トラベルライターの活躍の場

トラベルライターを本業とするならば、様々な媒体(メディア)で記事を書かなければなりません。

「私はトラベルガイドブックの本しか書かない」、「〇〇円以下の依頼は断る」そんなことを言っていては、いつまで経っても案件は増えませんし、自分自身も成長しません。

『まずは案件を受ける』が重要。トラベルライターとして活躍できる場は想像以上に多く、また広い業界に及ぶため、自分のキャリアを積み重ねていくと、多様なメディアから声がかかることでしょう。

そこで、今回はトラベルライターとして主な収入源となるメディアをご紹介。いずれも一長一短があるため、それぞれのメリットとデメリットも覚えておきましょう。

自著・単行本の出版

自著による単行本

トラベルライター冥利に尽きるとはこのこと。トラベルライターを志す誰もが憧れ、目標の1つとして抱いているのが、「自著」を出すことです。

著者に自分の名前が堂々と載り、自分の文章が活字印刷される。これほど嬉しいことはないのではないでしょうか。もちろん自著が出版されるまでの道のりもやりがいあるものです。

担当編集者や校正者と一緒に仕上げる一冊の本は、トラベルライターとして大きな自信とキャリアアップに繋がることは間違いありません。

自著や単行本の依頼が来るか否かはスキルよりも巡り合わせ

自著の依頼が来るか否かはスキルよりも巡り合わせ

では、どのようなステップを踏めば自著を請け負うことができるのでしょうか。実はどんなにキャリアを積んだとしても、出版社や編集プロダクションと何のつてもなければ、自著の依頼は滅多にきません。

もちろんインスタやブログなどで多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーであれば別ですが、一般のトラベルライターに自著を依頼する出版社はほぼ皆無。

そのため、自著の出版が第一の優先事項であるならば、まずは旅系の本を出している出版社や、制作を請け負っている編集プロダクションに自分を売り込み、旅行ガイドブックなど小さな枠から仕事を請け負って信頼を勝ち取るのが近道となるでしょう。

自著や単行本は儲からない?あくまでも自己満足とポートフォリオのため

自著は儲からない?あくまでも自己満足とポートフォリオのため

しかし、ここで勘違いしてほしくないのは、「自著を出せば莫大な収入を得られるわけではない」ということ。トラベルライターで夢の印税生活ができるのはほんの一握りですし、一冊二冊売れただけでは印税だけで生活することはできません。

また、無名のトラベルライターに自著を依頼する場合は、出版社もリスクを負うため、基本的に報酬は原稿料。印税は重版後となります。もちろん印税の割合も一般的な10%よりも低く設定されています。

トラベルライターに依頼がくる自著・単行本は旅行関連か海外現地のビジネス、移住、ライフ系となりますが、いずれも爆発的に売れるジャンルではないので、毎年の印税もせいぜい1万円そこらが精いっぱい。

自著の最大のメリットは、自己満足とポートフォリオの実績欄に書くことができること。自著を出版しているだけで、大抵のクライアントは一目置いてくれます。

旅行ガイドブックの制作を請け負う

旅行ガイドブックの制作を請け負う

トラベルライターとしてもう一つ大きな仕事が、「旅行のガイドブックの制作」です。

ここでのトラベルライターとしての仕事は、「ページ端のコラム記事」、「観光地や料理などの概要説明」、「スポット(お店や施設)写真の撮影と基本情報収集」となります。

ガイドブックの制作は編集者、カメラマン、ライター、現地通訳、コーディネーターといったチームで行います。

旅行本というのは文章よりも写真が重要視される傾向にあるため、まずは編集者が写真を当てはめ、その後見出しや説明文章を指定された文字数で入れていきます。およそ1か月半から2か月ほどかけて1冊の本を完成させます。

原稿料は決して高くはないが……

原稿料は決して高くはないが……

るるぶや地球の歩き方など、予め売れると分かっている、またおおよその販売部数が想定できるメディアであれば、予算もたくさんあるので原稿料も満足できる金額を受け取ることができます。

