アメリカの運転事情

 言語や文化が異なるように、運転・道路事情も国によって異なります。慣れていない海外で車の運転をする場合、事前に知っておかなければならない事項がいくつかあります。

今回はアメリカにおける運転・道路事情を紹介していきます。アメリカ旅行でレンタカーを借りてドライブする予定がある、アメリカに移住するのでルールを知っておきたい。そのような方のお役に立てれば幸いです。

アメリカ交通事情1

・道路

 まず、アメリカの道路についてですが、日本に比べて整備が行き届いていないことが多いです。

交通量が少ない道路はそうでもないのですが、交通量が多い道路は痛みも早く、道がひび割れていたり、凸凹があったりと日本に比べて劣悪な状態です。

アメリカでの運転に慣れていない場合、できるだけ安定感のある快適な車を選ぶと良いでしょう。

 アメリカの道路にはいくつか種類があります。日本の高速道路にあたるのがインターステートハイウェイです。インターステートハイウェイは、それぞれの方向の道路が中央分離帯で区切られています。

日本の高速と同様、信号や一時停止などの標識はありません。日本の高速道路との相違点は、基本的にはインターステートハイウェイを無料で走行できる点です。

「トールロード」「トールウェイ」という道路に関しては有料となりますが、日本に比べて料金は安く設定されています。アメリカでは「I」+番号という形で呼ばれていて、南北に走る道路に対しては奇数が、東西に走る道路に対しては偶数が付けられています。

I-95、I-90などのように数字によって方角がわかるようになっているので、分かりやすいです。

 日本における国道に該当するのがUSハイウェイです。呼び方はUS-10のように「US」に番号がつく形となっています。また、標識はつぼのようなマークの中に数字が書かれています。


 州道に当たるのがステートハイウェイです。「ROUTE」+数字という形で呼ばれています。ステートハイウェイの標識は州ごとに異なるので、旅行に来て複数の州をドライブする機会があれば、是非比べて見てください。

・ガソリンスタンド

 次に、車を走らせる上で必要不可欠なガソリンスタンドについて説明します。アメリカにおけるガソリンスタンドは、ほとんどがセルフサービスです。

自分自身で給油をしなければならないので、慣れていない方は戸惑うかもしれません。ただ、一度要領を得てしまえば簡単な作業なので、過剰に心配する必要はありません。

手順としては、クレジットカードを機械に通す→zip cordを入力する(5桁の郵便番号)→ガソリンの種類を選ぶ→ノズルを持ち上げ給油、以上です。パネルに表示される指示にしたがって進んでいけば大丈夫です。

日本のクレジットカードが使えない場合もあるので、その時はガソリンスタンド併設のコンビニでも支払いができます。直接レジに行き、給油機の番号といくら分ガソリンを入れたいか伝え、クレジットカードまたは現金で支払いをするだけです。

支払った金額に達しない場合は再び店内に戻って精算してください。また、セルフではないガソリンスタンドもたまに見かけるので、その場合はガソリンの種類・量さえはっきりと伝えればOKで、日本と大きく異なる点はありません。

・日本との相違点


 国内では運転に慣れていても、アメリカで運転する際に知っておきたい相違点がいくつかあります。これらの違いを知らなければ、大きな事故につながったり、交通違反を犯してしまったりする恐れがあります。事前に相違点を頭に入れておけば安心です。

 1つ目の相違点は、右側走行ということです。日本は左側走行、右ハンドルなので慣れないうちは違和感を感じますが、数時間も運転すると慣れてしまうと思います。

慣れるまでは集中して細心の注意を払って運転し、特に曲がる場合は反対レーンに入らないように注意して下さい。2車線以上ある道路では、一番右が低速走行用の車線で、左が追い越し車線です。

 2つ目の違いは、赤信号でも右折できるということです。もちろん曲がる前の一旦停止・目視確認は必須ですが、車が来ていなければ赤信号でも右折することが認められています。

ただし、「NO TURN ON RED」という標識がある場合は例外なので、赤信号で右折することはできません。

 相違点の3つ目は、踏切での一時停止は不要ということです。日本では踏切を通過する場合、一時停止・減速は当然のルールです。

しかしながら、アメリカでは遮断機が降りていない限り停まらないので、一時停止してしまうと後ろの車を混乱させたり、煽りを受けたり、追突されたりする危険性があるので気をつけて下さい。

・駐車

 アメリカでは路上に駐車スペースが設けられていることが多く、これらをStreet Parking(ストリート・パーキング)と言います。

ストリート・パーキング

気軽に駐車できて大変便利ですが、駐車スペースによっては停めて良い時間帯が曜日によって異なる、駐車時間の制限が設けられている、などの場合もあるのでよく確認してから駐車して下さい。

駐車禁止の場所に停めていたり、時間をオーバーして停めていたりすると、容赦無く違反切符を切られます。

因みに私は駐車時間を1分過ぎてしまっただけでチケットを切られ、車のすぐ側まで来ていたのでチケットを切った方に駆け寄って説明しましたが、取り合ってもらえませんでした。

その時は約50ドルの罰金を払うことになり悔しい思いをしました。格安のストリート・パーキングに停めたにも関わらず、違反や勘違いで高いお金を払わなくてはならなくなるので、十分に注意して下さい。

