
近年はITを活用した仕事を中心に請け負い、職場を持たないで国内外を渡り歩くフリーランス「デジタルノマド」が世界で急増しています。2022年時点では世界3500万人程度と想定されていますが、2035年には世界10億人に達するとも言われており、今後の新しい働き方として注目されています。
では、デジタルノマドを希望するフリーランスは、日本と海外どちらに生活・職場を持つのがおすすめなのでしょうか。ここでは海外ビザも含めた現在の事情と将来予測を解説します。
デジタルノマドにおける日本国内の現状

新型コロナ以降は日本でもリモートワーク化とフリーランス人口が増え、「ノマドワーカー・ノマドライター」といった言葉が周知されるようになりました。日本はもともと起業家は少なくなかったものの、会社という組織を持たずに働く自由業(フリーランス)は相対的に地位が低く、「将来性がない」、「生活が安定しない」、「若いときだけしかできない」といったネガティブな印象を抱く人も多くいます。
しかし、コロナを契機に雇用整理を余儀なくされる企業が相次ぎ、社員=安泰といったステータスが揺らぎ、デジタルノマドを含むフリーランスが再度見直されているのが現状となります。
デジタルノマドはどこで仕事する?1位は「自宅」

ヨーロッパを中心としたデジタルノマドのための滞在先物件検索サイト「Flatio」の「デジタルノマドレポート」内にある「デジタルノマドの職場アンケート」によると、彼らが選ぶ職場1位は「自宅」で55%でした。
1位:自宅
2位:コワーキングスペース
3位:カフェ
4位:賃貸オフィス
5位:ホテル
日本国内でも一昔前は「スタバでカフェ」がノマドのイメージでしたが、近年はコワーキングスペースやレンタルオフィスで働くデジタルノマドが着実に増えてきている印象です。
自宅で仕事をする場合は、家事や育児と両立ができるメリットがある一方、集中できずに能率が下がってしまうことも懸念されます。自分に合った働き方・職場環境を見つけるのもデジタルノマドの重要なポイントと言えるでしょう。
世界各国でデジタルノマドビザが普及。海外中長期滞在の敷居が低くなる

また、世界中のデジタルノマド(フリーランス)の増加に伴い、世界各国の入国規制も大きく変化しつつあります。デジタルノマドの入国を推進している各国では「ノマドビザ」、「フリーランスビザ」といった独自のビザの法整備が進んでおり、所定の条件を基に中長期ビザを申請できるようになりました。
世界各国のデジタルノマドの正確な人口を出すことは困難ですが、Instagramのハッシュタグ“digitalnomad”の投稿数において日本は世界27位。アジアではタイ12万、インドネシア9万とある中、日本は1万7000となり、日本入国を目指す外国人デジタルノマドの少なさ、及び日本の入国規制の厳しさが目立つ格好となりました。
デジタルノマドで海外移住を目指す人のポイントと注意点

デジタルノマドとは主にIT関連の業務を請け負っているフリーランスです。具体的には「エンジニア・デザイナー・ライター・コンサル」といった職種が挙げられ、またアフィリエイターやブロガー、ユーチューバーのように自身のサイトや動画で収益化している個人事業主も含みます。
そこで、以下では海外移住、もしくは海外に職場・生活の拠点を持とうと考えているデジタルノマドに向けて、海外ノマドを成功させるポイントと注意点を紹介します。
観光ビザとノマドビザを比較。滞在日数の多い国を選ぶ
通常、デジタルノマドが海外に入国する際は以下2つの方法が考えられます。
- 観光ビザで入国しノマドビザを申請し切り替える。
- ノマドビザで入国・更新する。
日本でノマドビザを取得して入国するのは実際はあまり現実的ではないため、通常は1.の方法を取ることになります。しかし、ノマドビザは現時点ではそれほど容易に取得できないため、観光ビザで入国した後にノマドビザの交付が難しいと判断したら、観光ビザを更新して滞在を続けることになります。
そのため、観光目的の滞在(ビザ有無問わず)日数が長い国を選ぶのが最初はおすすめです。
海外長期移住を考えない。日本と海外両都市を往復する
デジタルノマドで海外に生活の拠点を持とうと考えている人の中で、「来月から海外移住だ」と覚悟と期待を持って臨んでいる人は少し注意が必要です。海外生活の経験がない人や初めて移住する国・都市は、往々にして無意識のうちにストレスが溜まっていくものです。
そのため、最初は長期滞在を目指さず、3~6か月の滞在を見込んで日本と海外を往復する生活がおすすめです。
既婚者はどうする?デジタルノマドの将来を見据えた働き方

デジタルノマドは単身者が多いイメージですが、コロナ以降はこれまで個人事業を営んでいた人や一人社長・起業家といった人たちが固定費を節約するため、従業員やオフィスを整理してデジタルノマドに転身する事例が多く存在しています。
そういったワーカーの多くは既婚者のため、パートナーと一緒に海外移住を果たすのが通常となります。東南アジア圏であれば円安の現在でもまだまだ物価が安いため、日本で暮らすよりも生活費は大分節約することができます。
一方で子供がいる場合は学校の問題があるため、一般的にはパートナーは日本で暮らします。そのため、ノマドワーカーは日本と海外の往復の生活が基本となるほか、パートナーのデジタルノマドへの理解も必要となります。ただし、十分な収入があり、海外長期移住を決意できる場合は、子供をインターナショナルスクール、もしくは海外現地の日本語学校に入学させることも可能です
円安の今、デジタルノマドは日本と海外どちらがおすすめ?

2020年から歴史的円安が続く現時点でデジタルノマドを目指す人の中には、「結局日本と海外どちらの生活がデジタルノマドにはおすすめなの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
まず、上述した通り東南アジア圏であれば、円安のいまでも現地の生活費はそれほど高くは感じないはずです。日本人に人気のタイ・ベトナム・マレーシア・バリ島(インドネシア)などを選べば家賃は5万円ほどで済みますし、その他生活費を含めても10万~15万円あれば十分ゆとりある滞在ができます。
日本の居住先が賃貸であれば、いっそのこと海外移住をしてみるのも手ですし、持ち家であれば日本と海外往復の生活がおすすめです。
デジタルノマドの将来性:アウトソーシングの需要は今後も増加

IT関連の日本国内のアウトソーシング市場は2023年度で8兆円を超える試算があり、これは2017年以降年平均で10%以上の増で推移しています。
中小大手問わず、多くの企業では昨今組織の肥大化を防ぐ目的で業務の一部、あるいは大半をアウトソーシングに移行しており、今後もIT市場及びアウトソーシングの需要は増加の一途を辿ることが想定されます。
デジタルノマドにとっても無論アウトソーシングの需要増は追い風となるので、将来に向けた伸びしろは非常に大きなものとなります。
まとめ:デジタルノマドは一度は海外に進出を。新しい人生が待っている

今回はデジタルノマドの国内・海外事情を具体的に解説しました。「海外は興味あるけど、これまで旅行だけ」という人は、デジタルノマドの波に乗って一度だけ海外生活を体験してみてはいかがでしょうか。アジア欧米とともに数多くの日本人居住者がいるので、現地で新しい出会い・仕事が待っているかもしれません。