旅行ライターを本格的にはじめると、取材の難しさを痛感します。しかし、しっかりと取材をして完成度の高い記事を納品できれば、依頼主は引き続き案件を依頼してくれることでしょう。
そこで、ここではホテル、観光施設、ツアー同行の取材の成功のポイントを業態別にご紹介します。
旅行ライターが頻繁に依頼を受ける取材先と内容とは?
旅行ライターの依頼主は旅行会社以外にも多岐にわたりますが、その中でも「取材」を依頼する業種は「旅行会社」と「出版広告」、「観光サイト」です。
旅行会社が旅行ライターに依頼する取材内容とは
旅行会社が旅行ライターに依頼する取材内容は、ほとんどの人がイメージしている通りかもしれません。
- ツアーに同行して体験取材(撮影)
- ホテル・レストラン・お土産店・スパといった旅行施設の店内撮影
- 旅行会社が提携しているホテル&レストランの店舗取材
旅行会社から取材を受ける場合は、基本的に旅行会社が催行している自社ツアー、もしくは提携しているホテルやレストラン取材です。対人インタビューはほとんどなく、ほぼ写真撮影のみとなります。
出版広告会社が旅行ライターに依頼する取材内容とは
出版広告とは「旅行ガイドブック」、「ライフ&タウン誌」、「現地フリーペーパー」などが主な依頼主となります。旅行だけではなく、観光地で働く人々の取材をして、オリジナルのコンテンツを作ります。
- 旅行施設のマネージャー&オーナーインタビュー取材
- 観光地や海外現地に暮らしている人々に対するインタビュー取材
- 観光地の撮影
注意点としては、コンプライアンス意識が高い依頼主の場合、観光地の撮影においては自治体の許可をとってくれ、と言ってくることがあります。ただし、発展途上国のお役所仕事はおざなりのため、自治体の許可は事実上とることができません。そのため、基本的に観光地の撮影取材の問い合わせがきたさいは、写真許諾の有無に関しては契約前に詰めておくといいでしょう。
観光サイトの運営会社が旅行ライターに依頼する取材内容とは
近年は旅行会社だけではなく、IT企業が観光情報サイトを運営する例も増えてきました。観光サイトの運営会社が旅行ライターに依頼する記事の多くはデスクリサーチができる記事となりますが、その一方で以下のような取材を依頼することもあります。
- 旅行施設のマネージャー&オーナーインタビュー取材
- 観光地の取材
もし観光サイトがホテルやツアー予約システムを導入している場合は、ホテルやツアーの撮影取材、あるいはインタビュー取材を依頼することもありますが、割合からするとごくわずかです。観光サイトはどちらかというとSEO対策を重視しているので、インタビュー取材よりは検索ワードに沿った基本情報記事を求めてくることの方が多いです。
旅行ライターが「ホテル」で取材をする際の成功のポイントを解説!