 路上駐車する場合の支払いに関しては、ストリートパーキングのためのアプリ・現金(コイン)・クレジットカードの3種類の方法があります。

コインを持ち合わせていなかったり、クレジットカードが読み取れない場合もあるので、アプリを基本的には使っています。アプリでは残りの時間や停めた場所も確認することができるので便利です。

 駐車スペースが限定的なストリートパーキングが空いていない場合は、立体駐車場や屋外の駐車場もあります。

車社会のアメリカにおいて、大都市では駐車スペースを探すのが困難な上、駐車料金はかなり高額です。ボストンやNY、ワシントンなどの大都市であれば2、3時間の駐車でも30〜50ドルかかる駐車場もあるので、都市によっては公共交通機関での移動の方が快適な場合もあります。

・現地で免許を取得する場合

 現地で運転をする場合、日本の免許証を国際免許証に切り替えるという方法もあります。

しかし、国際免許証の有効期限は1年間なので、1年以上滞在するのであれば、国際免許が切れる前に現地での免許取得をお勧めします。現地で運転免許を取得する場合、筆記試験と実技試験に合格する必要があります。

試験の内容は州ごとに異なるので、自分の居住する州のDMV(Department of Motor Vehiclesの略で日本の運転免許センターです)のウェブサイトを確認して下さい。

 筆記試験に関しては、それぞれの州のDMVから予約ができます。試験問題に関してはDMVのページにも記載があります。

また、練習問題を繰り返し解くことができるアプリもあったので、私はこれをインストールして勉強しました。筆記試験はパソコンで受けます。合否はその場ですぐにわかるので、受かっていた場合は視力試験を行い、仮免許を発行してもらいます。

 その後、実技試験を受ける前に自動車学校にて講習を受ける必要があります。私の場合はNY州の隣のコネチカット州で免許を取得した経験があるのですが、8時間の講習を受けなければなりませんでした。

繰り返しになりますが、州によって講習内容・時間は異なります。例えばお隣のNY州では講習は5時間と定められています。講習は、自分自身で最寄りの学校を探して予約する必要があります。

私の場合は8時間を1日で終わらせるコースを予約したのですが、4時間×2日に分割したコースも用意がありました。立地や自分の都合に合うコースを調べて、受講場所を選べば良いです。講習中は遅刻・お手洗い以外の退席は原則禁止となっていて、監視カメラが設けられていました。

講師の方から「遅刻したり、途中で抜けたりしたら受講証明書は発行してあげられないから、注意してね。カメラで撮る決まりなんだ。」と言われました。

講習内容としては、実技テストのコツや注意点・携帯をいじりながらの運転や飲酒運転がいかに恐ろしいかを伝えるビデオを見たりしました。

数人の受講者を指名して、各国の運転ルールの違いについてディスカッションをしたりもしたので、8時間は流石に長かったですがなんとか集中力を保って受講を終えることができました。

最後に講習を受けていることを証明する書類を発行してもらいます。

 免許取得の最終過程が実技試験です。アメリカでは試験用の車は自分で用意する必要があります。まだ仮免許しか持っていない私は1人で運転してはいけないので、既に運転免許を取得していた夫についてきてもらいました。

実技試験では教官が隣に乗車し、実際の道路を指示通りに走ります。英語力に関してはあまり心配する必要はないかと思います。英語で会話をするわけではなく、簡単な指示を聞き取れば良いだけだからです。

ただ、不安な場合は運転に関する用語にざっと目を通しておくと慌てずに済むかと思います。私の場合は運転している途中で、「ここの道の速度制限は?」と聞かれた以外は、特に会話はない物静かな雰囲気の試験官でした。

一時停止や縦列駐車、バックからの駐車などそれぞれのポイントがあるので、ルールを守って運転すれば合格できると思います。

 私は日本での運転経験が浅く、あまり混んでいない家の近くの道で何度も練習してから試験に臨みました。特に縦列駐車には苦戦しました。

先程説明したストリートパーキングに停める際、縦列駐車の技術が必要になります。そのため、アメリカのドライバーは全般的に縦列駐車がとても上手だという印象を受けました。

前後が埋まっていることもよくあるので、狭いスペースに停める練習をしておくと役に立つと思います。Kターン(3 point turn)も試験内容に含まれるので、一度YouTubeに上がっているやり方を確認しておけば安心です。

目視などは大袈裟なくらいしっかりとやること・落ち着いていつも通り運転することを心掛ければそれほど難しいものではありません。

 運転免許を取得すると、他州でも運転は可能です。ただし、ニューヨークの場合は「NY州に引っ越した場合、1ヶ月以内にNY州の免許に切り替えが必要」というルールがあります。

引っ越しをする場合は、為念その州DMVウェブサイトにて都度確認が必要です。州によって差異はありますが、アメリカ国内において運転免許取得の大まかな流れは大体どこも同じです。

[まとめ]

 アメリカでの運転は日本に比べて道路が広く、運転しやすいと言った意見もよく聞きます。一方で、スピードを出すドライバーが多かったり、ウィンカーを出さなかったりと、運転が荒いという印象もあります。

慣れないうちは特に注意しながら運転することが必要です。大都市では公共交通機関が充実していますが、車があると郊外への観光の選択肢が広がる場合も多々あります。

是非、アメリカでの運転道路事情を頭に入れて、アメリカでのドライブを楽しんでみてください!

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