旅行ライターの最大の難所「契約打ち切り」を避けるコツ
旅行ライターの最大の難所「契約打ち切り」を避けるコツ

近年旅行者の増加やIT化を受けて、WEB媒体に旅行記事を寄稿するだけで生活ができる旅行ライターの職が人気となっています。その旅行ライターはフリーランスで業務委託として仕事を請け負います。

そこで、問題となるのが「突然の契約打ち切り」です。今回は旅行ライターを目指す人や、駆け出しの人に向けて、契約の打ち切りを避けるコツをすべてご紹介します。

国内外で活躍する旅行ライターはフリーランス?個人事業主?

国内外で活躍する旅行ライターはフリーランス?個人事業主?

よく聞かれる質問の中で、「旅行ライターって出版社の社員の人はいるの?」という問いがありますが、旅行ライターの中で、どこかの会社に属している人は出向も含めておそらくいないでしょう。

近年、フリーランスのカメラマンは、続々と出版社や編集プロダクションの正社員に属すようになりましたが、ライターはあくまでもフリーとして活躍する人がほとんどのようです。

また、国内外含めて、旅行ライターはフリーランスもしくは個人事業主となります。個人事業主とはフリーランスの中で事業登記している人を指します。

もし現時点でフリーランスで活躍している旅行ライターのうち、十分な収入を確保しているのであれば、個人事業主として登録した方が節税の面で大分優遇されますし、クレジットカードも使うことができます。

特に海外旅行ライターを目指すのであれば、現地ではほとんどの支払いをクレジットカードで済ませることが推奨されるので、複数枚のカードの保有は必須となります。

旅行ライターは全員が業務委託契約を結ぶ

旅行ライターは全員が業務委託契約を結ぶ

旅行ライターはフリーランスで活動しているため、依頼主となる企業との間で交わす契約は、漏れなく業務委託契約となります。業務委託契約は正社員ではないため、労働法が適用されません。

そのため、旅行ライターは多少なりとも法律を理解して、依頼主と対等に契約を交わすようにしましょう。

旅行ライターが依頼主と交渉後、契約に至った場合の今後の流れは下記のようになります。

  1. 業務委託契約書の締結(契約書は郵送もしくはWEBにて)
  2. ①と並行して記事を投稿するに当たっての執筆ルールの確認のやり取り
  3. 当月に投稿する記事の決定
  4. 執筆開始
  5. 投稿(場合によって複数回の修正あり)
  6. 規定数納品後、依頼主に請求書を送付
  7. 業務委託契約書に記載の通りの締め支払いにて報酬に払い込みがされる

上記①~⑦が全体の流れとなります。ここで確認してほしいのは①の業務委託契約の中身です。

業務委託契約書を確認する上での注意・確認事項

業務委託契約書を確認する上での注意・確認事項

業務委託契約書は依頼主によって大分契約の中身が異なりますので、必ず中身すべてを確認するようにしましょう。

旅行ライターが必ず確認してほしい契約内容

  1. 締め支払い日
  2. 報酬と源泉の有無
  3. 契約解約の方法
  4. 業務委託契約の期間

最低でも上記は確認してください。特に③と④は非常に重要で、場合によっては「申し訳ないけど今月で契約終了ね」と突然告げられることもあります。旅行ライターは立場的に依頼主と肩を並べることは難しく、こちらが契約を解約したい場合は3か月前の申告にも関わらず、依頼主が解約したい場合は月末2週間前の告知、といった不公平な内容が記載されていることがよくあります。

業務委託契約期間中は契約内容は原則変更できませんし、もしこちらが契約不履行を働いてしまったら、依頼主は一切報酬を支払う義務がなくなります。そのため、最初の契約内容は慎重に吟味するようにしてください。

旅行ライターなら必ず体験する「突然の契約の打ち切り」避ける方法は?

旅行ライターなら必ず体験する「突然の契約の打ち切り」。避ける方法は?