まず最初にご紹介するのは、旅行ライターが「ホテル」取材を引き受けた際に、業務を円滑に完遂するポイントをご紹介します。
契約書はしっかりと作成
旅行ライターの取材先の中でも、まず間違いなく取材許可に対して厳しく精査するのが「ホテル」です。基本的にしっかりととした取材依頼であれば、WEB媒体だろうと紙媒体であろうと取材許可が下りないことはありません。
ただし、ホテルのマーケッターは日本人旅行者市場を任せられている重役となりますので、どんなに分厚い契約書であっても、しっかりと読みこみます。取材をするにあたって、契約内容に穴があると確実に突いてきます。
質問事項は必ず事前に用意&ファクトシートを貰う
ホテル取材では、インタビュー取材の可否に関わらず、ホテルにまつわる質問をすることになると思いますが、質問事項はその場で考えるのではなく、必ず事前に用意しておきましょう。日本人マーケッターは皆さんお忙しいので、しっかりと的を射た質問をしないと怪訝な顔をされてしまうかもしれません。
また、部屋数や施設営業時間といった基本情報は、質問をするのではなくファクトシートを貰うようしてください。ただし、ホテルによってはファクトシートにはあまり詳しい情報が記載されていないこともありますので、その際にメールなどで質問するといいでしょう。
写真撮影取材は必ず一眼レフかミラーレスで行う
最近はスマホのカメラも進歩しているので、WEBサイトに掲載する記事であれば、スマホで撮影した写真でも見栄えは悪くありません。しかし、ホテルにとって写真は非常に重要な商売道具でありブランディングツールとなります。
写真撮影をする際は、きちんとした一眼レフかミラーレスで臨み、担当者から信頼を勝ち取るようにしてください。
旅行ライターが「レストラン・お土産店・スパ」で取材をする場合のポイント
旅行ライターとしてはお得意先であるレストラン&カフェやお土産雑貨店、スパ&マッサージ店ですが、取材する際は実は幾多の注意点があります。この留意点を克服することによって、取材は必ず成功するはずです。
料理写真の撮影取材が入る場合の留意点
レストランやカフェでは、料理やドリンクといった写真撮影が店内撮影と共に含まれることが良くあります。
お店によっては、料理の提供費用は旅行ライターが負担すると考えているところもあります。依頼主に料理代を経費申請できるのであればいいのですが、自腹で撮影するのはビジネスに反しますのでやめましょう。お店側には「料理代は出せないので、もし料理の写真を撮ってほしい場合は、無償提供をお願いします」と事前に伝えておきましょう。もし無償提供してくれない場合は、お店が持っている商用写真を貰うといいでしょう。
スパの写真撮影時の注意点と撮影機材のポイント
東南アジアの観光都市では、スパやマッサージ店が取材対象としてよく挙げられます。スパ&マッサージ店を撮影取材する際は、2つのことに気を付けてください。
1つ目は「スパやマッサージをしている場面の写真撮影」です。一般のお客に撮影許可をとるケースは稀で、基本はお店のスタッフが役を買ってくれます。ただし、スパの場合は上半身裸になることがほとんどですので、撮影時にはプライバシーはしっかりと配慮するようにしてください。
2つ目は「写真撮影機材は慎重に選ぶ」ことです。スパやマッサージ店は、雰囲気を出すために、明かりは間接照明を使い、全体的薄闇の空間となります。また、個室はスペースが狭いため、写真撮影をするときは後ろに下がることができません。
上記のことから、写真撮影をする際は、①ISOを1万以上上げても使用できるカメラを使う。②10mmの広角レンズを使って撮影する。③三脚を立てて撮影する。上記2点は守って撮影取材に臨むと、お店側が満足してくれる写真を撮ることができるでしょう。ISOを1万以上上げても画質が落ちないタイプとなると、おそらくフルサイズ機となりますので、持っていない人は三脚を使ってシャッタースピードを限りなく落として撮影するといいでしょう。
ツアーに同行して撮影取材をする際の注意点と成功のポイント
ツアーに同行して撮影取材をする場合は、観光スポットや風景を撮るだけではなく、ツアー参加者も交えて撮影することが普通です。しかし、無断で撮影してWEBや雑誌に掲載するのは肖像権の侵害となるため、必ず事前に参加者に許諾を得なければなりません。
方法としては、ツアー先に向かうバス車内でツアーガイドに自分が旅行ライター(記者)であることを紹介してもらい、参加者を撮影することを説明。また、そのときに、「顔を撮影されたら困る人は手を上げてください」のように、撮影NGの人を探します。「モザイクいれても駄目ですか?」と念を押して、それでも駄目であれば、撮影する際はその人を外すようにしなければなりません。
旅行ライターが取材をする際のコツ
取材が入った際、その依頼主の案件のための撮影しかしない旅行ライターがいますが、それは正直もったいないです。他の記事にも使えるように、取材中はたくさんの写真を撮って、撮りだめしておくのがおすすめです。
今回は旅行ライターが取材をするコツを業態別にご紹介しましたが、上記の中でも撮影機材の選定は必ず知っておいてください。例えば広角レンズを持たないでスパへ臨むと、最悪撮影ができなく、別日に再訪することにもなりかねませんよ。