2000年代以降に人気急上昇中の東南アジア移住。マレーシアやシンガポール、ベトナム、タイ、インドネシアなど、いずれも多くの日本人が若くして海外移住を成功させています。しかし、初めての海外移住では、何が必要なのか不透明な部分も多いです。
そこで、今回は東南アジアの海外移住に必要なものを初めての移住者向けにご案内します。
日本人の海外移住者は130万人以上!海外移住者統計
外務省統計によると、日本人の海外移住者は130万人以上となります。新型コロナが発生した2020年以降は一時的に減少していますが、2019年以前は、政府統計を公表した平成元年以降、なんと30年以上連続で増加の一途を辿っています。
また、外務省統計では、東南アジアの海外移住者数と人気国は下記となります。
東南アジア移住者ランキング
1位 タイ(世界4位) 8万2000人
2位 シンガポール(世界11位) 3万6000人
3位 マレーシア(世界12位) 2万7000人
4位 ベトナム(世界14位) 2万2000人
5位 インドネシア(世界16位) 1万6000人
6位 フィリピン(世界17位) 1万5000人
上記は海外移住者が大使館(領事館)に在留届を出している人数となるので、実際は1.5倍から2倍以上いるのではないかと考えられます。
近年東南アジアが海外移住先として支持される理由
東南アジアは、初めて海外移住を計画している人に人気の地域となります。欧米圏は昔から根強く支持されていますが、昨今の新型コロナやロシア・ウクライナ問題から円安が急速に進み、日本円を収入としているフリーランスや個人事業主にとっては、生活費が余分にかかってしまい、住みづらくなってしまいました。
一方で東南アジアは、日本円の価値が低くなっている昨今でも、まだまだ日本と比べると物価が安く、少額の資金でも十分な生活ができます。
東南アジアの海外移住で必要なもの・ことはある?
海外移住に慣れている人であれば、移住に必要なものは国が違えどある程度分かるものですが、海外移住未経験者であれば、何を用意すればいいか勝手がわかりません。
そこで、ここでは初心者の人に向けて、東南アジアに海外移住をする上で必要なもの・ことをご紹介します。
ビザ(査証)の取得と更新方法
本来外国に滞在する場合は、必ずビザ(査証)が必要となります。しかし、日本は多くの外国と友好を結んでおり、観光目的に関しては一定期間ビザの取得が免除されています。しかし、海外移住者は滞在目的に応じたビザの取得が必要となりますので、まずは日本にある移住先の大使館・領事館でビザを取得するといいでしょう。
一方で、海外移住に慣れていない人は、ビザの取得にこだわってしまい、移住先滞在中の「ビザの更新」に関してまでは頭が回らない様子です。東南アジアは滞在ビザの法律がまだ明確に定まっておらず、毎年のように新しい法令がアップデートされています。特にベトナムのような社会主義国は、当局の命令でその日のうちに法律が追加・変更されることもしばしばあるため、常に最新のビザ更新情報をキャッチしなければなりません。「ビザの更新ができなくて日本に帰ることになった」というのは東南アジア移住者の中では“あるある”の帰国理由です。
往復航空券が必要な場合も
東南アジアに海外移住をする人の多くは、実は日本でビザを取得するのではなく、現地の大使館・領事館で取得をします。これは、最初は観光目的でビザ免除で入国した方が手っ取り早いからです。しかし、東南アジアを観光目的で入国する際は、入国審査で帰国便の航空券を求められることがあるため、国によって対策を講じる必要があります。
海外旅行保険への加入
海外旅行保険は近年ではクレジットカードに付帯しているのも普通となってきました。日本の保険会社だけではなく、東南アジアの現地には在住者向けの保険もあります。在住者向けの保険は1年契約となりますが、初めての海外移住者にとっては、慣れない環境に身を置く最初の1年が最も疾病が懸念されます。そのため、初年度だけは海外保険に加入しておくのがおすすめです。
日本の銀行口座は利用を続ける
海外移住とともに日本の銀行口座を解約する人もいるようですが、東南アジアに移住する際は、銀行口座は絶対に解約するべきではありません。まず、フリーランスや個人事業主は海外移住後も変わらず日本に所在を置く企業と取引をする可能性が高いため、その際に報酬が振り込まれる国内口座が必要となります。
また、欧米では居住証明書があれば誰もが簡単に銀行口座を開くことができましたが、東南アジアでは、個人の外国人が銀行口座を持つことを禁止している国もあります。そのため、日本の銀行口座は必ず1つは保有を続けるようにしてください。
大学の卒業証明書がないと帰国することもある
東南アジアへの海外移住者の中には、「フリーランスと本業(会社勤務)を両立したい」、「自営業を失敗したから、現地で就職したい」と言う人も少なくありません。しかし、現地で就職する際は、大学や専門学校の卒業証明書が必要となります。
卒業証明書は採用時点では必要ありませんが、入社後にワークパーミットを取る際に無犯罪証明書や戸籍謄本などと合わせて卒業証明書が必要となります。その他の書類は移住先の大使館・領事館で取得することができますが、卒業証明書だけは母校の窓口に直接足を運ばなければなりません。そのため、日本を発つ前に卒業証明書は取得しておくことを強くおすすめします。
予防接種は東南アジア移住者は必ず必要!
日本ではほぼ疾患のリスクがない狂犬病や破傷風、日本脳炎、マラリアは、東南アジアではまだまだ脅威の病気となります。これらは複数回の接種が必要のため、医師と相談して渡航までにすべて終えるようにスケジュールを組んでもらう必要があります。東南アジア現地でも打つことはできますが、ほとんどのケースで日本で接種する方が安上がりとなります。
- A型肝炎
- B型肝炎
- 破傷風
- 狂犬病
- 日本脳炎
- 腸チフス
上記は東南アジア移住で推奨されている疾病となります。このうちの幾つかは打っておくといいでしょう。
クレジットカードは複数枚用意する
東南アジアではスリとひったくりが多発するため、多額の現金を持ち歩くことは良しとされません。東南アジアではクレジットカードの普及率はここ10年で急速に進み、コンビニやカフェといった数百円の少額でもカードで支払うのも普通となっています。
ただし、東南アジアではJCBやAMEXは使えないお店がほとんどのため、VISAもしくはマスターカードを複数枚作っておくのがいいでしょう。
国際ATMも使用可!日本の銀行口座から簡単に現金を引き下ろせる
東南アジアの都心には数多くの国際ATMがあり、日本の国際キャッシュカードを挿し込めば、日本の銀行口座から現金を現地通貨で引き下ろすことができます。
- SMBC信託銀行
- 住信SBIネット銀行
- ジャパンネット銀行
- 楽天銀行デビットカード
などが東南アジア諸国で使うことができます。ただし、ATMとの相性もあり、なぜか利用ができないケースもあるため、上記の銀行カードを数種類作っておくのがおすすめです。
東南アジアの海外移住で必要なものは実はそれほどない!
上記をご覧いただくと分かるように、東南アジアに海外移住をするといっても、実は必需品はそれほど多くありません。しかし、銀行口座やビザの更新、大学の証明書、クレジットカードの作成などは、日本に居るときでなければできません。そのため、これから東南アジアへ海外移住を計画している人は、上記で挙げた必要なものは、最初のうちに用意しておくといいでしょう。