
主にヨーロッパの先進国では、医療費は無料となる国が多いのは事実です(実際はビザ代などに含まれている)。しかし、そういった国の多く(カナダやイギリス、ドイツなど)は、各家庭やエリア毎に主治医がいて、病院に行く前に主治医に診てもらいます。しかし、この制度が非常に不便。
主治医を呼んでもなかなか来てくれないですし、さらに病院を紹介してもらっても、いつも何時間も待たされます。日本の場合は具合が悪くなったら近くの病院に行けばいいだけですが、欧米ではそうはいかないのです。また、風邪や熱で病院に処方されるのは基本はビタミン剤で、日本やアメリカのように鎮痛剤や解熱剤はなかなか出してくれません。
後悔しないための対策:常備薬は多めに持参する
鎮痛剤や常備薬、咳止め、鼻炎薬などは多めに日本から持っていくのがいいでしょう。欧米で販売している鎮痛剤は含有成分が日本の2倍くらいありますので、できれば日本人向けの薬を服用すべきです。
欧米の「治安の悪さ」に辟易。海外移住を後悔することも
欧米の治安の悪さは有名ですが、いざ自分が現地に暮らすとなると、その治安の悪さがさらに際立ちます。日本人に人気の移住先であるイギリスやフランス、スペイン、イタリアは都心であっても注意が必要です。特にアジア人は目立ちますので、ひったくりや暴行の被害に遭うこともありますし、夜の一人歩きは女性も男性も危険です。
後悔しないための対策:自分の普段の生活を見直す
基本的に「治安の悪いところには近づかない」、「夜はなるべく出歩かない」、「一人で歩くときは人気のない通りは避ける」ことが肝要です。海外生活に慣れてくると、自然と気が緩んで油断に繋がります。事件というのはそういったときに起こるものなので、普段の私生活に気の緩みがないかを見つめ直すといいでしょう。
アジアの海外移住は満足度が高い!ただし、発展途上国ならではの悩みも
一方でアジア・東南アジアに海外移住をした人は、往々にして満足度は高い様子がうかがえます。東南アジア=発展途上国という先入観がありますし、実際東南アジアの多くは日本と比べてあらゆる面でまだまだ未整備です。しかし、旅番組などを見てみると、むしろそれを魅力にしている節もあり、これから海外移住をする方も、「東南アジアはスリやひったくりが多い」、「水道水は飲めない」といった現地事情は大抵把握しているものです。そのため、海外移住後とのギャップが少なく、海外生活が初めてという人も、意外と長続きするようです。
東南アジアの海外移住で女性が後悔するのは「食生活」
東南アジアでは上述したように水道水は飲めないため、普段の飲み水はミネラルウォーターとなります。しかし、実際に海外移住をしてみると、食生活で気をつけなければならないのは、それだけではないことが分かります。
- 屋台や食堂の料理は油を多量に使っているためなるべく避ける
- 市場で野菜は買ってもいいが肉は買ってはいけない
- 有名でないメーカーの商品はスーパーであっても買うべきではない
このように普段の食事においての注意事項が多々あるため、女性や主婦の多くが健康面での心配を拭えないでいます。「子供にはあまり屋台料理は食べさせたくない」といった声もよく聞きます。
後悔しないための対策:日本人御用達のお店を利用
日本人が多く暮らす東南アジアの都市では、必ず1つか2つは日本人向けの輸入雑貨店がありますし、現地の富裕層向けのオーガニック食品や、産地や栽培に気を使った野菜、輸入肉を扱うお店があります。生活費は高くなってしまいますが、安全な食材を求めるのであれば、そういった対策も有効です。
医療技術はまだまだ後進国。持病持ちには辛い海外移住
東南アジアにおける医療技術はまだまだ後進国で、唯一進歩しているのはシンガポールとなり、次点でタイとなります。そのため、アジアの周辺各国に暮らしている日本人は、大きな病気や事故に遭った場合は、シンガポールやタイに飛行機で輸送されます。地元の病院も外国人は受付ていないところも多いですし、単なる風邪と診断されても、実はインフルエンザだった、なんてことも頻繁にあります。
ちなみに持病を患っていると海外保険に入れない可能性があるので、そちらも不便に感じる要因となります。
後悔しないための対策:海外保険もしくは日本へ一時帰国する
もし大きな病気にかかった場合は、日本に一時帰国するのがいいでしょう。また、少し高いですが海外保険に加入しておけば、市内で最上級の医療を提供してくれる国際病院にかかることができます。ただし、「国際病院よりも日本の町医者の方がマシ」という声もありますので、病気やケガの重度によって使い分けるのがいいでしょう。
現地採用の会社員は海外移住を後悔する人が多い理由
会社の辞令で海外赴任をするのではなく、身一つで海外に移住し、現地で企業に採用されることを「現地採用」と呼びますが、現地採用者の中には「給料が安いわりに激務」、「残業が多く、日本に住んでいたときと変わらない」と海外移住自体を後悔している人も多くいます。
現地採用は理不尽な条件と待遇が多いため、自分で気が付かないうちに日々ストレスをため込んでしまい、ふとした瞬間に突然うつ病を発症する、といった事例が海外ではよく見受けられます。そのため、日本のストレス社会が肌に合わないと言う人は、海外移住先でも同じ境遇に陥る可能性があるので、フリーランスとして活動をしてみたり、起業するなりするのがおすすめです。
海外移住で後悔したときは一時帰国をしてみる
海外移住では必ず1度や2度は現地が嫌になったり、後悔することもあります。そんなときは無理して現地に留まるのではなく、一旦日本に一時帰国をしてみることをおすすめします。数週間程度日本で慣れ親しんだ生活に戻ってみると、ふと再び海外現地に帰りたくなるものです。
海外移住をしたからといって、ずっとその地に留まる必要はありません。嫌になったら海外移住を後悔する前に日本に帰国したり、別の第三国に移り住むのも自由であることを忘れないようにしましょう。
最初は「東南アジア」に海外移住をするのが後悔しないポイント
欧米と東南アジアを比較した場合、日本から物理的に距離が近い東南アジアの方が、海外移住者に慣れていない人にとってはおすすめとなります。もし何かあれば日本に半日で帰ることができますし、航空券も安いので、それだけでも安心感が生まれます。