旅行ライターなら必ず体験するのが「依頼主から言い渡される突然の契約の打ち切り」です。最近であれば新型コロナで旅行需要がなくなった際に、多くの旅行ライターが体験したはずです。

「何年も書き続けていたサイトから突然の契約終了……」突然の出来事で正直かなり参ります。正社員のように有給はありませんので、休日が続く=無給・減収となりますので、場合によっては1社でも大手が抜けてしまうと、途端に来月からの生活が傾くことになります。

そこで、「突然の契約の打ち切り」を最小限に避ける方法をご紹介します。

業務委託契約書の見直し

まずはこちらから。業務委託契約書にサインをする前に、契約の解約条件を確認するようにしましょう。3か月前はなかなか難しいですが、当月ではなく最低でも1ヵ月前の通達を依頼主にお願いするようにするといいでしょう。

自分だけしか書けない記事を依頼主にPRして契約解除を避ける

自分だけしか書けない記事を依頼主にPRして契約解除を避ける

依頼主によっては、旅行記事は誰でも書けると思っている人もいます。そういった依頼主は、自社が不景気に陥った場合、真っ先に旅行ライターとの契約解除に着手します。そこで、契約を打ち切られないためにするべきことが、「自分の強みをPRする」ことです。では、自分の強みとはどんなことが挙げられるのでしょうか。

海外在住を活かした旅行ライターの強み

海外在住と言えば、それだけで旅行ライターの大きな強みとなります。なぜなら、依頼主が最も欲しいのは「現地のリアルな最新情報」だからです。旅行ガイドブックに掲載されているようなありきたりな観光記事はネットを探せばいくらでも情報収集できるので、それこそ日本にいて副業を探している奥様でも書くことができます。

海外在住者に求められるのは、現地に居なければ分からない旅行・経済情報であり、そこらへんのWEBサイトにはない現地の写真となります。これらは海外在住ライターの最大の強みとなるので、依頼主にも「自分以外に書けない記事と写真」として十分にPRするようにしましょう。

これまでのキャリアを旅行ライターの強みとしてPR

例えば、誰もが知る大手旅行サイトに寄稿したことがある。自著がある。某有名旅行雑誌への掲載経験があるといった経歴があれば、他の旅行ライターよりも間違いなく差別化を図ることができます。

依頼主からすると、このライターの契約解除をしたら、競合サイトに記事を書くかもしれないという無言のプレッシャーをかけることもできるでしょう。

「契約終了後に競合他社に記事を書いたら駄目」という契約条件が。旅行ライターが知っておくべき法的知識

「契約終了後に競合他社に記事を書いたら駄目」という契約条件が。旅行ライターが知っておくべき法的知識

こちらも旅行ライターとして長く活動していると、1度か2度は経験する契約にまつわる生涯の1つ。最初に交わした契約書に、「契約終了後2年間は競合他社に記事を提供してはならない」という文言が記載されていることがあります。

業務委託契約でありがちの条項ではあるのですが、実はこちらは違法となりますので、旅行ライターは守る必要はありません。

業務委託契約の条件が有効なのは、あくまでも業務委託契約期間内であり、その後の旅行ライターの仕事を束縛することはできません(束縛したい場合は、契約終了後に改めて競合他社執筆禁止の契約を結ぶ必要がある)。

旅行ライターが必ず通る契約解除。日ごろからリスク対策を講じよう

旅行ライターが必ず通る契約解除。日ごろからリスク対策を講じよう

旅行ライターで最もやってはいけないのは、「この依頼主と契約が切れたら生活が傾く」という生計の立て方です。旅行ライターを長く続けられている人は、常に10社前後の依頼主と契約していて、1社に依存しないようにリスクを分散しています。

契約の打ち切りは依頼主側の運営方針や経営状況によって、場合によっては避けられない事態でもあるため、日ごろから1社でも多くの企業と業務委託契約を結ぶように努力するのも、旅行ライターに求められる業務の1つとなります。

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