しかし、そうではないガイドブックの場合は、それほど期待してはいけません。どちらかというと、自著のように編集者やカメラマンと現地取材を通して、本を出版するに当たっての裏方を知ることができる満足感を得られることが重要です。

また、単行本と異なり、ガイドブックはフルカラーが多いため、自分が執筆・撮影した原稿の見栄えも違います。

さまざまなジャンルがある。雑誌寄稿

さまざまなジャンルがある。雑誌寄稿

トラベルライターが寄稿する雑誌は、何も旅行ガイドブックだけではありません。

海外生活を紹介している生活情報誌、海外ビジネス情報を掲載するビジネス誌、他にもキッズ誌、家の光のような農業向け雑誌までジャンルは多岐にわたります。

それらの雑誌出版社から「次号ではタイの子供たちの生活事情を紹介したい」、「見開きで〇〇円でどうだろうか」といった風に依頼のメールがある日やってきます。

トラベルライターの仕事範疇は記事の執筆と写真の提供のみとなりますので、依頼から脱稿まで1か月程度しかかかりません。

雑誌寄稿は割の良い仕事だが、デメリットもある

雑誌寄稿は割の良い仕事だが、デメリットもある

雑誌への寄稿はwebメディアよりも原稿料は高く設定されています。webメディアの記事作成料は1本2000円~2万円ほどですが、雑誌の場合は1500文字前後で1万5000~3万円。

ページ数が多くなれば5~7万円ほど一度の依頼で収入を得ることができます。考えられるデメリットは2つ。1つ目は「納期が短いこと」です。

依頼から執筆を経て納品するまでは1か月もありませんので、もし他の仕事も多数請け負っている状況ならば、天秤にかけて優先事項を見直す必要が出てきます。

2つ目は「連載が少ない」ことです。基本的に雑誌寄稿は単発案件がほとんどのため、これだけで収入を安定させることはまず不可能です。あくまでも不定期に依頼がくる補助的な収入という認識となります。

収入の柱となるwebメディアの寄稿

収入の柱となるwebメディアの寄稿

webメディアはトラベルライターにとっては毎月の収入を安定化させる柱となる媒体。

旅行会社のサイトに記事を書くほか、観光サイト、市場調査会社、海外ビジネスサイト、投資サイト、現地タウン情報サイトなどあらゆるジャンルでトラベルライターの記事が求められます。

1つのサイトに対して10~20本ほど毎月記事を納品するのが普通なので、大量の写真ストックが必要となるのは注意が必要。また、複数の案件をこなす必要があるため、記事の質よりも量(書くスピード)が求められることもしばしばあります。

webメディアは常に複数社と契約しよう

webメディアの案件を請け負うメリットとデメリット

webサイトに記事を投稿する場合は、クライアントはデジタルマーケティングの一環としてトラベルライターに依頼しているため、単なる情報記事ではなく、SEOを考慮した文章を求めます。

つまりユーザーがGoogle検索にキーワードを打ち込んだ際に上位表示されるよう、文章中に複数の見出しを作ったり、指定キーワードを盛り込むといったテクニカルなルールをある程度覚えておかなければなりません。

また、上述したようにトラベルライターに依頼する記事はマーケティングにおける1つの手段にしかすぎませんので、「記事ではなくインスタに注力することになったから、契約は今月でお終いね」といった戦略・方針の変更による突然の契約終了も普通にあります。

そのため、2社、3社と記事の依頼を引き受けただけで満足せず、常に条件の良いクライアントを探す作業も重要な仕事の1つとなります。

トラベルライターとして長く活躍するポイント

トラベルライターとして長く活躍するポイント

トラベルライターとして活躍できる場面は、ここで紹介したように非常に多岐にわたります。選り好みせずに仕事を請け負っていれば、やがて大手企業から思いもよらない大きな案件の引き合いがくることもあるでしょう。

割の合わない案件も多数あるのが実情ですが、「海老で鯛を釣る」を実践できるトラベルライターは、将来的に大成する可能性も多分に秘めていると言えます。

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