トラベルライターのリアルな収入・年収事情
トラベルライターのリアルな収入・年収事情

トラベルライターとして国内外で活躍する人たちは、実際どのくらいの収入を得ているのでしょうか。フリーランスといえば「収入が不安定」、「生活ができるくらい稼げるの?」と疑問と不安がつきまとうことでしょう。

独身であれば少しの冒険心を出してトラベルライターとしてやっていけるかどうか試してみるのもいいですが、パートナーや子供がいる場合は、家族の了解を得なければなりません。

パートナーの理解を得られる重要な要素として、毎月の収入が挙げられるのではないでしょうか。今回はトラベルライターのリアルな収入事情をご紹介します。

トラベルライターの収入は本当に不安定?

トラベルライターの収入は本当に不安定?

「トラベルライター」と聞くだけで、不安定な収入と思いこむ人も多いかと思います。

しかし、毎月の収入がサラリーマンのように保証されていないのは、フリーランスや個人事業主であればみんな同じ条件となりますし、その不安定な収入をどれだけ安定化させるかが、フリーランスを長く続ける上で重要なポイントとなります。

トラベルライターとして5年、10年と長く続けることができているベテランの方は、全員が何かしらの形で収入の安定化を図ることに成功しています。

トラベルライターとしての月々の収入

トラベルライターとしての月々の収入

トラベルライターの毎月の収入の大半は、「旅行会社のHPへのブログ投稿」となるのが一般的です。雑誌への寄稿だけで生活ができる月収・年収を稼ぐことができる人は、まずいないと思ってください。

収入的には「ウェブサイトへの記事投稿:雑誌への寄稿=8:2」程度の割合となります。では、具体的にどのくらいの金額を稼ぐことができるのでしょうか。

トラベルライターの月収例

トラベルライターA氏の月収30万円

  • 旅行会社Bへの記事投稿(月20)=10万円
  • 観光情報サイトCへの記事投稿(月10)=8万円
  • 旅行会社Dへの記事投稿(月3~5)=5万円
  • 自分が運営するブログやサイトの収益=3~5万円
  • 雑誌(ライフ系が主)や文庫への寄稿=2~5万円

旅行会社や観光情報サイトへの記事の投稿が生活の基盤となることは間違いありません。

しっかりとした記事を書いていれば、3か月~1年の契約を交わすことができますし、基本的にこちらが不正を働くか、もしくはクライアントの経営方針が大きく変わったり、経営危機に陥らない限りは毎年更新してくれます。

上記を見てわかるように、多くのトラベルライターが憧れるライフ系やガイドブック、書籍や文庫への寄稿が占める収入の割合はごく僅かとなるのが普通です。

ただし、紙媒体の案件がくるというのは、それだけ自分の文章が信頼されている証にもなるため、積極的に依頼は引き受けるようにしましょう。

もちろん発刊されたあとは、きちんと自分のポートフォリオにも追加して、自己PRの素材とすることも忘れないでください。

トラベルライターの年収は実はそれほど低くない

トラベルライターの年収は実はそれほど低くない

上記でご紹介したトラベルライターA氏の月収30万円を例にとると、年収は単純計算で30万円×12か月=360万円となります。フリーランスなのでボーナスはないことにご注意ください。

しかし、多くのトラベルライターを見てみると、実際の年収はこの1.5倍ほど多い様子です。トラベルライターで観光記事1本で生計を立てている人はまずいません。

多くのトラベルライターは下記のような仕事も同時にこなして収入を底上げしています。

SEO対策コンサルティング

SEO対策コンサルティング

ウェブライティングをこなしていると、記事を書く文章力とは別に、SEOの知識も学んでいくことになります。

独学で勉強したり、クライアントから「文章中にキーワード〇個入れてくれ」、「タイトルは〇文字以内に」、「写真にはalttagを記述してくれ」など記事を書くにあたってのルール事項を申し受けることがあります。

これらすべてが記事をGoogle検索で上位表示するために欠かせないSEO対策となります。そのため、長くSEO記事を書いているトラベルライターの中には、SEO対策のコンサルティングを請け負う人もいます。

1社から受け取れる報酬はそれほど多くはありませんし、成果が見えなければ半年程度で契約を打ち切られることもあります。月々の報酬は3~5万円程度が相場ですが、複数社契約することができれば、収入の基盤を築くことができます。

