日々記事を執筆するトラベルライターですが、単にワードを開いてキーボードを叩くだけでは務まりません。クライアントによって納品方法や連絡方法はさまざまのため、基本的なパソコンスキルは押さえておかなければなりません。
そこで、ここでは『トラベルライターとして求められる必要最低限なパソコンスキル』をご案内します。
さまざまな納品方法に対応できるようにする
トラベルライターのクライアントは旅行会社や出版社、IT企業、PR会社、市場調査会社など多岐にわたるため、記事の納品も多種に及びます。
「その納品方法は知りません」とはもちろん言えませんし、ライターの募集要項に「ワードで納品できる人」、「Gmailアカウントを持っている人」といった条件が盛り込まれていることも普通です。
では、トラベルライターはどこまでのパソコンスキルが求められるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
ワードでは「変更履歴」を覚えておこう
おそらく最も多い納品形態であるワード。ウェブライティングでは横書き、出版社や編集プロダクションから請け負うような書籍に寄稿する原稿は縦書きが主流となります。
また、クライアントの多くは写真の提出も求めてきます。写真は1つのフォルダに集約するとともに、記事中のどこに挿入するべきかを示すため、ワードにも貼り付けるのが一般的です。
ただし、サイズが重いと開くのに時間を要したり、パソコンが重くなりフリーズしてしまう可能性もあるため、基本は400×300ないし300×200程度に小さくするのがマナー。
あくまでも挿入箇所を示すだけなので、画質は悪くなってもかまいません。 また、相手先に編集部が存在している場合は、校正が発生する可能性もあります。
校正は編集者が手書きで原稿に文字入れをして、スキャンデータを送ってくる場合と、ワードの『変更履歴』機能とコメント機能を使って指示してくる2つのパターンが考えられます。
前者の場合は校正記号を知っておく必要がありますが、後者は誰にでも分かる文章で修正指示が記載されているため、トラベルライターとしてまだ慣れていない方でもスムーズに対応することができるでしょう。
そのため、変更履歴の最低限の表示方法と使い方は知っておく必要があります。
テキスト(text)の場合はとても簡単
アフィリエイト記事などを依頼するIT企業に多い納品形態が『メモ帳(text)』です。これはWindowsに標準装備されているテキストエディタの1つなので、無料で利用することができます。
メモ帳は単純に文字を打ち込むだけの作業となり、ワードのように写真を貼り付けることはできません。
納品形態にメモ帳を指定してくるクライアントは、文章をコピー&ペーストでcmsのテキストエディタやHTMLに貼り付けることを目的としています。ワードの文章をコピペすると、フォントや行間がおかしくなってしまうからです。
メモ帳は文字のみのためファイルサイズが非常に軽く、一度に百以上の記事をメールで送ることも容易にできる点が魅力です。
近年多くなってきたワードプレスへの直接投稿
近年は旅行会社、IT企業問わず、ワードプレスに直接投稿を要望するクライアントが増えてきました。
基本は投稿の権限しか与えられていないため、無暗に操作してしまってもエラーが起きる心配はありませんので、ワードプレスのようなCMS(コンテンツ管理システム)にいままで触れてこなかった方でも安心して納品することができます。
基本はワードプレスの投稿ページで新規の記事を作成するだけですが、クライアントによっては公開日やカテゴリーの設定、タグ付け、要約文の入力なども求めてくるところがあるので、投稿画面の基本的な操作方法は学習しておくといいでしょう。
企業が変われば、ワードプレスの画面も若干変わりますが、使い勝手自体は同じです。また、自分でオウンドメディアを運営する際にもワードプレスにはお世話になるので、ITへの苦手意識をなくし、簡単な仕様は覚えておくべきと言えます。
メールのアカウントは複数持っておこう。Gmailが便利
執筆した記事を納品する場合、メール機能は何を使っていますか。Outlookを使っている人もいれば、GmailやYahooメールのようなフリーメールアドレスを愛用している人もいるでしょう。
オウンドメディアを保有しているトラベルライターは、自分でレンタルサーバーを契約しているため、サーバーのメール機能を利用して、Gmailで受け取れるように設定しているのが一般的。Gmailのメリットは、最大5つのメールアドレスで送受信できることです。
トラベルライターやサイト運営者として、いくつかのメアドを使い分けているのであれば、Gmailで一元管理するのが非常に効率的です。
グーグルドライブやドロップボックスの特徴も理解しておくのも大事
近年はデータの保存から顧客とのやり取りをクラウド上で行うのも定番になってきました。クラウドサービスはいくつか有名どころがありますが、グーグルドライブとドロップボックスは基本的な仕様を覚えておくといいでしょう。
いずれもネット上にフォルダを置いてデータのやり取りができ、特定のフォルダを共有することはもちろん、パスワードによる保護や閲覧者の制限、共有URLリンクの取得など、実に豊富な機能があります。
「ドロップボックスで共有しますのでメアドを教えてください」、「共有フォルダを作ってそこに記事を入れておいてください」などと言われることもしばしば。これらの意味を理解する上でも、クラウドの特性は学習しておきましょう。
ファイル転送サービスを利用
作成した記事や写真は1つのフォルダにまとめて編集部に送ることになりますが、そこで問題となるのがファイルの大きさです。
ワードやメモ帳の記事であれば数十個送っても問題はありませんが、大量の写真が含まれると、途端にサイズが重くなってしまいます。写真や動画はすでにファイル自体が圧縮されているため、ZIPで圧縮してもほとんど軽くなりません。
基本的に、10MB以上のファイルをメールに添付して相手に送るのはマナー違反だと考えてください。そのため、記事と写真を送る場合は、上記でご紹介したクラウドサービスを利用するか、『ファイル転送サービス』を利用することになります。
ファイル転送サービスはギガファイル便やファイアストレージ、データ便といったサイトが有名。いずれも無料で大容量のファイルやフォルダを送ることができます。使い方もシンプルで、送りたいファイルやフォルダをドラッグ&ドロップするだけ。
サイトにデータが取り込まれたらURLが発行されるので、そのURLを編集部にメールで伝えるだけです。
注意点は、いずれのサービスもファイルをダウンロードできる有効期限が決められていますので、メールで伝える際に、「※有効期限〇日間」と記載するといいでしょう。
編集部との連絡手段も覚えておく
トラベルライターは実際クライアントと直接会って打ち合わせすることはかないませんので、基本的には以下の手段を用いて編集担当と連絡を取り合います。
1.国際電話
2.メール
3.チャットツール
4.Skype
5.Web会議サービス
クライアントの業界によって連絡手段は大きく変わりますが、出版社と編集プロダクションは圧倒的に国際電話とメールでのやりとりが多いです。
一方、IT関連の企業であれば、日々の業務連絡はチャットツールで、方向性の打ち合わせなど重要な会議の場合はSkypeやWeb会議サービスを利用します。
SkypeやWeb会議といった動画を共有する場合は、ネット回線の速度に映像や音声の質が依存するので、できるだけWi-Fiが速い場所を選んでください。
ただ記事を書くだけじゃない!トラベルライターもパソコンスキルの向上が必須に
トラベルライターの本職は記事の執筆です。しかし、昨今は記事を1つ書くにあたっても、ワードやメモ帳など複数のソフトウェアの知識が必要になってきていますし、連絡手段もクライアントの業界によって異なってきます。
クライアントの要望にどれだけ応えられるかもフリーランスにとっては重要となるので、ここで挙げた最低限のパソコンスキルは必ず習得しておくようにしましょう。