市場調査

市場調査

こちらは主に海外在住者が請け負う仕事の1つ。自分が住んでいる国に進出しようと考えている企業経由で問合せがあり、当該国の実態調査を請け負います。具体的には現地人や企業、政府有権者へのインタビュー取材や動向調査、店舗調査がメインとなります。

ただし、市場調査を請け負いたい場合は、メーカーに直接提案営業をするのではなく、日本国内にある市場調査会社に現地スタッフとして登録することとなります。

海外進出を考えている企業は基本的に数か国のマーケットを同時に調査するので、「タイに住んでいるのでタイの市場調査請け負いますよ!」と打診しても、企業側からすると「タイだけではなく東南アジア諸国すべての調査をしてほしいのだが……」となり、個人では到底引き受けることができません。

1つの案件は1週間から1か月程度となりますが、報酬自体は悪くありません。店舗調査など1日で終わるような案件であれば1~3万円程度ですが、企業の実態調査や数十人規模のインタビュー調査であれば、それだけで30~50万円の案件に発展します。

旅行業界以外の取材&文字起こし

旅行業界以外の取材&文字起こし

トラベルライターとして仕事をしていると、スパやお土産店、レストラン、ホテルといった観光施設へのお店取材がひっきりなしに入ります。しかし、旅行業界以外のインタビュー取材の依頼が入ってくることも珍しくありません。

国内で言えば自治体・観光協会の会報であったり、イベント会社からイベントの取材と記事作成が多いです。海外在住であれば、現地に進出している日系企業の社長への取材依頼や、現地在住日本人向けにサービスを提供する企業・商品のPR記事作成などがあります。

特に海外で日本人が多く暮らす都市であれば、必ず1つは日系フリーペーパーを発刊している会社があるものですが、往々にしてプロのライターがいないため、トラベルライターの文章力は非常に重宝されます。

現地の日系企業は現地予算での報酬支払となるため、アジア圏であれば単価は安く、ヨーロッパの中でもユーロ圏やイギリスであれば単価も高くなります。1度の取材&記事作成で報酬相場は1万~3万円。

トラベルライターがまず目指す年収は500万円

トラベルライターがまず目指す年収は500万円

トラベルライターが最初に目指すべき年収は500万円に設定してみてはいかがでしょうか。

年収500万円に設定すると、どうしても旅行会社に記事を書くだけでは賄うことはできませんので、自分で収益化が望めるサイトを運営したり、上記のような旅行業界以外の仕事を請け負ったりと、向上心を持って日々仕事に打ち込むことができます。

また、「自由に世界を旅してお金を稼ぐ」がコンセプトのトラベルライターですが、型破りな仕事として周囲からの目は冷ややか。しかし、年収500万円を維持することができていれば、羨む人はいても軽視する人はいなくなるのではないでしょうか。

パートナーも理解を深めてくれるでしょうし、一般の日本のサラリーマンの平均年収の441万円(国税庁調べ)も超えているので、トラベルライターとしても箔がつくというものです。

新型コロナのようなイレギュラーな事態に備えるのも今後は必要

新型コロナのようなイレギュラーな事態に備えるのも今後は必要

2020年1月から世界を一変させた新型コロナウイルス。旅行・観光業界はその渦の中心にあり、名実ともに直撃を食らった業界の1つとなります。そして、その業界が主なクライアントとなるトラベルライターにとっても他人事ではありません。

海外旅行に重心を置いている旅行会社は経費削減のため軒並みブログの更新をストップ、もしくは自社スタッフに任せるようになりましたし、国内外のイベントもほぼ中止に追い込まれているので、依頼もキャンセルとなります。

自分のクライアントが単体で経営難に追い込まれているのであれば、別のクライアントを探せばいいだけの話ですが、新型コロナのように業界全体が追い込まれるケースはなかなか想定できるものではありません。

旅行・観光業界以外の収入源も作ろう

例え新型コロナが落ち着いて国交が再開されたとしても、このような新型ウイルスというのは、過去の歴史を見れば定期的に世界を襲うことが分かります。

そのため、ここで一喜一憂するのではなく、次の新型に備えて旅行・観光以外の業界で収入源を持っておくことは、トラベルライターにとって非常に重要なポイントとなります。

トラベルライターは月収ではなく年収で考えて

トラベルライターは月収ではなく年収で考えて

上記でご紹介したように、トラベルライターは不定期に市場調査や企業取材などを請け負うことがあるので、月収ではなく1年全体の収入を見て、トータルで目標達成の度合いを検討してみてください。まずは年収500万円を目指して事業計画を作成してみてはいかがでしょうか。

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